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2019年04月11日 15:39

岐路に立つ九州電力 再エネ、発送電分離への対応は(前)

九州電力(株)

2011年3月の東日本大震災の影響による原発停止が燃料費増加を招き、12年3月期から4期連続で赤字を計上した九州電力(株)。15年に川内原発を稼働させて業績は上向いたが、原子力発電事業は頭打ち。また、18年10月12日から19年3月27日までで24回の出力制御を指示するなど、増加する再生可能エネルギーを前に苦しい状況にある。オール電化やガスといった他事業で「日本一のエネルギー企業」を目指す同社の現状を検証する。


拡大できない原子力発電

 東日本大震災以来、原子力発電をめぐる状況は年々悪くなっている。原子力発電所(原発)は発電設備のなかでもとくに安全への配慮が必要なことから、既存の発電所の改修や、緊急時の司令塔となるオフサイトセンターの設置などでコストが増加。福島第一原発の処理の長期化、さらに事故以前に「安全・安心」のみを謳い、原子力発電の対して危険性を周知徹底していなかったことが不信感を生んだ。その不信感は一部から「現在も危険性周知を怠っている」といわしめるほど根強い。

 使用済み核燃料の懸念もある。日本の原子力発電は使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜて使用可能なMOX燃料にする「原子燃料サイクル」事業の整備を進めてきた。1992年に設立された日本原燃(株)がその事業を行うとしているが、サイクルの要である六ヶ所村再処理工場の操業の前提となる審査は申請からすでに5年が経過しているなど長期化。原子力規制委員会が本年3月20日に審査方針の確認のため、審査書案の素案を基に議論する場を設けたが、なお安全性への疑問が投げかけられるなど難航している。2021年で操業開始とされているが、実現するかは不透明だ。

再生可能エネルギーの拡大続く

 対照的に好況を呈しているのが太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー(以下、再エネ)。12年7月に固定価格買取制度(FIT)が導入されて以降、余剰電力を大手電力会社が買い取り、需要家(電力の供給を受けている使用者)に提供するようになった。16年には電力小売の完全自由化と発電事業の自由化が行われ、大手電力会社から送電事業の分離が20年4月と定められるなどロードマップも整備され、発電事業者のなかから電力小売に乗り出す事業者も現れた。

 再エネの展開は世界的な潮流で、14年にはイギリスの国際環境NGO・The Climate Groupによって提唱された「自然エネルギー100%」を標榜する国際イニシアチブ「RE100」には、19年2月末で世界各国から164社が加盟。日本ではリコー(株)の参加を皮切りにイオン(株)や大和ハウス工業(株)、ワタミ(株)など17社加盟している。

※クリックで拡大

電力小売完全自由化の地殻変動

玄海原子力発電所

 日本では11年以降、盛んに議論されたのが電力小売の完全自由化だった。1995年には電力会社に電力を供給する卸電力市場に独立系発電事業者の新規参入が可能になり、2000年からは受電する需要家の規模に対して、特定事業者の小売が可能になるなど段階的に拡充されてきた。16年4月から一般家庭への売電が可能となり、18年2月末時点では583の事業者が登録。ガス会社のような他分野のエネルギー事業者のほか、再エネを前面に押し出した事業者、自治体も出資する第三セクターなど、価格以外に付加価値を付けることでアピール。電気・ガス取引監視など委員会による調査では、18年12月末までで従来の電力会社からの切り替えは全国で約889万件、そのうち九州エリアでは約58万件となるなど徐々にではあるが増えているのが実情だ。

蚕食される九電の大黒柱

 同社グループは18年3月期で1兆9,603億5,900万円の売上高を計上、セグメント別では電気事業やエネルギー事業、情報通信業とそのほかの事業の4つとされ、売上高では電気事業だけで1兆8,044億1,800万円とほかの3つの事業との差は圧倒的となっている。これは電力大手に共通する収益構造で、低くても82%は電気事業の収益となっている。

 その電気事業においては、先述した制度の切り替えもあって販売電力量が減少の一途をたどっている。震災直後の11年3月期は853億5,200万kwhだったが、18年3月期で767億7,500万kwhと10.04%減少。本年2月には4月から値下げや世帯向けプランなどを発表して巻き返しを図っているが、どの程度収益向上が見込めるのかは明らかにしていない。

 同社は自己資本比率が13.88%と大手電力のなかでも低い。同業他社の関西電力では21.08%、東京電力で21.10%など。これは13年から原発停止後の電源として火力発電の比重が高まり燃料費が増加したことによる。3期連続で経常赤字を出すなど純資産が減少の一途をたどり、15年3月期には7.34%まで下がっていた。

 同社は経営目標に21年度の自己資本比率20%程度を目標としているが、依然厳しい状態が続いている。

※クリックで拡大

(つづく)
【小栁 耕】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:池辺 和弘
所在地:福岡市中央区渡辺通2-1-82
設 立:1951年5月
資本金:2,373億486万円
売上高:(18/3連結)1兆9,603億5,900万円

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