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2019年11月11日 15:02

【注目!高知県知事選】福岡出身の野党統一候補と下村博文・元大臣支援のカジノ推進官僚が激突――れいわ旋風で奇跡の勝利あるか

浜田陣営の中心は、下村元文科大臣
浜田陣営の中心は、下村元文科大臣

■自民候補はカジノ推進の実働部隊官僚

 11月7日に告示された高知県知事選(24日投開票)が「大都会優先・地方冷遇」の安倍政治に対するイエスかノーかを問う与野党激突の決戦となりつつある。

 自公推薦の元総務省総括審議官の浜田省司(せいじ)氏は、大阪府副知事時代には政権肝入り政策のカジノ(大阪万博とセット)を推進、出陣式には英語民間試験導入の急先鋒とされる下村博文・元文科大臣が応援演説に訪れた。浜田氏は中央とのパイプの太さをアピール、「大阪万博を控えた関西の経済活力を引っ張ってくる」と、中央・大都会依存の経済政策を訴えたのだ。

 一方、野党統一候補の松本顕治(けんじ)氏(立民県連・国民県連・社民・共産推薦)は、山本太郎・れいわ新選組代表が訴える「誰もが切り捨てられない社会を」に酷似する、「だれ1人取り残さない県政へ」が旗印。自然環境を最大限に生かす農林漁業や再生可能エネルギーによる地域振興を重視、地方破壊のTPPや消費増税に反対するのも山本氏と瓜ふたつなのだ。

 海外カジノ業者を含む大企業や大都会優先の安倍政治の「実働部隊」(キャリア官僚)だった浜田氏と、地方自立型経済を目指す松本氏は対照的で、「中央・大企業依存型候補 対 地方自立型県民党候補」という対決の構図となっている。

自民候補の浜田省司氏(右)。選対本部委員長を務めるのは、「疑惑の元大臣」下村博文氏
自民候補の浜田省司氏(右)。選対本部委員長を務めるのは、「疑惑の元大臣」下村博文氏

■野党統一候補の松本けんじ氏は福岡市出身

野党統一候補の松本けんじ氏
野党統一候補の松本けんじ氏

 高知県知事選について下村選対委員長は囲み取材で、こう語った。「一地方の知事選ではなくて、国政に直結する大切な知事選挙になってきていたと思う。相手候補が共産党籍をもつ(野党)統一候補ですから次の衆議院選挙にも知事選挙の結果は影響すると考え、高知県の問題だが、今の国政や今後の選挙にもつながるという思いで党本部としても全力で対応していきたいと思う」。

 下村選対委員長が警戒感を顕わにする、野党統一候補の松本けんじ氏は福岡市出身。糸島市立前原中学校から私立中村三陽高校を経て高知大学人文学部を卒業。高知市に移り住んだ松本氏は、7月の参院選高知徳島選挙区で野党統一候補として善戦していた(2万票弱にまで肉薄)。その実績を買われ、知事選出馬で他党から要請されて野党統一候補となった。

 松本陣営の選対本部長は、無所属の広田一衆院議員(民主党政権時代の防衛政務官)、副本部長を立憲民主党県連代表の武内則男衆院議員が務める。共産系候補を他党が支える「深化(=進化)した」野党共闘が成立していたことに、下村氏だけでなく自民党本部は危機感を抱いているのだ。

 しかも、安倍自民党は岩手県知事選と埼玉県知事選で2連敗中、さらに大臣のダブル辞任も重なった。政権への影響を問われた下村氏はこう続けた。「やっぱり高知の知事選挙の今後の政局に、これまでの知事選以上に大きく影響すると考えて、しっかりと勝利に向けて党本部として対応していきたいと思う」。

■下村氏は疑惑追及に、「ためにする話(結論ありき)」と繰り返す

 普通の知事選とは違う重要選挙と位置づけた下村氏だが、告示日(7日)発売の『週刊文春』11月14日号に「安倍『お友だち』と英語試験業者の蜜月」と銘打った記事が掲載された。そこで下村氏に「民間試験導入は地方切捨て、格差拡大につながらないのか」と聞くと、下村氏は「つながらない。つながらないようにする」と答えた。「浜田さんも同じ考え方か」との問いには「話していないのでわからない」と回答。「教育業者のための利権事業という指摘もあるが」とも聞くと、「まったくありえない」「ためにする話。根拠もない」と疑惑を否定した。

