低炭素で楽しく暮らせるまちづくり~BONJONO(2)
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2017年、国土交通省が開催した「第1回先進的まちづくりシティコンペ」で、国土交通大臣賞を受賞した北九州市の「みんなの未来区BONJONO(ボン・ジョーノ)」。自衛隊分屯地の跡地開発として始まった城野地区の再開発は、低炭素社会実現のための取り組みや、住民・事業者が自らの手でまちづくりを進めていくというユニークな手法が採られている。BONJONOの取り組みをレポートする。
自衛隊分屯地跡を3つの視点で再開発
小倉駅から約3km南にあるJR城野駅周辺エリアが、BONJONOのメインエリアである小倉南区城野地区である。JR城野駅に隣接するこの地域には、かつて陸上自衛隊の城野分屯地があった。08年に分屯地が閉鎖され、翌09年に「城野分屯地跡地処理計画策定協議会」が設置。跡地の利用方法の模索が始められた。「城野地区低炭素先進モデル街区計画概要」が同年5月にまとめられ、その概要をもとに11年、「城野地区まちづくり基本計画」が策定されることとなる。
まちづくりの基本的な方向性は、3つの観点にまとめられた。1つ目はゼロ・カーボン。住宅から排出される二酸化炭素量を削減するため、再生可能エネルギーの利用、住宅の基本性能の向上を目指した。また、自家用車に依存せず、徒歩や公共交通機関が利用しやすい低炭素モビリティの分野の確立、環境学習の促進を目指すこととなった。2つ目は、子育て支援・高齢者対応の観点からのまちづくりである。地域コミュニティと福祉・医療など、生活支援の分野からのまちづくりの推進だ。3つ目は、次世代に継承し続ける持続可能なまちづくりという視点である。そのためにタウンマネジメントと情報発信を推進していくことを目指すこととなったのである。この3つの視点を中核に、まちづくりを行ったのである。
低炭素社会の実現に向けて
3つの視点をもって開発計画がなされた城野分屯地跡地。北九州市はその再開発を「城野ゼロ・カーボン先進街区形成事業」と名付け、計画を進めていくこととなった。事業面積は約18.9haで、最終的には約850戸のまちが完成する予定だ。
城野駅を端として、そこから目抜き通りをつくる。その目抜き通りは「エコモール」と呼ばれ、幅員8~12m程度の歩行者と自転車専用道路としてつくられている。その目抜き通りの左右に宅地が広がる構造だ。目抜き通りに自動車が入り込めない構造は、近年のまちづくりのなかでは異例のものといえる。戸建の住宅街であるから、自動車での移動が基本と考えるのが普通の住宅地開発であろうが、この城野地区は違うのである。視点1のゼロ・カーボンのまちづくりの具体的な例なのだ。低炭素モビリティを実現するために、車ではなく徒歩・自転車での移動に力を入れているのである。
(つづく)
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