収益の約4割を占める
西部ガスグループの傘下には、主要な企業だけで50社以上があり、「ガス」「LPG」「電力・その他エネルギー」「不動産」「その他」に分かれ活動している。今回から不動産事業を構成する企業について、現状を確認する。売上・利益の貢献が大きいからだ。
西部ガスHDの2025年3月期の決算によると、不動産事業は売上高423億2,100万円(前期比0.9%減)、セグメント利益42億9,900万円(同15.3%増)だった。同期における西部ガスホールディングス(HD)の売上高は2,544億4,200万円で、営業利益が105億3,000万円。不動産事業はそのうち売上高で約16%を占めるが、営業利益では約40%を占める。
西部ガスHDの26年3月期第3四半期については分譲マンションの販売戸数の増加などにより、不動産事業は売上高382億3,500万円(前年同期比43.0%増)、セグメント利益33億9,100万円(同 24.7%増)となっている。セグメント利益は、ガス事業の33億2,900万円をわずかだが上回った。このことからも、不動産事業が西部ガスHDにおいて非常に重要な柱となっていることがわかる。
不動産事業を構成する主な企業のうち、M&Aなどにより西部ガスグループ入りした企業は、(株)エス トラスト、九州八重洲(株)、西部ガス建設(株)などがある。このなかで業容が最も大きいのがエス トラストだ。同社は山口県下関市に本社があり、山口県と九州全域で「オーヴィジョン」ブランドによる分譲マンションや戸建住宅などを供給している。アイススケート場「オーヴィジョンアイスアリーナ福岡」のネーミングライツを有していることなどから、福岡では一定の認知度を誇る。
不動産事業の優等生企業
直近の連結業績と計画は【表】の通りだ。決算期が2月期であり、西部ガスHDの3月期とは異なるが、エス トラストの25年2月期の売上高192億円は、西部ガスHDの不動産事業の売上高約382億円の約半分を占める。このことから、不動産事業を牽引する「優等生」企業と称して差し支えないだろう。

注目点は26年3月期に売上高が200億円を突破する計画であること。100億円を突破したのが14年2月期であることから、約10年で売上高を倍増させることになる。これは17年に西部ガスグループ入りしたことに加え、エス トラスト不動産販売の設立や建和住宅(株)の連結子会社化なども寄与した。
そして何より、主力の分譲マンション販売が堅調であることが大きい。従来は地元の山口県や福岡都市圏を中心に展開していたが、土地高騰や適地の減少を受け、佐賀市や長崎市、熊本市、鹿児島市といった九州の主要都市での販売にも注力している。
ところで、同社はプロパーの藤田尚久氏が代表取締役を務め、東証スタンダード市場に上場するなど、西部ガスグループのなかで独立性を保ちながら経営を行っている。西部ガスHDに「買収された」というより、その信用力などを「利用した」と見て取れる。その点で、同じくM&Aで西部ガスグループ入りしながら、西部ガスHD出身者が経営トップを務める九州八重洲とは状況が異なる。
28年2月期を最終とする中期経営計画の渦中にあり、同期に売上高230億円、営業利益22億円、経常利益20億円、当期純利益14億円を計画している。計画通りに進めば、西部ガスグループのなかでさらに重要性が増すものとみられる。
次はエス トラスト以外の不動産事業を担う企業の動向を確認する。
【田中直輝】








