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2020年01月30日 07:30

「人のため、町のために」精神を受け継ぐ 人と組織の成長で次代を切り拓く 一樹百穫 

ホテル経営
(株)プレジデントハカタ

博多のにぎわいに貢献したい

代表取締役社長 友杉 隆志 氏
代表取締役社長 友杉 隆志 氏

 人のため、町のために奉仕する――。友杉家で代々受け継がれてきた精神である。(株)プレジデントハカタの前身、(有)友杉商事が誕生したのは1968年。博多駅前で「友杉賃貸ビル」を経営していたが、老朽化にともないホテルを建設した。当時、博多駅前にはホテルが少なかったため、山笠やどんたくを積極的に支援していた生粋の博多っ子だった創業者が、博多のにぎわいづくりに貢献できればという思いからホテル建設を決断した。

 94年10月10日、「明日のプレジデントに最高の休息を――」をコンセプトに、プレジデントホテル博多が開業した。2代目代表の友杉貴一氏は、全客室フロアごとにテーマを設け、それに合わせた絵画を飾るなど、常に上質な空間づくりに努めた。福岡では珍しかった「女性優先フロア」を設置したのも貴一氏であった。そのほか、空気清浄機や冷蔵庫、禁煙ルームなど、現在では当たり前と思われているような設備をいち早く取り入れるなど、先進的な取り組みで宿泊客から支持を集めた。

 2006年に貴一氏の跡を継いだ隆志氏も友杉家と博多っ子のお節介精神で「どうすればお客さまに喜んでいただけるか」を追求し続けた。その結果、事業はさらに拡大し14年には新たに「ホテル ラ フォレスタ」を開業した。

内部の充実で試練を乗り越える

プレジデントホテル博多(外観)
プレジデントホテル博多(外観)

 隆志氏が社長に就任した2年後の08年、リーマン・ショックが起き宿泊者数が激減した。同社にとって最大の苦難の時期であった。社長就任以来、隆志氏は組織の若返りを図り結束を強めようと、社員1人ひとりと向き合い続けた。経営理念の浸透、CREDO(クレド=企業の行動指針)の作成、社員研修の導入などさまざまな取り組みを行い内部の充実を図った。志を共にする組織は、強固な結束力のもと同社の成長に大きく貢献している。
その結果、リーマン・ショックによって落ち込んだ売上は、徐々に回復し14年には見事V字回復をはたした。「業績の回復は、ひとえに社員全員の成長のたまもの」と隆志氏は相好を崩す。

プレジデントホテル博多(ロビー)
プレジデントホテル博多(ロビー)

 興味深いエピソードがある。2館目となったホテル ラ フォレスタをオープンする際、求人広告を出さなかった。通常は媒体などに広告を出稿してオープニングスタッフを募集するものだが、ほぼ社員の紹介だけでスタッフが集まったという。働いているスタッフが友人、知人を誘う職場ということだけでも、同社が社員をいかに大切にしているかを知ることができる。隆志氏も「これまでやってこられたのは先祖や歴代社長、支えてくれる社員のおかげ。ホテル ラ フォレスタの開業も社員の存在があったから」と感謝を忘れない。

2館目の経営も好調

 14年にホテル ラ フォレスタを博多駅筑紫口にオープンした。ホテル ラ フォレスタは、イタリア語で森を意味する名前の通り、都会のなかのオアシスをテーマにグリーンを基調としたデザインで落ち着いた癒しの空間を演出、プレジデントホテル博多よりも若い層の20~30代の女性に人気を博している。

 客層は違っても、プレジデントホテル博多で培った細やかな気配りとサービスで、売上は順調に伸びた。ホテル ラ フォレスタは、経営権を譲り受けリニューアルしたものだが、リニューアル後は稼働率98%、客単価も150%増にまで引き上げるなど博多の人気ホテルに生まれ変わった。プレジデントホテル博多も16年に大規模な改修を行い、これまで通り30~50代のビジネスマンの支持を集め、30%以上のリピート率を誇るなど安定した経営を続けている。

ホテル ラ フォレスタ(ロビー)
ホテル ラ フォレスタ(ロビー)

 同社の強さは、スタッフの結束とその根底に流れる、良い意味でお客を他人と思っていない博多っ子の「お節介」と、もてなしの心である。「人のため、町のために」に奉仕する精神を共有し続け、さらなるサービスの充実に力を尽くす。この心はこれからも変わらない。

 さらに、日々刻々と変わる宿泊価格の設定は、インターネット時代におけるホテル経営にとっての生命線といえるが、同社は独自のノウハウを蓄積し最適な成功法則を導き出している。そのため、外部環境が変化しても成長することができているという。

社員成長の機会をつくり続ける

 福岡は都市としての発展が国内でも注目され、またアジアに近い地理的優位性もあり、来街者の数は大きく伸びた。それにともない、ホテルや民泊などの宿泊施設が次々とオープンし競争が激化している。

 ホテル経営は厳しい競争に生き残る工夫や取り組みが求められる業界であるともいえる。前述した通り、先進的な取り組みを行ってきたが、言い換えれば「過剰なサービス精神がプレジデントらしさ」ともいえるし、その精神はこれからも生き続ける。

 こうした精神を支えるカギになるのは、人材の育成である。「企業の進化・成長は個々人の成長に比例する。『企業は人なり』といわれるように、社員は会社にとっての人財。従って、我が社は社員が成長する機会と場をつくり続ける」(隆志氏)。階層別に必要な知識を習得できるよう、外部の教育機関にも積極的に社員を通わせている。また、社員旅行で社員の結束を図っている。この投資が、今の同社発展の礎である。

 「社員を可愛がっちゃれよ…」。先代会長だった祖父・淳治氏の最後の言葉が、隆志氏の経営の原点だという。さまざまな困難を若い社員とともに乗り越えてきたことで醸成した結束力は、次代を切り拓いていく力になっている。

<COMPANY INFORMATION>
代 表:友杉 隆志
所在地:福岡市博多区博多駅前1-14-7
設 立:1968年7月
資本金:2,400万円
TEL:092-411-6659
URL:https://www.presidenthotel-hakata.co.jp

25周年記念出版雑誌 『一樹百穫』 一覧

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