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2019年07月11日 09:30

【もつ鍋業界最前線】ラーメン、明太子に続く福岡の食のコンテンツ(中)

高級感の「やま中」、好立地の「おおやま」

 観光客の増加や“モツ”人気の状況のなかで、事業者たちはそれぞれの戦略で対応している。ここでは、まずもつ鍋店のイメージを刷新することで差別化を図っている2社を例に挙げる。もつ鍋専門店の「やま中」2店舗を展開する(有)やま中と、同社の弟子筋に当たる「おおやま」を国内16店舗で運営する(株)ラブだ。

 やま中は1989年設立のもつ鍋店。福岡市の観光情報はもちろん、観光ガイドやタウン情報誌などにも必ずといっていいほど出てくる有名店だ。その店舗戦略は徹底した高級志向。凝った調度品を配置しているほか、一部店舗では高校生以下の入店を禁止するなど店内環境の整備に力を入れている。

 運営する本店と赤坂店ともに200席を超えるが、6名が収容可能な個室では1部屋3,000円の使用料を設定するなど徹底して高級感の演出に努めている。

 このやま中で修業したのが、2004年7月に福岡市博多区でおおやまを開業した大山力氏。3年後の07年6月にラブを設立、現在は福岡県内だけでなく大阪や横浜、東京、仙台など大都市圏に進出している。その戦略は駅近や駅ナカなどのアクセス好立地への出店で、仙台や東京ではファッションビル「パルコ」などの現在も求心力の高い場所で店を構える。福岡県内でも同様で、9店舗のうち博多駅の周辺に6店舗を配置。ほか3店舗は天神、福岡空港、アミュプラザ小倉のような人の行き交う場所に出店している。

 一見すると異なる戦略を取る2社だが、一方で共通しているのはサイドメニューに辛子明太子や馬刺しなど、もつ鍋以外の郷土料理を多数そろえることで「九州料理屋」としての側面を打ち出していることだ。

 やま中では辛子明太子や漬物といった“ツマミ”になるものが中心だが、ラブが運営するおおやまは店舗ごとにコース料理を用意、そのなかには明太子以外にも馬刺しや黒毛和牛のステーキといった本格的なメニューを盛り込んでいる。

情報発信で差別化図る

 福岡市内で「もつ鍋一藤」を展開する(株)Willing handsは先述した2社の戦略をさらに推し進め、清潔感ある和の調度で整えた店づくりとサイドメニューを充実させた。同社代表の大嶋洋平氏は06年に仙台市でもつ鍋専門店を開業し、09年に福岡に進出。13年に同社を法人設立し、現在は福岡3店舗を運営する。

 70席ほどの今泉本店、天神西通り店はともに天神のまっただなかに位置し、140席の博多店は博多駅の近隣という好立地にある。サイドメニューでは先に挙げた明太子や馬刺しのほか、サラダや甘味などさらに幅広く提供する。

 一方でSNSのようなネットメディアを使った広告戦略を展開、韓国語ブログで紹介されたことを自社ページで広報するなどブランディングに努めているほか、ウェブ上に採用専用ページを開いて人員の確保にも力を入れている。

 同社に限らず、後続のもつ鍋店では国内外の観光客を意識した情報発信という「空中戦」を盛んに行うようになっており、ふるさと納税返礼品に自社のもつ鍋セットを提供している事業者もいる。ある事業者は盛んにテレビや雑誌などに店舗を露出させ、芸能人の来店報告をこまめにSNSにアップするなど、「芸能人が来る店」という特異なブランディングを図っていた。

 SNS利用は当然の戦略でもある。もつ鍋がそもそも毎日食べるというタイプの料理ではなく、夏の旅行シーズンや秋から春先などの寒い時期が繁忙期。ほかの時期は外食産業全般と同様に、「スポーツ興行と争うことになる」。事実、サッカーワールドカップのような大イベントが開催されている際にはスポーツバーなどを除いて飲食店の多くは閑古鳥が鳴く。そんななかでSNSは、常連客などに「店の存在を思い出させる装置」として大いに有効に機能する。ある飲食店事業者は、「今日は予約がなく、ヒマになりそうです!」と毎夕に予約状況をブログやSNSで発信しては、顧客が来店するよう働きかけている。

(つづく)
【小栁 耕】

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