2024年04月16日( 火 )

山本太郎氏が舩後・木村両氏の厚労委員会入りなど主張

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スライドを使い、「命の選別」に異議を唱える山本氏(2019.10.25筆者撮影)
スライドを使い、「命の選別」に異議を唱える山本氏(2019.10.25筆者撮影)

 れいわ新選組の山本太郎代表は25日、同党所属の舩後靖彦(ふなご・やすひこ)・木村英子の両参院議員が厚生労働委員会に入れないことと、文字盤を通して舩後氏の意志を確認する時間が質問時間に算入される現状を「合理的配慮ができていない」として改善を主張した。佐賀市内で開かれた対話集会で述べた。

 対話集会は「山本太郎とおしゃべり会」と名付けられ、佐賀市文化交流プラザで午後6時すぎから開かれた。市民約180人が参加し、約2時間半にわたって質疑応答をした。

 2番手で当てられた男性は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の舩後氏と脳性まひの重度障害を持つ木村両氏について「活動しにくい人を選んだ理由は」と質問した。
 
 山本氏は「役に立たなそうな人間は生きていちゃ駄目みたいな空気感が広がっているのが今の日本」と戒める一方、木村氏が施設を出て地域で生きる権利を勝ち得たことや、舩後氏が事業所の副社長として活躍していることを紹介。

 「活動しづらい人がいるなら、活動しやすくすればいい。そこを合理的配慮するのが国会だ」と主張した。

 現在の日本社会を「生産性で人間の価値が測られる」と批判。「生きるのが苦しいことに対し、あなたが頑張らなかったからじゃないかとの自己責任論が拡大している。これが行く所まで行ったら、命の期限まで決められかねない」と警鐘を鳴らした。

 麻生太郎副首相が2016年、北海道・小樽市内での演説で90歳の人について「いつまで生きているつもりか」と発言したことを挙げ、「財政問題を入り口に人間の命の期限が決められる状況が将来、来てもおかしくない。だから生産性で人間の価値を測らせないことを社会の約束にしなければ」と訴え、両氏が当事者としてブレーキ役を果たせるとの考えを示した。

 そのうえで山本氏は、2つの問題を挙げた。1つは両氏が厚生労働委員会に入れてもらえないこと。現在、舩後氏は文教科学委員会、木村氏は国土交通委員会に所属する。「譲ってくださったほうが世の中にプラスの議論が生まれると願いしていたのに、そこはスルー。無視」と糾弾した。

 安倍晋三首相が4日の所信表明演説で「15年前、1人のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の方にお会いしました。舩後靖彦さんの当選を、友人として心よりお祝い申し上げます」「誰もが思う存分その能力を発揮できる一億総活躍社会を、皆さん、ともにつくり上げようではありませんか」などと述べたことに言及。

 「政治利用はするが、実際、政治の場では譲るということをしてもらえない。野党側に頼めって。ただでさえ、数が少なく、しかも(希望者の多い)厚生労働委員会なのに。もう少し余裕を見せて、懐深いところを」と自民党に注文を付けた。

 「もう1つは舩後さんがコミュニケーションを取る質問をするとき、原稿をあらかじめつくり、誰かが代読もしくは読み上げ機による機械音で質問する。それだとやり取りのなかで生まれた疑問については質問できない」と問題提起した。

 舩後氏は介助者との意思伝達の際、透明な文字盤を使う。介助者が「あ・か・さ・た・な」など指を1字ずつずらしていき、まばたきで文字を特定していく。文章を紡ぐには時間がかかる。山本氏は「文字盤を使うときは、質問時間を止めてほしい。同じ20分でも、ほかの議員の20分とは違う」と強調した。

 そのうえで、「合理的配慮ができていない。野党側にもお願いしたが、『党のトップに言ってくれ』って。何言ってるんだ。委員会には野党側の理事もいる。その現場で起きている不合理に対し、トップ同士話せばいい。求めているなら」と改善を訴えた。

 「合理的配慮」とは、障がいのある人から、社会のなかにあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意志が伝えられたとき、負担が重すぎない範囲で対応することを求めるもの。国連の「障害者の権利に関する条約」の批准に向けた国内法として2013年に制定、2016年施行の「障害者差別解消法」に明記されている。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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