2024年03月29日( 金 )

ベトナムで勢いを増す韓国企業(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 LGエレクトロニクスも2015年、下請会社とともに、80万m2規模の敷地にハイフォンキャンパスを造成し、2028年までに約15億ドルの投資をする計画である。そこでは、テレビ、携帯電話、洗濯機、エアコンなどを生産し、東南アジアをはじめ、世界各国に輸出をする生産拠点にしようとしている。

 ポスコベトナムは2009年、ベトナムに5億2000ドルを投資し、薄い鋼板を生産する冷延工場をホーチミンから80km離れたバリア・ブンタウ省に建設した。年産120万トンの生産キャパで、東南アジア最大の規模を誇っている。

 ベトナム経済が発展すると、インフラの整備、都市建設に鉄鋼の需要が増えていくことを見越して、ポスコはベトナムに進出しているわけである。ベトナムの経済発展とともに、この狙いは的中している。

 SKグループは1兆2,000億ウォンをベトナムナンバーワングループであるビングループに投資し、持ち株の1.6%を取得。ビングループは不動産開発、医療サービス、ホテル業などを営むグループで、ベトナム証券市場の時価総額の23%を占めているグループである。

 発展途上国では銀行の株のほとんどを政府がもっている場合が多い。ベトナムの最大手銀行であるBIDVも例外ではなく、ベトナムの中央銀行が95.3%の株式を保有していた。今回の韓国のハナ銀行は同銀行の株に1兆249億ウォン投資することによって、15%取得することができた。韓国の銀行最大手である新韓銀行も、総資産37億4、600ドルで、ベトナムの外資系銀行のなかでトップの座についている。

 現代自動車はベトナムの自動車組み立て分野の最大手であるタインコンに900億ウォンを投資し、50対50の割合で合弁会社を設立した。現地の地盤を確保したことによって、今年は昨年同期と比べて84.3%という驚異的な成長を記録している。

 その他、流通、サービス業などの分野でも、韓国企業はベトナムで健闘している。CJ CGVはベトナム1位の映画館チェーンであると同時に配給会社となっている。ロッテデパートはベトナムにデパートとスーパーの明確な区分がなかったなかで、高級化という差別化に成功し、順調に売上を伸ばしている。

 ロッテリアはファーストフード店のなかで、グローバルブランドを制し、店舗数で1位を突っ走っている。CJオーショッピングもテレビショッピング分野で、市場シェア60%を取り、断トツの1位となっている。

 韓流ドラマなどの影響で、ベトナムにおける韓国のブランド力は、ますます高まりつつある。

 このようなベトナム市場だが、良いことばかりではない。ベトナム人の離職率は30%に上るというのだ。すなわち、100名採用すると、そのうち30名はやめる計算になる。

 今は人が多いので問題にならないが、サムスン電子のような会社では、年がら年中、人を募集せざるをえないようだ。ベトナムには最低賃金制度があり、毎年賃金が上がっている。今は人件費が安いので魅力があるが、ベトナムも中国の二の轍を踏む恐れがあることを肝に銘じる必要があるだろう。

 韓国企業は今のところ、人口1億を抱え、若い人が多く、経済発展が見込まれるベトナム市場での勢いを増しつつある。

(了)

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