 「民間試験導入が県知事選の争点になったら不利になるのではないか」とも聞いたが、「全然不利じゃない。まったく不利じゃない」と再び全否定した。続いて番記者らとの囲み取材となった。そこで私は改めて「民間試験導入は争点になると思うか。『地方切捨て』という指摘もあるが」と再質問をしたが、「もう民間試験については萩生田大臣が延期をして見直すということだから、争点にはまったくならない」と否定。「高知を含めて『(地方の受験者が)不利になる』とは考えないのか」とも聞いたが、無回答だった。

 だが、他媒体の記者が、「代議士と教育業界の癒着を民間試験に絡めて報道している一部週刊誌(週刊文春)があるが、代議士の見解を聞かせて欲しい」と聞くと、下村氏は再び語り始めた。

 「まったくためにする議論だと思う。そういうようなことはまったくないし、そもそも英語の民間試験はすでに4年前の段階で約3割、250を超える大学が導入している。業者のための入学試験というのはためにする議論」(下村氏)。

 「党内議論が不在」との自身の発言については、こう釈明した。

 「萩生田大臣が突然延期を決定したことが、『党に相談してもらいたかった』という意味で『党内議論が不在だった』と申し上げた。いろいろタイムリミットを考えたなかで萩生田大臣が止むを得ない決断をした。それはそれとして受け止めて、報告して欲しかった。ただ延期をするだけではなくて、政府に任せるのではなくて、自民党のなかで有効な民間試験の活用はどうしていったらいいのか。公正公平の視点からどういう課題をクリアーしていかないといけないのかということは党内議論でも指摘しようと思っている」。

松本陣営は、野党共闘の象徴となるか
松本陣営は、野党共闘の象徴となるか

■野党共闘+れいわ維新が高知から始まる?

 野党が民間試験導入中止を求めるのに対して、下村氏は必要性を改めて強調した。となれば、民間試験導入も高知県知事選の争点の1つに急浮上する可能性は十分にある。「大都市優遇・地方冷遇」の安倍政治に異論を唱えるのか、中央追随型なのかを問うことになるからだ。

 そこで野党統一候補の松本氏にも7日の野市町での街宣後、この問題について聞いた。

 「高知県のような地方に暮らす人たちにとっては、民間試験、今回の英語の部分もそうです、民間試験の導入がリスクになっているというか、県民の立場で考えたら、民間試験の導入には私は反対すべきだと。延期ではなくて中止すべきだと考えています。今のセンター試験が一定の完成度をもってやられているので、急いで試験制度を変えないといけないとか、民間試験を導入するのは理屈としても通らないと思う。民間試験の導入自体はいま絶対にやらないといけないことはないと思いますし、そこまでの問題が発生しているとは私は思わない。『都会優遇・地方冷遇』の安倍政治の弊害の1つです」(松本氏)。

 また、下村氏が浜田氏の応援演説に来たことについても聞いてみた。「大学入試の問題だけではなくて、学校のあり方を問うているので、(知事選の)論戦のなかでも重要になってくる。争点の1つになる」(松本氏)。 

 松本氏については、山本太郎代表に応援を要請していると報じられている。山本太郎代表が掲げるスローガンが、松本氏の「だれ1人取り残さない県政へ」と非常に似ているからだ。

 「(山本太郎代表への応援演説については)まわりの方が要請をしている。一緒にやっていけるところはやっていきたいと思っている」(松本氏)。

 れいわ新選組の山本太郎代表は11月中旬に東北ツアーを予定しているが、下旬に四国ツアーを企画すれば、松本氏と一緒にマイクを握ることは可能だ。山本氏の応援演説で松本知事誕生が実現すれば、安倍政治にノーをつきつける「れいわ維新」が高知から始まることになる。高知県知事選から目が離せない。

この列に、れいわの山本太郎代表が加わる日が来るか、注目される
この列に、れいわの山本太郎代表が加わる日が来るか、注目される

 

【横田一/ジャーナリスト】

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