2024年04月19日( 金 )

激変!米国コワーキングスペース ニーズが急増し、競争が激化(2)

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fabbit(株) 代表取締役社長 田中 保成 氏

米国で起業が活発な理由

 米国では、創業間もない企業を支援するベンチャーキャピタル、インキュベーター、アクセラレーター、大学などから構成されるエコシステムが、とても発達している。シリコンバレーのスタンフォード大学の近くでは企業に投資するベンチャーキャピタルが集まっていて、革新的な技術やテクノロジーを生み出す企業の資金調達がとくに活発だ。

 厳しい競争のなか「Y Combinator」(ワイコンビネーター)や「500 Startups」(ファイブハンドレッド スタートアップス)などのアクセラレーターが、優れたビジネスのアイデアをもつスタートアップ企業を育てる仕組みがある。

 世界中から野心をもった人たちがシリコンバレーに集まり、ダイナミックなエコシステムがつくられている。だから、これまでもベンチャー企業が躍進してきた。一方で、2018年のスタートアップ資金調達額では、米国の14兆円に対して日本は3,800億円だ。((株)ジャパンベンチャーリサーチ、Pitch Book/NVCAの調査)規模の違いが大きく違い、まだまだ資金が足りてない。

 どのくらい資金を調達できるかは、起業の活発さに大きく響いてくる。日本でもエコシステムの一端を担いたいとfabbitは事業を行っており、日本でもリスクを取ってチャレンジした人が報われる世の中をつくることに貢献していきたい。

 また、米国で起業が活発な背景は、失敗に寛容な文化にある。とくにシリコンバレーはリスクを取って挑戦して失敗した経験をプラスにとらえ、失敗から学んで次のより良いチャレンジができると考えられている社会だからこそ、多くの人が起業できて、革新的なビジネスが生まれている。

IBMなど大企業もコワーキングを利用

 米国のWeWorkでは、ベンチャー企業の入居に加えて、30~40%の顧客が大企業でもある。その理由として、スタートアップ企業は回収リスクが高いことから、より安定した顧客である大企業に長期で入居してほしいというニーズがある。大企業に長期間入居してもらうことで契約期間のミスマッチを緩和し、事業を安定化させている。

 近年はデジタル化が進み、先行きが見えにくい既存事業を抱える大企業も多い。生き残りを賭けて、新しい事業を立ち上げる必要に迫られていても、保守的な企業風土も根強く、なかなか現状を変えにくい。変革の選択肢として、スタートアップ企業との提携やM&A(合併・買収)を真剣に考える企業が出てきている。そのため、スタートアップ企業が集まっているコワーキングスペースに入居し、そこで交流する価値を見出している。

 さらにIBMなどは、オフィスビルの管理をWeWorkに任せた方が、管理費用や業務が効率化されて、トータルの管理コストが下げられると判断したようだ。マンハッタンでは、IBMが使っているビル1棟全部の管理をWeWorkが引き受けている。今後、この流れはさらに加速すると予想されている。

(つづく)
【石井ゆかり】

<COMPANY INFORMATION>
fabbit(ファビット)(株)

代 表:田中 保成
所在地:東京都千代田区大手町2-6-1
    朝日生命大手町ビル3階
設 立:2017年4月
資本金:1,000万円
売上高:(18/9)2億9,400万円

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