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2019年03月03日 07:03

【企業分析】九電工~太陽光発電関連事業に注力

 多角化や営業エリア拡大によって業容の拡大を続ける(株)九電工。近年は太陽光発電の事業会社に積極的に出資して工事を受注へつなげる手法も活用している。もはや九電向けの売上高は15%を切っており同社向け売上を省いても突出した九州最大の建設業者として君臨している。

工事の13%は太陽光発電工事

 九州電力の配電線工事では圧倒的なシェアを有し、役員兼任もある。しかし、九電出身者が務めていた歴代社長の任を担う西村社長は九電工の生え抜きである。18年3月期の九電向けの売上高は工事や売電などを含めると519億円。小さくない額だが残りの3,000億円以上はほかで稼ぎ出していることになる。

 九電工は配電線工事、電気工事だけでなく設備工事、情報通信、近年は再生可能エネルギーなど次々と事業領域を拡大してきた。傘下企業も拡大させ18年3月末時点での子会社は58社、関連会社は34社におよぶ。業種も不動産販売や人材派遣、ゴルフ場、ビジネスホテルなど多岐に渡り、ベイサイドプレイス博多なども同社グループである。

 同社は多角化のなかでも、とりわけ太陽光発電関連の工事に注力している。2013年11月に70MWの発電能力を有する国内最大級「7つ島メガソーラー発電所」(鹿児島)に出資し、施工も手がけた。再生可能エネルギー部門の連結子会社は九電工新エネルギー(株)など4社。宇久島みらいエネルギー(同)は非連結子会社である。事業会社に出資して工事する手法が定着している。

 18年3月期の工事売上高3,464億円のうち太陽光発電工事は451億円。創業業種といえる配電線工事(463億円)に匹敵する売上高を稼ぎ出しているのだ。

多角化と広域化で業績好調

 多角化同様に強化しているのが広域化だ。2008年に東京本社を設置して首都圏を強化しているほか東北支社では東日本大震災後の復興事業にも関与している。工事部門の九州エリアの売上高は太陽光を除いても1,786億円で重要な基盤に変わりない。だが、関東・東北・中京を合わせると438億円を売り上げている。2年間で100億円近い増収を遂げており急速な拡大が見て取れる。同様に海外売上も伸びている。2年前から倍増に近い約52億円を稼ぎだしている。台湾、タイ、ベトナムなど5カ国に進出。14年には東南アジアの事業統括会社である九電工東南アジアをシンガポールに設立している。

 かつて25%を超えていた九州電力の持ち株比率は22.46%にとどまっている。次いで日本トラスティ・サービス信託銀行(7.17%)、西日本シティ銀行(4.57%)、福岡銀行(4.4%)となっている。 会長は九電出身ながら、社長および2名の副社長はいずれも九電工の生え抜きである。

太陽光発電につぐ基盤確立が課題

 九電工は18年3月期に約190億円の増収を遂げた。過去4年間では約810億円の伸びである。利益面でも営業利益13%増の347億円を確保している。内部留保の積み増しも進み、純資産額は1,641億円。総資産が増加を続けるなかでも自己資本比率は50%を超えた。有利子負債191億円に対して現預金は350億円を有している。3月1日の株価純資産倍率は1.63倍と関電工(0.89倍)やきんでん(0.9倍)のPBR(株価純資産倍率)が1倍に満たないなか、電力系設備工事業者としては高く評価されている。

 建設活況とはいえ元来、電気・設備工事で膨大なシェアをもつ同社が800億円もの増収を生み出す背景にはM&Aの駆使があげられる。九電工は17年7月以降3件のM&Aを実施している。陣内工務店(佐賀)、三友電設(福島)、エルゴテック(神奈川)とその子会社清和工業(茨城)。これらの直近の売上高を単純合算すると104億円。グループ内売上の比率は不明だが、今期はこれらが連結売上高に積みあがることになる。

 多角化、広域化、M&Aで順調な成長を遂げた同社だが太陽光発電につぐ収益基盤の確立が求められる。グループで投資し稼働する太陽光発電所は47カ所82MW。18年3月時点で建設中の事業も3カ所存在する。過去3年間、毎期400億円台を確保したドル箱事業で、手持ち工事は1,000億円を超える。しかし、外部環境の変化を見ると今後緩やかな減少に転じるのは明らかだ。風力発電事業への投資など積極的な姿勢に変化はないが、目指す20年3月期の4,000億円突破に向けては太陽光につぐ基盤の確立が求められる。

※クリックで拡大

<COMPANY INFORMATION>
(株)九電工
代表:西村松次
所在地:福岡市南区那の川一丁目23-35
設立:1944年12月
資本金:125億5,506万円
業種:電気工事ほか
売上高:(18/3連結)3,608億円

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