• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年03月01日 11:55

衰退進む日本型GMS(総合スーパー) 歯止めがかからない現実(前)

2000年の大規模小売店舗法の廃止により、大型店の出店が郊外に進んだことを背景に、ここ20年、広域から集客する大型ショッピングセンター(SC、ショッピングモール)、大型スーパー、商業施設といった米国型の新しい業態「GMS(General Merchandise Store)」が増加した。一方で、消費量的減少と通信販売の成長といった購入形態の多様化が進み、大型店舗による集客・囲い込み・有力企業との提携が思うような収益効果を生まず、大量閉店も余儀なくされている。これには市場競争を背景に店舗の飽和化など、さまざまな理由がある。

煮詰まった従来型

 この半世紀、世を挙げてパーソナル化、つまり個人にシフトしてきた。1970年ごろになると「マイコン」という言葉が世の中に登場した。もともとは超小型のマイクロコンピュータを表す略語だったが、80年代になるとそれは60年代に登場していた「マイカー」のように「パソコン」と呼ばれるようになり、一般化を始めた。コンピュータのパーソナル化はやがて電話のパーソナル化につながった。それまで会社や家族単位で使っていた便利ツールが個人に帰属するようになったのである。携帯電話である。長い間、家庭に1台だった固定電話が1人1台の個人専用が当たり前になった。その影響を受けたのは街角の公衆電話だ。93年にピークの93万台を超えた公衆電話は今や15万台余りと激減している。固定電話も同じである。2001年の6,105万台から昨年とうとう2,000万台の大台を割った。ここ数年こそ、その減少幅が鈍化しているものの、それでも毎年200万台のペースで減少が続いている。そしてこれは個人専用電話がなくならない限り、元に戻ることはない。

合併は劇的な改善につながるのか

 チェーンストア理論というのがある。より多くの店(販売拠点)をつくり、より多くの商品をメーカーにオーダーすることで原価を下げ、価格を安くし、さらに売上を増やすという商法を繰り返すことで市場占拠を大きくしていく手法をいう。たしかに、店舗数が少なく、モノの充足が不十分で、来店する客数を多く望むことができる消費量成長期にはこの手法は正しかった。まず、「他人と同じモノを!」というのが当時の消費の主流だった。

 しかし、もはやそのような時代ではない。店舗は過剰で、高齢化・少子化・人口減少で消費の先行きも明るくない。なにより、今の消費者に心底ほしいモノがあるのだろうか?かつて消費はある意味で「夢」だった。時代はトヨタ自動車の「いつかはクラウン」(1983年)というキャッチコピーに象徴される。旺盛な消費意欲をもつ団塊の世代はこのとき30代。車に限らず、衣・食・住あまたの商品に若者の夢と欲求があふれていた。しかし、「いつか…」の夢が叶ったどうかは別にして、彼らにもはやモノへの夢はない。そして彼らの子ども、孫の世代の消費形態もかつての若者とは違う。しかも、eコマースによって購買のための選択肢が以前とは比べものにならないくらい多くなった。

 消費の量的減少と購入ツールの多様化。そこでは規模を中心にした単純な水平型の提携はもはや思うような効果を生まない。イオン(株)や(株)セブン&アイ・ホールディングスといった巨大小売業のリテール部門の収益性が継続して振るわないことがそのことを物語っている。さらにその原因は単に市場規模の問題だけではない。同じような店が増えすぎた結果、既存店舗の売上を伸ばすことができなくなってきているのだ。対策は過剰になった店舗をなくすことだ。だから、現在の合併は米国のドラッグ企業に見られるように合同後、お互いに競合していた店舗の片方を閉鎖することで効率改善を図るなど必ずしも量の拡大だけを目的としていない。

(つづく)
【神戸 彲】

<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)

1947年、宮崎県生まれ。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年06月02日 07:00

新型コロナウイルスで工事現場は変わるのか(後)NEW!

 コロナ対策で懸念されるのが、工期へのしわ寄せだ。これに関しては、「発注者との相談になる」場合がほとんどであり、発注者、元請、下請、さらには孫請けまで、多くの企業が関...

2020年06月02日 07:00

新型コロナウイルスの患者が首都圏で急増(後)NEW!

 実際の実物経済については、貿易量が減少するのみならず、サプライチェーンの調整が進むことも予想されている。さらに、コロナ禍の影響で、デジタル経済、遠隔医療、ロボットな...

2020年06月01日 17:48

福岡で人気のお弁当をドライブスルーで提供~医療施設への寄付も

 福岡の外食、食品販売企業の有志で構成する「ドライブスルーふくおか実行委員会」が、5月30~31日、お弁当の提供サービス「ドライブスルーふくおか in PayPayド...

2020年06月01日 17:32

新型コロナウイルスの患者が首都圏で急増(前)

 前回の記事で、梨泰院(イテンウォン)のナイトクラブ発の新型コロナウイルスの感染拡大で、韓国政府が神経を尖らせていることにはすでに触れた。 5月28日、新型コロナウイ...

2020年06月01日 17:07

【福岡県】北九州市以外の外出自粛要請、休業要請を解除

 福岡県は6月1日から北九州市を除く地域での外出自粛要請、休業要請を解除した。しかし、依然として感染リスクがあることから以下の対応を行う...

2020年06月01日 17:02

(株)豊田ほか1社(東京)/寿司店チェーン「寿し常グループ」運営

 同社と関連の益子食品(株)は、6月1日に事業を停止し、事後処理を弁護士に一任。破産手続き申請の準備に入った...

2020年06月01日 16:36

九州地銀の20年3月期決算を検証する(2)

  【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の20年3月期の当期純利益順位表である。 ~この表から見えるもの~ <1位~9位> ◆1位は福岡銀行...

2020年06月01日 16:29

【銀座・秋葉原・渋谷・東京など】賑わいを取り戻しつつある東京~エリアごとの違いも

 政府は5月25日、新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態宣言を東京など主要都市でも解除した。4月7日の宣言から約7週間、企業、店舗、自治体、教育機関など多くの...

2020年06月01日 15:33

新型コロナウイルスで工事現場は変わるのか(前)

 建設業界に目を向けると、感染拡大の発端となったのが「世界の工場」中国だったこともあり、建築資材の流通が一部で停滞。工事を中断せざるを得ない現場が頻出した...

2020年06月01日 14:30

【政界インサイダー情報】安倍政権急激な支持率低下で内部崩壊の危機

 過去なら支持率回復のターニングポイントになる筈のコロナ"緊急事態宣言の解除会見"と自信満々のそれに対する"二次補正予算"内閣決定会見...

pagetop