2024年03月29日( 金 )

ベルフェイスの中島社長に聞く(3)~あえて音声を「電話」にする理由-世の中の1歩先をいくサービスが成否をわける

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

音声は「電話」を使用するのがシステム開発の要だった

代表取締役・中島 一明 氏

 本当に使いやすいサービスは世の中の何歩も先をいくものではなく、手を伸ばせば届く半歩先のサービスだとベルフェイス(株)の代表取締役・中島一明氏は話す。営業に特化したウェブ会議システム「bellFace」は、最先端のITツールながらも話をするのは「電話」だ。

 たとえば、Skype(スカイプ)やZOOM(ズーム)などいまビジネスで使われている会議システムは、どれも話している人の声も映像もインターネットで通信している。ベルフェイスはなぜあえて「電話」を使っているのだろうか。

 「bellFace」がSkypeやZOOMなどのほかのインターネット会議ツールと違うところは、営業のためにつくられていることだ。相手の声をインターネットで伝えていると、ネット環境が不安定なときには音声が途切れたり、聞こえなくなってしまったりすることもある。社内の会議であれば問題ないことでも、肝心のタイミングに相手の声が聞こえなくなってしまうと、営業ではせっかくのチャンスをのがす致命傷になるからだ。

 音声を「電話」で伝えていれば、ネット環境に関係なく、電話がつながっているかぎり安心して話を続けられる。お客さまに寄りそう営業の仕事では、できるだけお客さまに負担をかけたくないものだ。先が読めないネット環境でも安心して使えなければ、営業では役に立たないと中島社長は考えたからだ。

 伝えたいことはなんでも、インターネットで通信するのが常識のITの世界。いままで、インターネットで話ができる会議システムはたくさんあったが、常識にとらわれず、徹底した営業マン目線が「bellFace」の開発の要になっている。

入口が「電話」だから、ITが苦手な人も壁がない

Web会議システム「bellFace」

 お客さまとのやり取りの入り口が電話だから、商談を始めやすいともいえる。まずお客さまに電話をして、「bellFace」の4ケタの接続ナンバーのやり取りをすると、営業マンの顔がうつる。メールアドレスやログインIDなども一切不要で商談ができる。

 ふつうのインターネット会議システムでは、事前に設定して、話すまえに利用ログインなどの情報を相手に伝えることが必要だ。電話番号がわかっても、お客さまのメールアドレスやログインIDなどの情報を知らなければ、商談にリーチすることはできないため、実際の営業シーンで活用するのはハードルが高い。また、ITに詳しくなければ、ふだん使い慣れていないシステムをパソコンで設定することも、大きな手間になってしまう。一見小さく見えるが商談を始めるときの壁になるものを、簡単な接続性・誰でもなじみがある電話を使うことで解決した。

 誰にでも使いやすいサービスは、使う人のことを考えて工夫をかさねたプロダクトから生まれると中島社長は考えている。たとえば、「bellFace」の画面を開いて4ケタの接続ナンバーを入れるだけでつなげられるシステムは独自で開発した技術で特許を取得している。

 「bellFace」は、お客さまの使っているデバイスやブラウザの種類にかかわらず、どんな環境でもつなげられる。相手の環境を問わず営業で使えるためには、その努力なしにはかたちにできない。どんなときでも営業で使えるツールとしてあきらめずに開発してきた結果、いまの「bellFace」が生まれている。

 世の中には、たくさんのITツールがある。使ってみると便利なものでも、使い方がわかりにくかったり、難しかったりすると、ITに詳しい人でなければ二の足を踏んでしまいがちだ。ベルフェイスの事業が伸びているのは、誰でもわかりやすく使えることを徹底して追求してきたからではないだろうか。

(続く)
【取材・文・構成:石井 ゆかり】

(2)
(4)

関連記事