SDGs で北九州市はどのように生まれ変わるか?(前)
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2019年05月07日 07:00

SDGs で北九州市はどのように生まれ変わるか?(前)

北九州市長 北橋 健治  氏

北九州市の人口は、ピークとなる1979年には約107万人に達したが、2004年に100万人を割り込み、現在は約94万人と減少が続いている。この人口減少に歯止めをかけられるかが、北九州市政最大の課題だといえる。同市がまちづくりの中心に置くのが、「SDGs(持続可能な開発目標)」だ。SDGsは15年に国連で採択された17の開発目標で、日本政府も推進しているもの。同市は18年に国の「SDGs未来都市」に選定されており、SDGsの取り組みを通じて、どのようなまちづくりを進めようとしているのか―。2019年1月に行われた北九州市長選挙で見事4選をはたした、北九州市長・北橋健治氏に話を聞いた。

日本で一番住み良いまちにしたい

 ――北九州市は、なぜSDGsに力を入れているのでしょうか。

北九州市役所(左)と小倉城(右)

 北橋市長 SDGsは、国連加盟国193カ国が全会一致で採択した世界共通の大きな開発目標です。これを知ったとき、私は大変画期的な、喜ばしいことだと思いました。そして、この目標に従って、北九州市を「日本で一番住みよいまち」にしていこうと考えました。世界共通のテーマに対し、我々北九州市が率先して頑張ることによって、都市の明るいイメージを発信することができます。SDGsの取り組みは、行政だけでなく、「シビックプライド」――市民の方々の街への愛着を高めることにもつながりますし、企業にとってもブランドの向上につながります。そういうことから、市一丸となって取り組みを始めました。

 2018年には「北九州市SDGs未来都市計画」を策定しており、「『真の豊かさ』にあふれ、世界に貢献し、信頼される『グリーン成長都市』」を目指しています。また、行政や市民、企業などが共通の認識をもって推進していくため、学識者や経済団体、市民から構成される「北九州市SDGs協議会」を設置しました。取り組み内容の検討や普及啓発などについて、議論を深める場となっています。市民の方々が気軽に集まり、情報交換などを行う「北九州SDGsクラブ」も設置しています。現在、市民や企業、団体、学校など約450のステークホルダーに参画いただき、協議会とクラブを両輪として、SDGsを推進しています。我々が目指しているのは、SDGsの「世界のトップランナー」です。SDGsをまちづくりのツールとして活用し、他都市に先駆けた成功モデルを構築していく考えです。

北九州市のSDGs戦略
※クリックで拡大

海外水ビジネスはSDGsの代表的な取り組み

 ――具体的な取り組み事例として、水道分野などでの国際環境ビジネスを挙げておられます。

 北橋市長 私は18年7月に、ニューヨークの国連本部で開催されたSDGsの国際会議「ハイレベル政治フォーラム」に出席するチャンスを得ました。フォーラムに参加して、改めて感じたことは、上下水道や消防などの環境関連インフラ整備に対する世界のニーズの高さです。

 本市には、公害を克服してきた強みを生かし、水道などの環境関連の技術やノウハウの海外移転を続けてきたという40年近い歴史があり、東南アジアの都市などとフレンドリーなネットワークが根付いています。このネットワークを生かし、官民連携で水ビジネスを推進するため、10年に「海外水ビジネス推進協議会」を設置しました。こうした取り組みが認められ、国や関係機関からは、自治体の国際協力分野で「トップランナー」として評価されています。

 SDGsの17の目標のうち、6番目に「安全な水とトイレを世界中に」という目標がありますが、まさに本市の得意分野を生かせる目標だと考えています。海外水ビジネスについては、協議会としてこれまで57件、112億円の案件受注の実績があり、環境・上下水道をすべて合わせると、15カ国、77都市で187件のプロジェクトを実施してきたところです。本市のSDGsに関する代表的な取り組みとして、大事に発展させたいと思っています。

 海外水ビジネスを謳っていますが、持続可能な国際貢献のためには、自治体だけでなく、民間企業と連携して取り組む必要があります。ビジネス的な視点は、持続可能な国際貢献を行うために必要だと考えています。

 ――目標達成のためには、ビジネスとして成功することが必要だと?

 北橋市長 12年前に初めて市長に就任したときに、地場の企業などからいろいろな要望をいただきました。そのなかで、「単なる環境分野での国際貢献ではなく、地場の技術、ノウハウを生かしたビジネスにしてほしい」というお話が相次ぎました。本市としては、それまでは「人助け」ということで、ODAなどによる技術支援を行っていたわけですが、長続きするものではありませんでした。

 世界を見れば、たとえばフランスの水メジャーと呼ばれる民間会社が、各国で上下水道事業を運営しており、水ビジネスは世界の潮流になっています。本市には、生活インフラを支える技術を有する企業がありますが、個々の企業が単独で海外で活躍するには難しい面がありました。水ビジネス分野で日本企業のプレーヤーを育てようというのは、当時の政府の考えでもありましたので、そういう国内外の動きを受けて、本市としても環境ビジネスに乗り出したわけです。

(つづく)
【大石 恭正】

<プロフィール>
北橋 健治(きたはし・けんじ)

1953年3月、兵庫県西宮市出身。78年に東京大学法学部卒業。86年に衆議院議員初当選後、6選をはたす。94年には大蔵政務次官、98年には衆議院環境委員長を務めた。2007年に北九州市長に就任。以後4選。好きな言葉は「ピンチのそばにチャンスあり」。
 

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