2024年05月05日( 日 )

参議院議員・経済評論家 藤巻健史氏ブログ~ドル仮想通貨口座開設のススメ

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 NetIB-Newsでは、参議院議員で経済評論家の藤巻健史氏のメルマガを掲載している。今回は、日銀・黒田総裁についてやドル資産と仮想通貨口座開設のススメなど4編。

(1)幸夫の友達、今は私の友達

 以前のメルマガに幸夫が書いた文章を載せたところ、幸夫の思い出を書いたメールを何通かいただきました。(選挙準備で忙しく、すべての方にご返事できず申し訳ありません)

 幸夫は、短くはありましたが、すばらしい友人・知人に囲まれ、楽しい人生だったとつくづく思います。

 幸夫の友人で、幸夫が亡くなった後に、知り合い、親しくなった方も何人もいらっしゃいます。幸夫に感謝!です。

 パーティーできれいな女性が私に近づいてくると、「あ、まただな」と思うようになりました。声掛けをしてくださる言葉が想像できるのです。「生前の弟さんを存じあげておりました」です。

 家内と2人で行った三軒茶屋のお鮨屋さんで偶然、幸夫の友人と会いました。先方はカウンターで2人で反対を向いて話し込んでいたのですが、1人がひょっと後ろを向いた瞬間に私と目があいました。

 途端に「あ、お兄さん!」と素っ頓狂な声を挙げたのです。落語家の林家木久蔵師匠でした。それから親しくなり、木久蔵師匠の落語会にしょっちゅうお邪魔しています。

 師匠も何度も我が家に遊びにきてくださるようになりました。何かの機会で私が「そんなことしたら、畳の上で死ねません」と発言した後、我が家のかってを知った木久蔵さんからメールがきました。「あれ~、そんなこと言っても、藤巻さんのお宅には畳ないじゃないですか?」

(2)くたびれている黒田日銀総裁?元気のない黒田総裁?

 JPモルガン時代の部下のX君から電話がありました。「先日の財政金融委員会の参議院テレビ(YouTubeにもあり)見ましたけど、藤巻さん、ずいぶん攻撃的になりましたね~」。日銀に出口のシミュレーションを出せ、と要求している時ですね。

 そうか~。でもJPモルガン時代も「支店長はディーリング・ルームのなかに入ると人が変わる」と言われていたじゃないないですか。そして、よく円形脱毛症ができていたでしょう!

(3)週刊朝日の連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

 少し古くなりますが、第262回は「中国は世界に冠たるキャッシュレス」というタイトルで以下の通りでした。

 「男は泣いちゃいけない。泣いていいのは財布を落とした時だけだ」。確か落語家の先代林家三平師匠のお言葉だったと思う。私は三井信託銀行入行後、初ボーナス20万円を現金でもらったその日、飲み屋からの帰りに落として号泣した。

    ★  ★

 20年近く前、中国・天津郊外の大学にI週間、金融の講義に行ったことがある。日中友好事業の一環で、宿泊先の学生寮まで中国人通訳が案内してくれた。

(中略)

 仕方なく、近所の店へ水を買いに出かけたところ、現金(人民元)の持ち合わせがないことに気づいた。

 支払いをしようとしても、地元商店街の人たちは円紙幣、トラベラーズチェック。クレジットカードのいずれも見たことがない様子。完全な現金決済社会で水は買えずじまいだった。

 その中国がこの十数年間で、世界に冠たるキャッシュレス社会となった。

 いつの話だったか、はっきりと覚えていないが、米国のオバマ前大統領が訪中した際、「3年以内にVISAやマスターのクレジットカードを中国内で使えるようにする」と中国側からの約束を取りつけたとのニュースを記憶している。

 3年経っても、これらのカードは普及しなかった。しかし、クレジットカードを飛び越し、中国はQRコード決済(=店舗での支払時にスマホのアプリなどでQRコードを表示することで決済)の時代になった。

