2024年04月25日( 木 )

デジタル課税を通じてGAFA規制に動く日本政府の時代錯誤(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年4月5日付の記事を紹介する。


 この3月、自民党の競争政策調査会は「GAFA」と呼ばれるアメリカの大手IT企業の代表を相次いで党本部に呼び、非公開でヒアリングを行った。今時、「マスコミを入れない非公開」という発想が既に時代の流れに取り残されており、自信のなさの現れと言わざるを得ないだろう。

 GAFAとはGoogle、アップル、フェイスブック、アマゾン4社の頭文字を組み合わせた略称である。まさに「第4次産業革命」の旗手のような存在感を発揮しており、過去10年間の急成長ぶりは目を見張るばかりだ。フェイスブックの売上高は7億770万ドルから560億ドルへ拡大。Googleの場合は240億ドルから1,360億ドルへ。そしてアマゾンに至っては245億ドルから2,330億ドルへと爆発的な伸びを記録している。各社ともこれまで一貫して売り上げ増を達成しており、アマゾンは世界最大の小売業であるウォルマートの時価総額を3割も上回る勢いだ。

 そのアマゾン従業員数も使用するロボット数も、また買収した企業数もマルチメディアやクラウドコンピューティングへの投資金額でも全て他を圧倒し、顧客数は3億人を軽く突破してしまった。顧客の要望に応えるため、理由のいかんを問わず、「返金スピードの早さ」でもNO1の評価を得ている。

 と同時に驚かされるのは、働き方であろう。アマゾンの物流センターを訪ねると、至る所に掲げられる標語に目を奪われる。「Work Hard, Have Fun, Make History」。日本で話題の「働き方改革」とは真逆の発想である。実は、創業社長のジェフ・ベゾス氏は物流センターで働いていた期間が長く、「顧客満足度を左右するカギは物流にある」との考えの持ち主。創業から20年間は物流に120億ドルもの投資を行ったという。

 また、フェイスブックの登録利用者数は23億2,000万人。これは世界の全人口のほぼ3分の1に達する。このフェイスブックの傘下に入ったインスタグラムも負けてはおらず、2018年に10億人の大台に乗った。インスタグラムのユニークな点は「インスタ映え」を競う20代、30代をターゲットに「ファッション・パス」と銘打った洋服やアクセサリーのレンタルビジネスを立ち上げたこと。「同じ衣装でインスタグラムに登場したくない」というユーザーの願望をとらえた新種のシェアリングビジネスである。

 残念ながら、今の日本企業の中にはGAFAに匹敵するスケール感は見られない。しかし、日本企業が彼らの軍門に完全に下ったわけではない。例えば、アマゾンにしても、日本のネット販売の物流代行会社であるイー・ロジットと提携することで日本市場でのサービス向上を確実なものにしている。日本の得意とする「おもてなし」や「もったいない」の発想はGAFAにとっても世界市場を開拓する上で欠かせないとの認識が生まれていることは間違いなく、日本企業の出番も当然あるだろう。

※続きは4月5日のメルマガ版「デジタル課税を通じてGAFA規制に動く日本政府の時代錯誤(前編)」で。


著者:浜田和幸
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(後編)

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