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2020年01月22日 15:17

「犯罪の6割が再犯」に立ち向かう 居住支援で安全な社会を

(一社)繋紡会 代表理事 仁泉浩氏

犯罪に関する、ある統計がある。

 「犯罪件数の約6割が再犯であり、その再犯者の約7割が無職者」(平成26年矯正統計年報)――安全な社会をつくるためには、再犯を防ぐことも重要であることがわかる。さらに仕事があれば、再犯の確率は減少するが、定職に就くためにネックになるのが、住まいの問題である。住所不定では、仕事が見つからないからだ。

 国交省では、この課題を解決するため、生活困窮者や障がい者、高齢者なども含めた「住宅確保要配慮者」が民間賃貸住宅へ円滑に入居できるよう民間事業者と協力して支援に乗り出している。政府は居住支援法人制度を設け、都道府県が指定した法人に対し、支援活動に補助金を支給するなどバックアップ体制を敷いている。そのため増加傾向にあるものの、昨年末時点での居住支援法人は40都道府県でわずか265法人にとどまっており、今後一層の拡大が望まれるところだ。

 このような居住支援に取り組む法人が福岡市中央区にある。(一社)繋紡会(けいぼうかい)(福岡市中央区、仁泉浩代表理事)だ。犯罪や非行などを経て、更生・社会復帰を目指す人々の自立のため、住居や就職を斡旋することに加え、日々の生活指導を行っている。

講演を行う仁泉浩代表理事
講演を行う仁泉浩代表理事

 仁泉代表は2年ほど前から、別のNPO法人で居住支援に携わっていた。主な対象者は障がい者だったが、そこに更生保護対象者が増えてきたためにフォローの困難さを実感するようになった。「更生保護者に特化せねば対応できない」――その思いから立ち上げたのが、繋紡会だった。

 障害福祉は専門領域として、コーディネートが確立していたため、行政と民間との連携で解決できる機会が多かった。しかし、更生保護対象者は対応中に再犯による突然の逮捕も珍しくなく、より一層の細かいフォローが必要だったのだ。

 前述のように就職のためには現住所が必要になるが、同対象者に快く住居を提供してくれるオーナーは少なかった。更生保護に協力的な住宅オーナーもいるが、再犯などで前触れもなく、入居者がいなくなることで、空室が発生するリスクもある。そのため、同法人が賃貸住宅をサブリースするかたちで契約し、更生保護対象者の住居を確保している。住まいと仕事の斡旋、そして精神面のコーチングなど包括した支援を経て、自立した社会の一員へと導いていく。

 「過去の過ちを悔い改めても、復帰が困難な社会では良くない。地域の協力を得て、社会全体で支援していくべきだ」――繫紡会では、1人でも多くの住宅オーナーに活動へ賛同してもらう、そして住居を提供してもらえるよう各地で講演活動を行っている。「空き家問題が深刻化するなかにおいても、なかなか賛同していただける住宅オーナーが少ない」――そう話す仁泉代表。実際、「住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅」(登録住宅)の総戸数は全国で2万戸にとどまる。九州では、福岡の1,734戸が最多だが、他県は100戸を下回っているのが現状だ。

 安全なまちづくりに貢献すべく、仁泉代表が先に見据えるのは、法務大臣認可の更生保護施設の開設だ。平成29年12月に閣議決定された「再犯防止推進計画」に沿って、包括的な自立支援活動を行うべく、昨年「福岡自立支援協議会」を設立。更生保護、就労支援、福祉支援、居住支援など協議会所属の専門家による包括的なフォローが可能となった。「1人でも多くの方を社会復帰させることで、地域貢献できる。社会を一変させることはできないが、賛同者を増やすことも含め、地道に活動を続けていきたい」(仁泉代表)。

居住支援に関する問い合わせ先
(一社)繫紡会
所在地:福岡市中央区小笹4-5-2
電話:092-522-2901

▼関連リンク
住宅確保要配慮者居住支援法人について(国交省)

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