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2019年07月10日 14:05

健康と病気の間にある「未病」を見出す~未病総研・代表理事の福生氏が講演

説明会の様子

誰もが「未病」のセルフドクターになる時代

 7月8日(水)に開催された(一社)日本未病総合研究所の設立趣旨説明会(会場:(株)データ・マックス東京支社)では、生きている間じゅう、元気で幸せを感じて過ごせることを目指す、これからの「未病」ケアについて、同研究所・代表理事の福生吉裕氏の講演が行われた。

 最近話題となってきている「未病」は27年前に福生氏が身体の状態を「健康か病気かの二元論からの見方から抜け出して、健康と病気の間を「第3の体の状態」と呼びそれを「現代未病」として定義付けしたのが嚆矢となった。そして2013年に開かれた、「第20回日本未病システム学会学術総会」(名誉会長は前日本医学会会長高久史麿氏)で会長を務めた福生氏は学会テーマを「未病八策」として“これからの社会で大きな病気に向かう前の健康づくりをどう持続可能なシステムとして対応していくか”という八つのシンポジウムを組んだ。

 それが近年では、人生100年時代の社会保障を考えるなかで、この「未病」の存在が「産業界」と「教育・研究機関」と「官公庁」で注目され、「実用化」しだしている。たとえばこの数年間で制度化されたものに“機能性表示食品制度”や“かかりつけ薬剤師制度、”“ストレスチェック制度”、“検体測定室”“一般薬の還付制度”などがあり、これらは「隠れ未病システム」といえると福生氏は言う。

 さて、古来の中国では、名医だけが診ることができる一番難しい医学とされてきたのが「未病」。一方で超高齢時代の日本では、誰もが自分の体の「未病」のドクターになり、自分で自分の体を守ることを目指す必要がある。

 未病分類として、西洋医学的アプローチと東洋医学的アプローチの両方の観点がある。西洋医学的未病は、境界域高血圧や軽症糖尿病などの自覚症状はないが検査で異常がある状態をさし、東洋医学的未病は肩こりや冷えなどの自覚症状はあるが検査では異常がみえない状態のことだ。病気の数ほど未病があるといえる。自分の体の変化に鋭くなることで、大きな病気になる前に自分の体を守れる可能性が高くなる。

未病の概念

未病を正す~似ているようで違う「予防」と「未病」とは

 最近は「未病」を冠した自治体行事や会社、研究会も多く出来ており時代の流れであるのだが、時に未病は微妙でもあるので誤解や定義など混乱しないようしなければならない。「現代未病」としての整理と共有化も必要な時代となったと福生氏は警鐘を鳴らす。

 たとえば予防と未病は、似た言葉だと思われがちだが、「予防」は、病気にならないようにする「手段」であり、予防接種などは公的な対策「公助」のニュアンスが強いという。一方で、そのままでは病気に向かうところをこれ以上悪くならないように自分で対策することで改善できる「ゾーン」が未病である。この部分は「自助」でケアー出来る。さらに未病の範囲(ゾーン)を数値化してはっきりと見える化することは重要で、それがスマホなどの進化で見えるようになってきている。さらにビッグデーターの処理が進みAIやIoTの時代はより具体的に対応できるようになって来るであろう。と述べる。

未病は東アジアの共通の資源

 一方、少子高齢化は日本ばかりでなく東アジアの国々でも深刻な時期を迎えている。未病総研は既に中国、韓国、台湾の大学、研究所と未病(Mibyou)連携を構築しており、未病宣言を出すなど「ユニバーサル・未病・カバレッジ」運動も視野に入れている。

 「現代未病」では一歩先んじエビデンスを保有する日本が漢字文化圏の人々と連携して未病ケアを発信することが今後東アジアの人々に役に立つ。未病は東アジアの人々の共通の資源として使ってもらいたいと福生氏は言う。生きている間じゅう、元気で幸せを感じる生き方「未病息災(みびょうそくさい)」を目指している。

未病総研の活動計画~未病ケアを研究し、サポートする

 同研究所・事務局長の早乙女和雄氏は、未病総研の活動計画を発表した。高齢化社会の中で、未病の存在、範囲、意義を知り、未病ケアの実践ができるように研究や情報提供などを行う。未病ケア推進の一つとして、未病ケアを理解し、推進する企業と共同で「未病ケア産業協議会」を設立する。未病総研の顧問には日本医学会連合名誉会長の高久史麿先生と日本医師会会長の横倉義武先生を迎え、医学関係者の支援も受けている。また、未病ケア推進には一般市民の理解や協力が大切であり、一般市民の「ヘルスリテラシー」の向上を目的とした「未病サポーター」を育成し、未病セミナーを開催するなどの活動を行っていく。

<プロフィール>
日本未病総合研究所・代表理事 福生吉裕氏

 72年日本医科大卒。78年微生物学免疫学にて医学博士号修得。95年中国長春中医学院客員教授。第1回〜2回東京未病研究会会長。97年日本未病システム学会常任理事。01年(一財)博慈会老人病研究所所長兼日本医科大学客員教授。13 年第20回日本未病システム学会 会長。14年 日本未病システム学会理事長。19年(一社) 日本未病総合研究所を設立し、代表理事に就任。

 日本未病システム学会認定未病医、日本内科学会認定医、動脈硬化学会評議員、日本老年医学学会指導医・評議員。専門領域は動脈硬化、高脂血症、膠原病、老人病の臨床であり、現在は主に未病と抗老化を研究している。著書共著に「セルフ・メディカ」「免疫からみた動脈硬化」「未病息災」「メタボリックシンドロームは未病で治す」「未病医学入門」「未病医学テキスト」など多数。

【石井 ゆかり】

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