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2019年12月05日 14:12

香港区議会議員選挙を中国はどう見ているか

 中国政府系メディアは香港区議選の詳細には触れず、その政治環境が異常であったと強調。中国政府は香港に関して表立った対応を見せていないが、過去には行政長官選挙への民主派の立候補を防ぐよう制度変更を試みたり、個別の立法会議員候補者の資格停止や議員資格はく奪などの処分を行ったりしている。

中国政府系メディアの選挙関連報道

香港区議会選挙(中国環球時報)
香港区議会選挙(中国環球時報)

 11月24日に実施された香港区議会選挙(定数452)において、民主派が約85%の385議席を獲得して圧勝した。ただ、新華社、人民日報等の中国政府系メディアは、選挙が実施されたこと、その結果が判明したことを報じたのみである。

 今後、中国政府は香港反政府デモにどのような措置を取るのか。デモ側が掲げる「5つの要求」には林鄭月娥・行政長官の辞任と民主的選挙の実現などが含まれ、受け入れるとは考えられない。10月には林鄭月娥(キャリー・ラム)香港政府行政長官の交代説が流れたことがあったが、中国政府は12月4日時点で香港内政に対して表立った動きは見せていない。

以前の抗議活動に対する中国政府の対応

香港デモ(今年6月)
香港デモ(今年6月)

 最近の香港の反政府デモに関連して、抗議活動として想起されるのは、2014年香港・雨傘運動、1989年天安門事件であろう。いずれも政府がデモを抑え込んでいる(雨傘運動については、行政長官選挙の立候補者の制限を図った法案が翌2015年に否決されたことをもって運動の勝利と見る向きもある)。

 天安門事件においては、中国政府は人民解放軍が発砲し鎮圧したが、その代償として、西側諸国からの非難、経済制裁を受け、経済成長が鈍化した。天安門事件の教訓がある以上、同様に解放軍を投入することは想定しにくい。

 前もって法律・制度を改定することにより不測の事態の発生を防ぐことが考えられる。そもそも雨傘運動の発端は、2014年8月に中国の全国人民代表大会常務委員会が、香港の行政長官の候補者を2~3名に制限するため、立候補には香港の選挙委員会(定員1,200名の多数を親中派が占める)の過半数の推薦を必要とすると制度の変更を図ったことへの反発があった。仮に普通選挙を実施せざるを得ない事態に陥ったとしても、親中派以外の候補者が立候補できないようにしてしまえばよい。

 立法会において民主派が多数派を占めることができないよう仕組みを変えることも考えられる。現在の立法会の構成は親中派43議席、民主派25議席であり、民主派が多数を取るには、直接選挙枠(35議席)区議会議員枠(5議席)で大勝しなければならず容易ではないが、万全を期すために、親中派が多数を占める職能団体枠の議席を増やすことはあり得る。立法会の議席数は数次にわたり増員されてきた。

 ほか、民主派に不都合な法解釈・運用も行われてきた。2016年の立法会選挙では、香港独立を主張する本土派(香港こそが本土と主張)の候補者6名が、その香港独立の主張が「香港は中国の一部」などと定めた香港のミニ憲法である香港基本法と合致しないとの理由で立候補資格を取り消されている。選挙後には、本土派の議員2名が、就任時の宣誓における中国を侮辱する発言が香港基本法の規定に沿わず無効であるとして議員資格をはく奪されている。

 上記の措置や処分はいずれも香港市民の反発を招くであろうが、香港基本法に「2007年以降の行政長官の選出方法に改正の必要がある場合、立法会議員の三分の二の多数で可決し、行政長官が同意し、全人代表常務委員会に報告して批准を受けなければならない」と規定があることから、中国政府は表に出ず、香港政府は法規定に従った手続きを踏んでいると主張して行うことができよう。

香港警察(今年6月)
香港警察(今年6月)

米国の香港人権・民主法案

 中国政府が香港反政府デモに対応するにあたり、対米関係という要素がより大きく関わるようになってきている。トランプ米国大統領は11月27日、香港人権・民主法案に署名し、中国政府は翌28日、「米国のこの措置は香港事務への重大な介入、中国への重大な内政干渉」であり、「中国は断固とした反対措置をとる」と発表した。中国政府にとって、米国の香港問題への注目は、香港への干渉を防ぐという名目で中国が香港への介入を強める理由になるが、厳しい措置をとる場合には、米中貿易交渉において、米国が経済制裁として関税引き上げなどを強硬に打ち出す恐れもある。

 12月2日、中国政府は米国軍艦の香港への寄港の当面の拒否と香港の抗議活動を支持したとの理由に基づいて国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチ、フリーダムハウスなどのNGOを制裁対象とすると発表した。ただ、前者は以前にも何度もあったとされ、後者は具体的な中身に触れておらず、現実的な影響はまだ見られない。

【茅野 雅弘】

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