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2020年01月20日 14:55

西友・サニー、16年ぶり九州で新店~撤退説打ち消せるか

 西友は7月、福岡市中央区港1丁目に出店する。2004年、米ウォルマート傘下に入ってから九州では初めての出店となる。これまでは退店ばかりで縮小一途だったが、昨年4月にデスクリー最高経営責任者(CEO)が上場方針を表明、根強い売却説を否定した。だが、業績の長期低迷から脱却する展望は見えず、ウォルマートがネット通販に経営資源を移行させていることもあって、なお撤退説はくすぶる。

7月福岡市中央区港に出店

 新店は地権者などでつくる合同会社が建設する商業施設「福岡港1丁目SC」(仮称)の1階にテナントとして出店する。建物は4階建てで、総面積4,716m2。1~3階が店舗で、4階が駐車場。

 九州での西友・サニーの出店はウォルマート傘下入り前のサニー南熊本店と2003年3月の西友佐賀巨勢店が最後。

西友は14年秋から15年春にかけ、全国で不採算店約30店の閉鎖を断行、九州では南熊本店や巨勢店、大型商業施設の「ザ・モール小倉」など13店を閉鎖した。撤退はその後も続き、昨年3月に西友佐賀店、今年1月にはサニー那珂川中原店を閉めた。14年秋に九州で84店だったが、現在66店に縮小している。

 売上高は最盛期の02年度に旧サニー811億円、旧九州西友511億円を合わせ1,300億円を超えていたが、5割程度になったと見られる。

業績長期低迷

ウォルマート・ジャパン・ホールディングス2018年12月期賃借対照表
※クリックで拡大

 西友の業績は長期低迷が続いている。同社は合同会社であることを理由に業績を公表しておらず、取引先も決算内容を把握していない。

 わずかにうかがい知れるのは親会社のウォルマート・ジャパン・ホールディングス(WJH)が官報に告示している貸借対照表だ。同社も合同会社だったが、総資産が3,000億円を超える大会社がさすがに株主総会を開かず取締役会の議事録もないとあってはまずいと考えたのだろう。10年前に資本金1,000万円の(株)に移行した。業界では将来の会社売却に備えた体制づくりと見る向きもあった。

 2018年12月期決算公告によると、純利益は6,600万円の赤字で、前年度のゼロから悪化した。総資産は3,189億3,400万円、株主資本3,185億6,200万円で、それぞれ前年同期末から449億6,500万円、450億6,600万円の減。利益準備金は57億4,600万円のマイナス、つまり累積赤字を抱え、前年度から6,600万円増えた。

 WJHは持株会社で、連結決算でないため、西友の業績を直接反映するわけではない。ほかにもカード子会社を傘下に抱える。主な収入は子会社からの配当になるが、西友は配当しておらず、損益は赤字になる。資産のうち固定資産が大半を占めるのは、西友の店舗などを同社が所有しているためと思われる。

 株主資本のほとんどを資本剰余金が占める。ウォルマートは西友買収後、日本の資本市場から資金調達しており、その大半を子会社の資本剰余金に計上していると見られる。株主資本は09年12月期末に4,637億円あったが、恐らくは赤字のため9年間で1,181億円減った。

CEOが上場表明

 WJHのCEOを兼ねるデスクリー氏は昨年6月、同社のホームページで西友またはWJHを上場させる方針を発表した。ウォルマート本社は株式の一部を売却するが、引き続き過半数の株式を保有し日本市場にコミットしていくとも表明した。デスクリー氏はメディアの取材に上場の狙いについて「地域に密着した企業として日本の消費者との結びつけを強めるため」と説明。本社主導から日本に権限を移譲し地域の市場特性に合った経営を進めることが主目的とした。

 西友はウォルマートの完全子会社になった08年上場を廃止しており、実現すると再上場になる。

 デスクリー氏の発表は唐突だったが、事前に本社の了解を取っており、ウォルマートは発言内容を追認するコメントを発表した。

 だが、上場の目標時期は明らかにしておらず、発表の真意がいぶかしまれている。西友は合同会社のままだと上場できず、(株)に転換し資本金を増やす必要がある。WJHを上場する場合も第三者への増資や体制づくりなどで少なくとも数年以上は要する。

 何より西友の売上高は後退の一途で、そんな企業の株を誰が買うのか?

 西友をめぐっては18年夏、ウォルマートが国内の複数の流通大手や投資ファンドに売却を打診していたことが表面化(ウォルマートは交渉の事実自体を否定)。交渉は売却金額が折り合わなかったことから破談になった。

 ウォルマートは英国子会社の保有株に大半を同国大手に譲渡し事事実上撤退するなど、海外の実店舗事業を整理しネット通販に注力する戦略を鮮明にしている。日本では昨年、楽天とネットスーパー事業の子会社を立ち上げた。 

 上場方針は、売却先が見当たらない以上、企業価値を高めて現体制を存続させるという苦肉の策と思われる。上場目標を示すことで撤退説を打ち消し取引先や従業員の動揺を抑える狙いも込める。業績改善が進まなければ米国本社がしびれを切らす可能性もある。

【宗像 三郎】

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