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2019年08月30日 16:30

【大学生のインターンシップ修了記】有田焼のこれから~未来を託された者として

 株式会社データ・マックスは8月、福岡市内の私立大学からインターンシップ(職業体験)学生を受け入れ、主に流通分野の調査業務などで研修を実施した。2週間のインターンシップを体験したのは、実家が有田焼の卸売販売業を営む2年生。今回、インターンシップの「卒業研究」として、家業=有田焼の未来について調査し、記事にまとめてもらった。

オリジナルブランド Lin japan
オリジナルブランド Lin japan

■知られざる有田焼の現実とこれから

 400年の歴史を持つ有田焼。国内外で伝統工芸品として広く認知され、受け継がれている一方、海外展開については企業によって対応が二極化しており、事業者の減少などさまざまな課題を抱えている。

 有田焼は、一般に「佐賀県有田町とその周辺地域で製造される磁器」とされている。1616年に豊臣秀吉の朝鮮出兵で連れてこられた陶工・李参平が有田で磁器の原料である陶石を発見し、日本で初めて磁器が焼かれた。佐賀藩の下で生産が拡大した。中には、1774年から現在まで宮内庁に納めている窯元もいる。各地には、近隣の伊万里港から船積みされ、出荷されたことから、「伊万里焼」と称されることになった。

日本で初めて陶石が見つかった場所
日本で初めて陶石が見つかった場所

 1650年からは伊万里港からオランダの東インド会社によって「伊万里焼」としてヨーロッパ各地に輸出され、ヨーロッパ貴族の間で人気となり、欧州初の磁器「マイセン焼」誕生にもつながった。この約100年間が有田の第一次黄金時代といわれる。廃藩置県の混乱を経ながらも、明治期には万博に積極的に出品して高い評価を受け、再び黄金時代を迎える。1896年に、現在の有田陶器市の前身である陶磁器品評会が開かれ、ゴールデンウイークには毎年約120万人の人が有田を訪れている。

■ニューヨークの展示会で見えた課題

タイル
タイル

 有田焼はいま販路を海外に拡大する動きがあり、伝統を維持しつつ時代への対応を求められる難しい局面を迎えている。

 国内では歴史と伝統に加え、一定の「有田ファン」による底堅い需要がある一方、十数年前までは業界間の連携があまり取られていなかった。近年は業界内で勉強会などを開催して情報共有を行い、業界全体で有田焼を盛り上げようとする動きあるはあるものの、個々の企業間の競争意識が強く、本格的に連携が取れていないという声もある。

 また、若い後継者が入ることで海外展開を見据えた商品開発やそれに伴う社内体制の整備が進む企業がある一方、伝統に縛られた旧態依然とした体質から抜け出せない企業もあり、「変化への対応」と言う意味では二極化が進んでいるようにも見える。

 肥前陶磁器商工協同組合による、1971年から2019年までの有田焼に関わる事業社数は、商社が1994年の116社、窯元が1998年の125社をピークに現在は約半数まで減少しており、有田焼を取り巻く現状は年々厳しくなっている。

 こうした現状を打破しようと、行政の支援のもと、有田焼を積極的に海外展開する動きがある。有田焼の歴史を振り返ると、1650年頃から海外で知られるようになってはいたものの、輸出事業として常に本格化していたわけではなかった。実際、有田焼全体の販売高における海外比率は5〜10%に過ぎない。

 佐賀県では、2016年から佐賀県米国市場開拓推進事業として、米国での販売をサポートする事業を行っていた。この事業は、米国の市場調査やテストマーケティングをもとに商品を開発し、米国での自立した販路開拓に向けて展示会に出品し、流通・販売の仕組みづくりを行うもの。昨年4月には、ニューヨークで行われた展示会『NY NOW』に有田焼関連企業が出展、同市内のセレクトショップや飲食店でテストマーケティングも行われた。

 日本では圧倒的なブランド力を誇る有田焼だが、来場者による聞き取り調査(テストマーケティング)では、88%の来場者が「有田焼のことを初めて知った」と回答したという。また、商品の美しさや繊細さは評価されたものの、現地のライフスタイルに合わないこともわかり、現状ではブランド力で売り出すことも商品力で勝負することも難しいことがわかった。そうした中で光明だったのが、今年2月に、有田焼有力企業の香蘭社が『Best New Product Award』を受賞したことだった。さらに今年8月に開催された同展示会では、金照堂がアクセサリー部門で『BEST IN SHOW』を受賞した。

■有田焼を途絶えさせないために

職人の技
職人の技

 有田焼が衰退していくのは避けられないように思う。ただし、その衰退を少しでも遅らせることは可能で、そのためには商社間、窯元間はもちろん、商社と窯元間の交流が不可欠だろう。主に後継者不足などを背景に、海外展開や規模拡大などを志向しない窯元もあるが、そういった窯元に対する助成など、支援体制の強化や情報提供がより必要だと感じる。

 国内市場は、通販による販売網の拡大や異業種とのコラボレーションなど、新たな販路開拓も必要だ。海外市場については、各国販売先の商習慣の違いやコミュニケーション不足などもあってマーケティングの段階でうまくいっていないと感じられる。有田焼のブランドだけではなく、歴史や文化を含めた交流がもっと必要だ。有田焼の伝統を含めた美的魅力と有用性をいかに伝えるか。現地の消費者や在日外国人のニーズをさらにリサーチし、「世界で必要とされる」有田焼を届けたいと思う。

店内
店内

<プロフィール>
インターンシップ研修生/K.S.

 佐賀県有田町出身。高校卒業後、福岡市内の大学に進学。現在2年生で弓道部に所属。有田焼卸販売の会社を経営する父の影響で有田焼に関する仕事がしたいと思っている。特に、国内だけではなく、海外の多くの人に有田焼を使ってもらうことを夢見ている。

▼関連リンク
金照堂

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