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2019年11月07日 14:40

【凡学一生のやさしい法律学】関電報告書の読み方~関電疑獄を「町の法律好々爺」凡学一生がわかりやすく解説(17)

関電内部調査報告書解説【各論】

前提となる事実・基本的な事実の確認

 調査報告書(以下、同書)によれば関電の役員で賄賂を収受した者は20名(以下収賄役員ら)とされている。贈賄者のMが作成した賄賂提供リスト(Mメモ)が公表されていないので、ほかの職員や政治家などへの贈賄の事実は不明だが、同書では不利益事実を自白しているから、少なくとも20名の収賄者の存在は真実である。Mメモが闇に葬られる蓋然性が高いことは、今回摘発された脱税期間が7年間と公表されていることにも示されている。この7年間は脱税犯罪の時効期間と一致する。つまり、Mメモの7年以前の記録はすでに闇のなかに消えている。故意に7年以前の犯罪行為について黙殺した同書はすでに、犯罪の隠蔽に加担している。

 犯罪行為は公訴時効によって消滅するのではなく、単に起訴できないというもので、不正行為自体は事実行為であるから、永久に存在し続ける。不正行為をした取締役が会社法上の責任を追及されることは当然である。取締役は会社に対して委任契約上の義務(債務)を負う。その民事上の責任は商行為ではないから20年の責任追及期間が存在する。もちろん、関電は義務違反の役員を全員直ちに契約解除(解雇)しなければならない。これを監視し、進言するのが、監査役、監査役会、コンプライアンス委員会の役割(職務義務)である。収賄役員らの解雇の必要性を隠蔽し、何食わぬ顔で、不正役員の業務執行を正当化ないし放任する同書が違法犯罪文書であることは明白である。

 同書を違法犯罪文書とする理由は、不都合な真実を故意に隠蔽し、結果として20名の収賄者の犯罪を隠蔽したことである。これは犯人隠避罪に該当する行為である。

 まず明白な事実を確認する。

 収賄者らは税法犯罪者である。受贈者は受贈を受けた年度の翌年の申告期限までに納税しなかった場合、脱税犯となる。従って、同書が各収賄者の受贈の時期を一切隠蔽したことは脱税の時効との関係を隠蔽した意味でも悪質である。しかし最も重大な隠蔽事実は、税務当局の脱税の指摘に対して各収賄役員がどう対応したかである。「収賄は会社業務を守るため、やむをえなかった(こんな馬鹿げた弁解が世間にも通用しないから、同書は批判を受けている)」という弁解、つまり、受贈の意思はなかったと抗弁すれば、当然、税務当局の課税処分に不服を申し立てているはずである。同書ではこの重大事実が一切隠蔽されている。

 そして、さらに重要な事実は、賄賂を返却している事実である。3名の弁護士はこの賄賂返却の法的意味について一切説明していない。この返却が収賄者個人の発意であるのか、全員が揃って返却していることから、会社の指示なのかまったく不明である。推察する他ないが、3名の弁護士のアドバイスによるものと考えられる。では、その一斉返却の法的意味は何か。盗人が盗品を窃盗犯罪発覚後に返却しても窃盗罪は成立する。法律では何も盗人の返却を待つまでもなく没収処分がある。つまり、犯罪で取得された金品は犯人が領得を続けられないのが原則である。没収される前にその没収処分を単に回避したものである。決して、罪の悔悟や良心に基づくものではない。

 さて、話は最初に戻って、税務当局の課税処分を不当として争うなら、賄賂の保持は矛盾であるから、返却の必要があるだろうが、その場合、収賄者らは誰に賄賂を返却したのだろうか。ここでも重大な事実が隠蔽された。Mの死後に返却事実はあったのかどうかについても返却の具体的事実の一切、とくにその日時と方法が隠蔽されているため、Mの生前と仮定する。問題は、収賄者らは賄賂をなぜMに返却したか、である。なぜなら、賄賂はMが持参したり送付したりしたものであるが、それは受注業者の代理代行であることは明白であり、そもそも公務員であったMに個人的に関電に賄賂を贈る意味などないからである。

 脱税犯罪は賄賂を収受した行為を処罰するものではなく、賄賂の受領により発生した納税義務違反を処罰するものである。しかし、前提となる賄賂の受領事実は真正に存在しなければならない。収賄者らが納税義務を争わないということは賄賂の受領を認めたことになる。同書は収賄者らが税務当局には賄賂の収受をみとめていることを知って、世間一般には賄賂の収受を否定した内容(賄賂の収受の意思はなかった。脅迫や恫喝を受けたもの。会社の業務を妨害される危険性を回避したもの)等々の弁解に終始した。明らかな矛盾の弁解で収賄者らの賄賂罪の嫌疑を否定した。これは賄賂罪の存在を世間の目から、法律専門家の見解として公表し、結果として隠蔽したものである。収賄者らの行為が犯罪と世間の人々が認識したなら、多数の刑事告訴告発人が出てもおかしくない。世間の多数の人々が収賄者らと3名の弁護士らを刑事告訴告発したら、検察も渋々動きだすしかないだろう。

(つづく)

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