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2019年09月06日 13:24

スーパーマーケット 表の事情と裏の事情(5)~見切り値下げの功罪

 鮮度が落ちれば当然値下げをするというのは食品スーパーでは常識である。もちろん、衣料品の世界でも販売期間は違うが売れ残りの値下げは必然だ。では、値下げはお客の心理にどんな影響を与えるのか?

 少し見方を変えると値下げとはお客にとって手持ちのお金が増えることである。お金の価値が増えれば、より多くの商品が買えることになる。これは楽しい。人間は基本的に比較と損得の生き物だからだ。常に人は比較し、その価値を推し量るからだ。

 『味を占める』という言葉があるが、見切りもお客にこのイメージを与える。さっきまで1.000円だった刺身が半額。これはおいしい。もちろん食味ではなく価格が…である。

 では見切りの効果を考えてみよう。値段を下げるというのは価格弾力による販売量を大きくすることである。それによって廃棄を減らし、利益はともかく原価の一部は回収できる。しかし、そのためのデメリットが生まれる。

 それは正当な価格で買ってもらうという売買の前提が壊れることだ。一度安く買ったものの、価値は買い手にとっては安い価格が当たり前になる。値下げを繰り返せばお客はそれを目当てに買いに来るようになる。廃棄は減らせるが価格の信用はなくなる。

 価格の信用がないのは店の信用がないことと同じだ。当然、それは生鮮品に限ったことではない。スーパーマーケットでは一般にグロサリーの粗利率が低い。その理由は定番といわれる普通の価格のモノが売れないからである。

 購入頻度の高いグロサリーは頻繁に特売にかかる。あえて定番といわれる通常価格で購入するお客は多くない。売上の少なくない部分が特売によるものだから結果として利益率が低くなる。

 全品をEDLPで販売するディスカウンターと変わらない粗利益率になるという皮肉な結果になることも少なくない。とくに競争の激しい地方スーパーマーケットでこの傾向は顕著だ。

【筑前 太郎】

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