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2020年02月01日 07:00

労働環境を考え続ける若き経営トップのもと 独自輸送ネットワークを駆使しスピード成長 一樹百穫 

業種:運送業
(株)リュウセイ

七転び八起きの創業期

代表取締役 井上 竜毅 氏
代表取締役 井上 竜毅 氏

 最先端の大型冷凍トラックの前で、誇らしげな笑みを浮かべて立つ井上竜毅氏。(株)リュウセイの代表取締役、36歳の経営トップだ。同社は全国から福岡に集まる生鮮貨物を独自の輸送ネットワークを駆使して九州各地の店舗や倉庫に運ぶことを業務としている。創業は2007年。まだ13年目のフレッシュな企業だが、保有トラック数130台、社員数もその数に比例するかのように150名というから侮れない。若き経営トップのもと、ぐいぐいと成長を続けている。

 井上氏が起業したのは23歳の時。運送会社の従業員として福岡の魚市場に出入りしていたころ、とある人物がトラック購入資金300万円をポンと差し出してくれたことが始まりだという。若く威勢のいい井上氏に期待したのだろう。スタートは思いがけず好調だったが、そううまくいかないのも世の常である。

 「早朝から深夜までとにかく働きました。できることはすべてやる。このマインドは今も変わりません」。七転び八起きの連続のなか、魚市場ではセリから参加するなど、まずは業界関係者に認められることに努め、徐々に依頼先の要望に応える体制を構築。紆余曲折の末、ようやく今日に至ったのだという。

充実した労働環境づくり

 そんな同社にとっていちばんのテーマは新しい人材の獲得である。求人サイトの活用や自社ホームページの充実を図るなど、採用広報を積極的に繰り広げている。また、経営トップの井上氏自身がトラックドライバーであったこともあり(幹部らには止められるが、今もたまにハンドルを握ることがあるそうだ)、労働環境づくりは徹底している。目に見えるところでは、トラックそのものの投資もさることながら、運転席をドイツ製の高級シートRECAROに張り替え腰痛予防まで考えているという。また、ユニークなところでは、毎週のペースで整体師を本社に招き、希望する社員を対象に施術してもらう。もちろん費用は会社持ちである。

 「人材不足が指摘される業界ですが、今のところ必要な人材を着実に確保できています。採用した社員の定着率も業界においては高いのではないでしょうか」。そのほかにも食堂を兼ね備えた寮を設置するなど、独身者にとってうれしい福利厚生もある。ちなみに朝は食堂でつくった弁当が本社に届けられ、ドライバーたちはそれを食してから出ていく。食堂は一般の人たちも利用する店だそうで、味も折り紙付き。目指すのは至れり尽くせりの職場だ。

多様な人材が活躍する会社

有能なスタッフたち
有能なスタッフたち

 現在、井上氏を取り巻く経営幹部は、全員が井上氏より年長だという。しかもそこに親族の姿はなく、いわゆる同族企業でないことからは、同社の風通しの良さがわかる。また、井上氏自身も創業者でありながら決してワンマン経営者ではなく、柔軟な思考をもち、他者の意見を聞き入れた経営の舵取りができるトップなのだろう。「スタッフは有能な人材がそろっています。自分は彼らからまだ学んでいる段階ですから、ビジョン提示は道半ばですし、会社としての理念も未完成です」と、謙虚に語る井上氏。この謙虚さの底にあるのは、リュウセイの未来に対する絶対の自信、そして創業期の苦難を乗り越えてきたという自負だ。

 若き経営トップのもと、とにかく勢いが止まらない企業である。これから入ってくる人材は、将来の幹部候補になり得るだろう。もちろん、幹部ではなく自分は現場でずっと活躍したいという人材も受け入れる。多様な人材を受け入れる会社としての度量は、これからますます増していくからだ。それぞれが自己実現できる職場であること。将来ビジョンの提示はまだまだ先というが、井上氏が思い描くリュウセイは、きっとそんな会社だ。

3年後にはすべてを倍増

 他社と価格競争で闘ったこともあるし、有能な社員を引き抜かれ経営面、精神面で追い込まれたこともあるという。しかし、気付けば輸送エリアは南九州を除く九州全域へと広がっている。しかも、顧客第一の対応力を評価され、業績は右肩上がりなのが、今日のリュウセイだ。

 運送業は天職、趣味は仕事。いかに社員たちに快適な労働環境を提供するかを考えることが唯一の楽しみだと語る井上氏に、改めてこれからの目標を尋ねてみた。

 「将来ビジョンの提示もまだですから、正直、あまり遠い未来は見えていません。しかし、実現できるだろう目標をいうなら、3年後にはトラック数300台、社員数300名を達成するつもりです」。つまり倍増である。売上高も現在の30億円から一気に倍増していくということだろうか。かなりの高い目標だと思うが、聞いているこちらがあまりそう感じないのは、井上氏のこれまでの足跡、そして実績が無言の説得力をもって響いてくるからだろう。

 もう1つ面白い話があった。無事故の社員には毎月5㎏の新米を自宅に届けるという。その奥方を喜ばせるためだ。社員だけでなく、その向こうにいる家族まで見ているところが心憎い。

笑顔の絶えない職場
笑顔の絶えない職場

代 表:井上 竜毅
所在地:福岡市中央区長浜3-15-4(長浜本部)
    福岡市中央区赤坂3-11-26(本社)
設 立:2007年2月
資本金:300万円
TEL:092-406-4847
URL:http://recruit.ryuu-sei.jp/requirements

25周年記念出版雑誌 『一樹百穫』 一覧

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