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2015年07月01日 07:00

北洋建設総帥・脇山章治氏の次なる戦略は(16)

「九州みらい建設グループ」発足の真意はいかに(3)

 (株)北洋建設は福岡県で、地場トップクラスの実績を誇るゼネコンである。さらに脇山章治会長は、建設業界で最大の戦略家と評される人物である。これまでいくつもの会社を支援し、立ち直らせ、グループ自体も大きく発展させてきた。今年4月、脇山氏が代表を務める(株)九州みらい建設グループが傘下に九州5県のゼネコンを収め、スタートしたことを発表した。その真意はいかに?データ・マックス社内で、緊急座談会を行った。

グループ発足、取引業者も困惑

sora2 緒方 さて、本題の新グループ発足に話題を移します。
 すべての取引業者に、今回の新グループ発足の通知は出していないようです。私たちと同じく、取引業者も今回の発表に首をひねっています。すでに福岡以外の4県には北洋建設の支店があり、それぞれ支店が力を入れれば、グループをつくる必要性もありません。公共工事に注力していくのであれば、支店よりも各県に本社を置いておく方が得策かもしれません。
 しかし、これまで公共工事に頼ったビジネス展開をしていません。公共工事が狙いだという考えがまったくないこともないでしょうが、それだけでは納得できませんね。

 河原 逆に今までのビジネスモデルに、官公庁の仕事を取り込むという狙いがあるのかもしれません。ですが、鹿児島の西釜建設(株)に至っては、今年4月に新設したばかりで、すべてが準備段階。入札への参加まで、まだまだ時間がかかります。

 緒方 一部には「北洋建設が企業買収を繰り返している」と見られたくない「九州みらい建設グループを立ち上げた」と聞きました。しかし、それを聞きながらも、まだ腑に落ちない部分が多いのです。厳密に関連会社と言えるのは、(株)ダブリュコーポレーションと(株)KCFG情報サービス(旧:ノースパシフィックコーポレーション)の2社だけです。それ以外に関連企業と思われているところは、資本や役員を投入しても、その後引き上げたりと、形式上は関係がないとされています。

 青木 これが独特なやり方で、脇山氏の経営手法の特徴だと言えるでしょう。それだけに、企業同士の関係が見えにくいというのもあります。よく言われるのが、脇山会長にとってみれば「誰かに頼まれたから」というもの。住友林業や付き合いの長い元社員、銀行から頼まれて・・・。基本にあるのは、やはり住友です。ゴルフ場もそう。武雄GCにしても、炭鉱跡地に建設され、住友グループが関係しているようです。M&Aにしても、住友下請業者会で全九州の人間関係ができ上がっているようですね。

 河原 佐賀の扶桑建設(株)、長崎の松島建設工業(株)にしても、経緯がよく似ていると思います。長崎は三井系、佐賀は住友系グループが炭鉱を持っていたことに関連しています。

 東城 鹿児島の西釜建設も、もともと熊本では業歴の長いゼネコンで、住友林業の仕事を多く受注していた経緯があります。やはりすべてのグループ化には、それなりのつながりがありそうです。

 河原 今回の4社に関して言えば、やはり「頼まれた」からという理由から支援し、そしてグループ化に至っているのでしょうか。扶桑建設、松島建設工業においては、地場取引業者からは「北洋建設の関連の、ね」とすでに認識されています。事実上、子会社のような存在だと、金融機関も一様に答えています。どちらも北洋建設グループからの仕事を多く請けています。北洋建設なしでは、なかなか厳しい状況にあるのは間違いないでしょう。

 東城 熊本の三ツ矢建設について言えば、現状、北洋建設の仕事はありません。そして、住友林業との結びつきも強くない。三ツ矢が業績を悪化させ、経営が厳しくなったときに、銀行主導で北洋建設が支援をしたことは間違いありません。対外的な信用を失った三ツ矢建設が、北洋建設の後ろ盾で信用を取り戻したかたちになっています。ここに関しては、個別の事情と言えるでしょう。

 河原 鹿児島の西釜建設は、2007年に熊本で倒産。熊本で業歴を重ねていたこと、住友林業の仕事を多く請けていたこともあり、北洋建設の役員に就任し、熊本支店長に着任。そこでの働きぶりが評価されたのでしょう。再出発の地を熊本ではなく、鹿児島に決め、今年4月に新しく西釜建設を設立。現在は北洋建設鹿児島支店と同じ部屋に入居しています。

 緒方 すでに仕事を提供している扶桑建設と松島建設工業。我が道を行く三ツ矢建設。そして、これから協力体制を築こうとしている西釜建設。状況はさまざまですが、これまでの会社の立て直しを見ていると、自身の経営者としての腕を試しているのでしょうか。

 青木 ここまで考えても、目的がはっきりしません。ただし、企業調査マンにとってみれば、非常に興味深い動きであるのは間違いありません。好況の後には必ず不況の波が押し寄せます。グループ名にもあるように、九州の今後の建設業を見据えて、全九州にその基盤を広げているととらえることは可能です。
 しかし、あの会長がそこまでして建設業界にしがみつこうとしているとは考えにくいですし、「何としてでも九州一になってみせる」という意気込みがあるわけでもないのです。もし、そのような野心があれば、もっと大々的にグループの結成を打ち出すはずです。

(つづく)

 
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