わらび座ミュージカル「ジパング青春記」特設ページ
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2019年07月25日 14:10

華南経済圏視察を振り返って(4)~習近平中国共産党総書記殿・香港を「泳がす」寛容さが大切よ

 トランプ大統領の中国・華為技術への不当な弾圧は許されたものではない。しかし、習近平総書記も香港の扱いに関して、もう少し余裕をもって対応すべきではないだろうか。要するに自由度を与えるということである。香港が中国直轄支配となれば、一晩で国際経済活動の拠点としての地位を失ってしまうことは間違いない。その辺りをよく考慮して寛容な対応を願う。

 本シリーズの(2)でマカオについて触れた。中国政府はマカオの賭博産業の運営に関して柔軟な対応をしている。そのおかげでマカオの経済は潤い、市民たちは「ハッピーな気持ち」を抱き、満足しているのだ。百点満点の統治施策である。しかし、中国直轄となれば、賭博産業を許容することができない。この成功の統治策を教訓としながら、香港を「泳がす」ことに専念されたらいかがだろうか!

香港市場へ上場の斡旋

 現状の香港の経済自由度が保証されていれば、まだ日本の企業は、この地に上場するメリットがあると判断する。3社程、香港市場への上場の提案を行っている。1社は香港市場へ上場する決断を行うかもしれない。さて何がメリットなのか?(1)早ければ9カ月で上場できるスピード(2)日本で上場するよりプレミアム益が5~10倍得られる可能性が高い。

 そして何よりも(3)上場前に株取引してくれるメンバーは香港の信頼できる企業群で、多様な業界に跨っていることである。この企業群がビジネスパートナー役を担ってくれるのだ。表現を換えれば、彼らが中国、東南アジアの市場開拓にも汗を流してくれる可能性が高い。上場によるプレミアム益を握れるのと二重のメリットがあるのだ。

規制のない経済活動の前提が香港の活性力の源

 10年前まで、コンサルタントが富裕層に対し、香港での口座開設を勧めていたことがある。そのコンサルタントは、かなりの数の口座を開設させた。富裕層たちもひと安心したのであるが、最近、どうも風向きが変わってきた。日本政府が金融機関に日本人預金者のマイナンバー提出義務付けを要請しているのだ。それに大半の金融機関が迎合し、HSBCも日本政府にすり寄っている傾向にある。

 こうなると香港は資産移転、資産隠しの場所としての魅力が薄れてしまう。強力なライバルも現れた。シンガポールである。日本の超リッチ層の最近の逃避先はシンガポールになってきており、LIXILの元オーナーやドン・キホーテの創業者などが移住したことは有名な話。アメリカの有名な投資ファンドのトップも祖国を裏切ってシンガポールに移住した。どうも経済活動の面で香港はシンガポールに押されっぱなしだ。

中国と関係なく香港は成長してきた

※クリックで拡大

 まずは香港の人口推移表を参照されたし。1980年の人口510万人から2019年には755万人と約40%増加している。これほど急激に人口が増加すると住宅用のマンションを建設する場所がなくなってくる。

 香港の主体は九龍半島・香港島だった。これまでは海岸線を埋立してきたが、もはや限界。かつては無人島だった香港国際空港の隣接地区まで高層マンションが林立している状態だ。

 1980年以降に生まれた若者たちは「中国人としての意識がなく、自分は香港人だと思っている」のが自然な思考だ。だからこそ、習近平総書記による巧妙な統治が求められるのである。

 香港国際空港も時流に乗り、急成長している。中心部から40km外れたランタオ島に空港を移転したのは1998年7月のことである。筆者は1998年11月に新空港に降りたった。そこから鉄道で50分かけて九龍に到着したときに空港建設プロジェクトの壮大さを思い知った。

 香港国際空港は2018年で旅客数7,470万人、発着回数42万7725回、貨物取扱数510万トンといずれも過去最高を記録している(香港国際空港資料)。

逃亡条例をめぐる収拾案~余裕をもった対応策しかない

 中国本土へ容疑者の引き渡しを認める『逃亡犯条例』に反対する抗議デモを香港の若者たちが牽引している。注目すべきは200万人もの人がこの抗議デモに参加している点である。香港特別行政区政府は、こうした世論を考慮し、審議の無期延期を決断した。現在、デモを推進している黒服集団に対し、犯罪組織に関与しているとも噂されている白服集団が暴行を加えているという報道がされている。

 香港は1997年に返還されたものの、高度の政治判断で1984年に「一国二制度」の立場を確認して50年間、「高度な自治体の維持」推進を認めてきた。前記したように1980年以降、香港に誕生した若者たちは「自分が中国人という意識が皆無」という特性を有している。その層は毎年、増加の一途をたどってきたのである。

 現在の運動が「中国から独立」という色彩を帯びるようになったら、習近平総書記も黙っているわけにはいかないだろう。だが、現時点では余裕をもった対応が最善の選択だと思うのだが――。

 今回の視察目的(5)香港の若者たちの抗議運動の動向への回答である。

 (つづく)

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