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2019年04月12日 07:04

岐路に立つ九州電力 再エネ、発送電分離への対応は(後)

九州電力(株)

再エネ増加による電源数の変化

玄海町に立つ玄海エネルギーパーク。説明の至るとこ
ろに「最新データへの更新中」と但し書きされていた

 同社の18年3月期の発受電電力量の合計は802億5,700万kWh、そのうち電源別では火力発電が432億6,000万kWh(53.90%)、原子力発電143億3,900万kWh(17.86%)と火力発電が大半を占めている。これは日本の一般的な電源構成が「ベースロード電源」モデルであることに由来している。

 日本の電力システムでは電源ごとにベースロード、ミドル、ピークと3種類に大別。発電単価が安く、安定的で24時間供給が見込める原子力、石炭火力、地熱、水力をベースロード電源、出力の調整が可能な天然ガス(LNG)や石油による火力発電をミドル電源と呼んでいる。気候や環境によって変動する太陽光などの再エネはピーク電源という限定的な電力源としてとらえている。

 この電源構成モデルは石炭火力や原子力を電源とする発電所が稼働し続けることを前提としており、事実、千葉での石炭火力発電開発のように原子力発電が再設置できないために石炭火力のような代替のベースロード電源を再びつくろうという計画があった(同計画は19年1月に燃料および設備を石炭火力設備からLNG火力設備へと方針を転換した)。

 現在では、再エネなどを中心とした「フレキシブル運用電源」といわれるモデルへの転向がドイツやノルウェーなどで実験的に進んでいるが、日本ではいまだ電力システムの変更にまで踏み込めていない。

原子力発電の新設、再設置への執着

 九州電力は19年1月に玄海原発付近に使用済み核燃料の乾式貯蔵施設の新設を国に申請。一時貯蔵であり最終処分場になることはないと繰り返し説明しているものの、核燃料サイクルが実用化されていない状況では成立しない。

 同年2月には玄海原発2号機の廃炉を決定。これで同原発1号機に続き廃止決定は2基目で、すでに1号機は廃止措置計画の認可を受けて解体に向け、設備の汚染状況の調査が行われているという。

 同社以外でも、新安全基準に合わせるための改修工事費などのコスト高を理由に廃炉される原発が出てきている。これは、東京電力の福島第一原発事故の処理が長引くなかで行われている会計規則の変更によって、廃炉という決断を取りやすい状況にあるからだ。

 15年に改正された電気事業会計規則では、「発電事業と廃炉作業を一体」ととらえることで、発電を停止した原子力発電施設を資産としても負債としても計上できるようになった。つまり、減価償却費というかたちで経費に組み込むことで、電気代に廃炉費用を上乗せするという仕組み。同規則には使用済みおよび炉内の核燃料を固定資産に勘定するなどの特殊性も指摘されている。

出力制御は再エネ増加の現れ

地元小学校は工事作業員の宿舎に改装中

 18年10月に同社は全国初の広域出力制御を発表。出力制御とは系統接続されている太陽光や風力などのピーク電源からの電力供給を一部押さえることで電力需給のバランスを保とうとするもの。発電事業者にとっては売電収益の減少を意味するため反発は強い。

 19年2月末で九州エリアに接続されている再エネ電源は出力ベースで1,224万kw、そのうち同社開発の電源は194万kwと低い水準にとどまっている。まだ接続されておらず、検討段階にある設備の合計が1,982万kwと今後も増加が見込まれている。そのなかでも太陽光発電と風力発電の比率は高く、同社は自社で換算した接続可能量に従って出力制御を行うことで、増加する電源に対応するとしている。19年3月末までで計26回を実施、うち16回は3月に集中していた。

電源構成モデル改善の提言を

 同社は今後の電源構成については、「国の基本計画にそって進めていく」と語るにとどめ、ビジネスモデルとしては再エネや海外事業、および九州域外での発電事業の拡大に努めるとしている。19年4月にはベトナムに同社初の海外法人を立ち上げ、同地の水力発電事業の改善を提案するコンサルタント業務を行うとしている。

 しかし、先述のように再エネ電源の新規接続が続くなかで、仕方なしともいえる海外事業への注力には疑問符がつく。当然、19年11月からFITから離れていく再エネ設備が出るほか、20年4月には送配電事業の分離が予定されているなど今後も変化が続く。

 国の方針に従って環境が変化する事業だが、電力小売事業および発電事業の新規参入者が苦しんでいる状況下をこれまでの設備・事業に固執して渡り切ろうとする姿はあまりに情けない。

 再エネ開発が進む地域の最大の電力会社だからこそ、その「あり方」への変化が問われている。

(了)
【小栁 耕】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:池辺 和弘
所在地:福岡市中央区渡辺通2-1-82
設 立:1951年5月
資本金:2,373億486万円
売上高:(18/3連結)1兆9,603億5,900万円

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