2024年03月29日( 金 )

【凡学一生のやさしい法律学】関電報告書の読み方~関電疑獄を「町の法律好々爺」凡学一生がわかりやすく解説(18)

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関電内部調査報告書解説【各論】

関電虞犯取締役らの違法行為と法匪による助長幇助

 虞犯取締役らの税法犯罪事実は公権的に認定され、疑う余地もない。虞犯取締役らも犯罪事実を認めている。脱税の事実を認めることは論理的に収賄事実を認めることであるから、法匪らがまったくこれを不問にし、隠蔽したことはそれだけで強い非難に値する。
 前述したように、虞犯取締役らは自らの違法犯罪行為に関して、取締役会の一員として決議に参加することはできず、除斥されなければならないことは指摘した。しかし、法匪らはそれを何食わぬ顔をして、虞犯取締役らの違法業務執行行為を助長幇助した。それがかたちとなったものが同書「報告書」に他ならない。そして、同書の内容が、私人による私人の犯罪行為の捜査に他ならない完全な違法犯罪行為であることも明白となった。
 これら一連の違法犯罪行為が継続発展したものが、文字通り外部の第三者(私人)への事件の調査委託である第三者委員会の委託設置である。受託したのがヤメ検の但木弁護士であることは何も偶然ではない。関電取締役会は違法な「私人による私人の犯罪事実の捜査の委託」を決議したわけであるから、その取締役会の決議には重大な法的瑕疵が存在することは明らかである。そのような明白な法的瑕疵がある委託を平然と受託する弁護士はやはりヤメ検以外にはいないのである。関電虞犯取締役らはまたまた巨額の不要の出費を会社に負担させ、自らの延命や犯罪弾劾を遷延・回避した。但木第三者委員会には何ら会社に有益な結果をもたらすことはない。どうせほとんど意味のない「調査結果」が報告される。
 これこそ明白な特別背任行為であり、受託者の但木弁護士はその幇助者そのものである。マスコミも国民もこの事件の本質を理解すべきである。

結語

 関電疑獄の再発防止のためには、違法事実・犯罪事実を証拠に基づき確定した事実認定が必要である。それができるのは検察による捜査か、株主が代表訴訟を提起して虞犯取締役の責任を裁判過程を通して問うしかない。検察が先輩弁護士らを忖度して犯罪捜査に着手しなければ、野党の国会議員は国政調査権に基づき、法務大臣の指揮権の発動を求めることになる。一般市民は、これまで公表された「公知の事実」を証拠に虞犯取締役らとともに事件の隠蔽歪曲を図った悪徳弁護士・法匪らを刑事告訴し、弁護士らには別途、懲戒請求を行うことになる。これが再発防止の具体的方策である。市民は自浄作用としての内部的再発防止策を夢みたいに期待しているが、それは百年河清を俟つに等しい。
 そして、聡明な読者はもうおわかりだろうが、たった一文、電気事業法に付け加えるだけで最良の再発防止ができる。それは関電の実態にも合致した立法である。つまり、関電等の電力事業者の従業員はすべて「みなし公務員」とする規定の新設である。この立法は当然、発注は競争入札が原則となる。
 この「みなし公務員規定」は関電の業務について一切、阻害要素はなく、自由に事業活動ができるから、反対する理由がない筈である。この立法ができなければ、日本は法治国、民主主義国とは名ばかりの腐敗横行の三流文明国と世界から烙印を押されるだろう。
 そして、最後に、独占公共事業の事業形態が「株式会社」とされていることが、腐敗の根源であるから、ちょうど、一般財団法人(純然たる私法人)が公益財団法人に「公益化」されるために存在する「認定法」と同じ機能を「電気事業法」にもたせなければならない。電気料金が「利益上乗せ方式」である限り、株式会社形態は国家的犯罪そのものである。実態は「電気料金」という名の税金であり、その税金を原資として株主に利益配当するのが株式会社形態の本質であるから、結局、税金を一部の株主に利益配当の名によって還流させていることになる。
 今後、この本質的矛盾の弥縫策として、発電事業、送電事業、売電事業等に分離方策等の政策が展開されるだろうが、それは所詮、利権の隠蔽変化過程にすぎない。

(了)

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