2024年03月29日( 金 )

大麦若葉エキスにビフィズス菌の増殖や酪酸増加作用などを確認

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 日本薬品開発(株)(本社:兵庫県伊丹市、木村裕通社長)は、神戸大学との共同研究で、大麦若葉エキスに、腸内のビフィズス菌および短鎖脂肪酸、酪酸を増加させる作用があることを確認したと発表した。

 大麦若葉はイネ科の植物で、ビタミン・ミネラルを豊富に含み、ビールや麦茶、青汁の原料として使われており、同社は大麦若葉の搾汁を噴霧乾燥して得られた粉末を製造・供給している。

 研究は、ヒトの腸内環境を模した培養システム「KUHIMM(Kobe University Human Intestinal Microbiota Model:神戸大学ヒト腸管細菌叢モデル)」に、健常人9人の糞便を加えて腸内環境に近い条件で48時間培養した培養液からDNAを抽出した。そのなかで「16S rRNA(リボソームと呼ぶ、細胞内でタンパク質やペプチド鎖の合成を行っている小器官を構成するリボ核酸)」を対象に、シーケンサーを用いて大麦若葉エキスを添加した場合の菌叢と添加しなかった場合の菌叢を比較。大麦若葉エキスの腸内細菌叢におよぼす効果と、培養液中の短鎖脂肪酸や酪酸の量を解析・測定した。

 その結果、大麦若葉エキスを添加した場合、ビフィズス菌(Bifidobacterium属)のほか、短鎖脂肪酸のうち、酪酸酸性菌(Faecalibacterium、 Roseburia, Unclassified Ruminococcaceae, Lachnospiraの4種)と、酪酸濃度が有意に増加。大麦若葉エキスにより、腸内環境を整えることで健康に寄与する可能性が示唆された。研究成果はオンライン科学誌「AMB Express(2019年11月13日付)」で掲載されている。

https://www.data-max.co.jp/files/article/20191226-oomugiwakaba-01.jpg
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【用語解説】

 ビフィズス菌:グラム陽性の偏性嫌気性桿菌。酢酸、乳酸を産生し腸内のpH(水素イオン濃度の量)を低下させることで腸内環境を整える、代表的な善玉菌。

 短鎖脂肪酸:腸内細菌による嫌気性発酵で産生される終末代謝産物。酢酸、プロピオン酸、酪酸がある。 

 酪酸:腸内細菌によって産生される短鎖脂肪酸の1つ。腸管上皮細胞のエネルギー源となるほか、免疫の調節作用、抗炎症作用、腸管バリア機能の増強効果などをもつ。

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