• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年01月16日 07:00

従来の業界イメージを覆し高収益の近未来型水産業を体現 一樹百穫 

水産業
(株)三陽

大海原に勇ましく繰り出す自社漁船「栄興丸」
大海原に勇ましく繰り出す自社漁船「栄興丸」

漁業会社をM&A取得

 旧態依然とした水産業界に風穴を開けよう。いや、すでにポッカリと大きな穴を開けたと言っても過言ではないのが、福岡市中央区長浜に8階建ての自社ビルをかまえる(株)三陽だ。同社の歴史は1991年に始まる。現代表取締役・長谷幸一郎氏が、たった1人で興した(株)三陽商店がその前身だ。

 市場で魚を仕入れるには買参権という特別な権利を手にしなければならない。水産業界における絶大な既得権であるが、当然、後発の長谷氏にそんなものはない。そこで知恵に知恵を絞り打った手は、関東の小売業者に直接卸していこうという奇策である。仲買を通さないから多少高く買った魚でも利益が出る。労力を必要とするから誰も真似しない。しかし、この策が、同社発展の起爆剤になる。

 着実に力をつけた同社は、やがて当初の狙い通りに買参権を獲得。同業他社が仲買人を頼るなか、川上から川下までという独自の販売網を武器に驚くべき躍進を見せるのだ。その後の活躍は枚挙にいとまがないが、令和元年3月には、海洋漁業を手がける海興水産(株)までその一員としている。三陽の企業としての基盤は、ますます堅固なものになったといえよう。

グループの総合力で躍進

鮮度抜群のアジフィレを使った人気メニュー
鮮度抜群のアジフィレを使った人気メニュー

 もちろん、同社の強みは販売ルートだけではない。アジフライ、アジフィレ、サバフィレ、いかしゅうまいといった水産加工品の取り扱いに加え、商品にも強いこだわりがある。最新の超高速冷凍技術を取り入れた商品開発に挑むほか、加工過程で生じていた魚の不要部位を養殖用のエサとして商品化するなど、挑戦を重ねる姿には業界全体が注目する。こうした取り組みが商品に付加価値を加え、高収益を実現しているからだ。

 佐賀県唐津市の(株)マルサンフーズ、長崎県松浦市の(株)ウエストジャパンフーズ、福岡市鮮魚市場の地元仲卸業である(株)魚伸、本社自社ビルを始めとしたグループ所有不動産の管理を手がける(株)サンヨウサービス、そして前述の海興水産(株)を加え、5社のグループ会社が、それぞれの強みを生かし有機的に結びつくことで、単体ではできないビジネスを一体となって推進していることも強みの1つだろう。また、17年には東証一部上場の水産物卸会社、東都水産(株)の筆頭株主として長谷氏が取締役に就任した。業界大手である東都水産との連携と協業。より大きな未来が見えたこと、そして活躍の場がさらに拡がる可能性に、社員たちは期待を膨らませている。

福岡市の自社ビルを始めとし各地に拠点を有する
福岡市の自社ビルを始めとし各地に拠点を有する

目指すのは業界の雄

 日本人の魚の消費量が下降しているだけでなく、中国等の影響で漁獲量まで減少している近年。三陽は単体で185億円、グループでは300億円という売上実績を誇る。業界全体が先細るなか、なぜ三陽だけが右肩上がりの成長を見せるのか。

 理由はこうだ。いくら消費量が減ったといえ、日本人にとって魚は欠かせない栄養源である。加えて昨今のヘルシーブームの後押し。水産業を取り巻く環境が決して暗澹たるものでないことはよく考えればわかる。要はやり方次第という話だ。しかし、従来の概念に縛られず、業界関係者が目をみはるやり方で事業を進める三陽のパワーの根源はどこにあるのだう。長谷氏は熱く語る。「我が社のモットーは“挑戦”です。立ち止まっていては成長はないという考えのもと、社員が一丸となって水産業を今以上に陽のあたる産業にしていこうとしています。高収益の企業を体現することで業界の常識を覆したい。やり方次第でもっともっと拡大できる業界であることを示したい。それが私たちの気概です」。前述の東都水産の話題からもわかる。新たな水産業のあるべき姿を強烈に問いかけることで、同社は業界の雄を目指しているのだ。

失敗を糧にできる人材

 挑戦を掲げる三陽での仕事のやりがいについて長谷氏は「当社で働くということは、すなわち水産業を変革していくということです。他社がやっていることを真似るわけではありませんから、誰かに言われてから動こうといういわゆる待ちの姿勢の人には、まったく面白くない職場かもしれません」と説くが、すなわち求める人材像は、水産業界に一石を投じる長谷氏のように、自ら仕事をつくり自分で世界を切り拓いていける者ということになる。しかし、そうした行動には失敗がつきものだ。「もちろん仕事で失敗することもあるかもしれない。いや、むしろ失敗はあって当然の仕事です。だからどんどん失敗してくれてかまわないと思います。大切なのはその失敗を次の機会の糧にできること。挑戦する気持ちを忘れず、常に未来を見つめて行動できる人材こそが、当社がこれからますます必要とする人材です」。

 責任感、使命感、そうした職場だからこそ得られる達成感が、三陽という企業がもつ何よりの魅力だ。業界の常識にとらわれない人材、自己実現を目指す人材…もし、自分がそうだと思うなら、ぜひ同社の門を叩いてみるといい。きっと水産業に対するイメージまで変わるだろう。

魚はいつの時代でも日本人にとって大切な栄養源
魚はいつの時代でも日本人にとって大切な栄養源

代表:長谷 幸一郎
所在地:福岡市中央区長浜2-3-6
設立:1992年4月
資本金:1,000万円
TEL:092-718-7834
URL:http://sanyo-jp.com

25周年記念出版雑誌 『一樹百穫』 一覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

pagetop