 中国では、昔ながらの青空市場でモノを買う際も、決済になるとスマホを取り出してピピピと簡単に代金を支払える。そんな前近代的な取引形態と最新の決済事情とのギャップに、金融庁の遠藤俊英長官が中国視察の際に驚いた、との話が漏れ聞こえてくる。決済に関して中国は急発展した。

 日本は相変わらずの現金社会が続いている。優れた印刷技術で偽札が出回ることはまれで、犯罪が少ないため大量の紙幣をもち歩いても安全。キャッシュレス化の必要に迫られなかった。

 一方で、現金決済はデメリットが多いことも事実だ。入金や引き出しのためにわざわざ銀行へ行く必要があり、時間的ロスが大きい。前日の売上を毎日銀行へ入金しに行く個人商店主も多いだろう。送金の際は現金書留で送るか、銀行口座にお金を入れなくてはならない。

 現金だとおつりの計算が大変だし、インフルエンザなどの伝染経路にもなり得る。脱税やマネーロンダリングも助長する。世界がキャッシュレス化しているのに日本だけ現金社会のままだと、外国人観光客が戸惑う…。さまざまなデメリットがある。

 世界中が携帯電話を使っているのに、日本だけは固定電話に固執している。日本のキャッシュレス化の遅れについては、そんな認識が必要だと思う。

(4)日本の財政危機に対して、個人はどう荷を守ればいいか?

 前回、ここまで日本の財政が悪化し、日銀がメタボ(お金をばらまく)になった以上、なにか備えをしておいた方がいいのではないですか、と書きました。火事の確率があがったから火災保険を買っておいた方がいいですよ、というアドバイスと同じです。

 それに対しメールマガジンの読者の方から、「では、どういう保険がいいのですか?」との問いがあったのでお答えしたいと思います。ただ、実際行動される時は自己責任でお願いいたします。責任は取れませんので。

 ドル資産を買う。仮想通貨の口座だけでも開く。住宅ローンを変動金利から固定金利に変えるというのが基本でしょうか?金もオールマイティーではないですが、悪くないと思います、

 それではどんなドル資産か? ドル預金または所得の高い方はドルのMMFでしょう。外貨預金の為替益は雑所得の総合所得で、ドルのMMFの為替益は20%の源泉分離ですので所得に応じてどちらの税金が安く済むのかをお考えください。ドルのMMFは日系または日本で営業している外資の銀行、証券会社で買えます。

 債券は期間が長ければ長いほど、同じ1%の金利の上昇でも値崩れが激しくなるので、私は短期のドル資産であるドル外貨預金かドルMMFがいいと思います。長期債は今、金利が下がり(価格が上昇)しているので利益確定売りで短期債やMMFに切り替えるといいかもしれません。

 現在は金もうけをする時期ではなく資産を守る時期だと思っています。

 また、仮想通貨はせめて口座だけでも開いておくことをお勧めします。開設にはやはり1週間とか時間がかかります。なにかきな臭くなればもっと時間がかかるでしょう、そのことを考えて口座は開設しておく。そして1,000円でも1万円でもいいので数度、買いの練習をしておくといいでしょう。

 火災保険を買って、火事が起こらなくても、火災保険を損したと思う人はいないと思います。火事が起こらなくてよかった、と思うのが普通でしょう。この事態にドル資産と仮想通貨の口座だけでも開設しておくことは、それと同じだと思う。

<プロフィール>
藤巻 健史(ふじまき・たけし)

参議院議員。日本維新の会政調会長代行。元モルガン銀行(現JPモルガン・チェース)日本代表・東京支店長。元ジョージソロス氏アドバイザー。1974年に一橋大学卒業後、三井信託銀行に入社。ケロッグ経営大学院を修了し、MBA取得。モルガン銀行東京支店長、ジョージソロス氏アドバイザー、一橋大学や早稲田大学の講師、金融庁審議会専門委員などを経て、2013年7月参議院議員に。

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