2024年04月18日( 木 )

インターネット時代における言論人の使命・責任とは何か!(2)

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 2月3日(月)から5日(水)まで「ワールド サミット 2020」(国連UPF主催)が、韓国・京畿道高陽市にある国際展示場「KINTEX」で開催された。

 中国・武漢で発生した新型コロナウイルス騒動のなか、世界から前職・現職首脳約150人、国会議員や宗教指導者、メディア関係者、ノーベル賞受賞者、地元韓国からは潘基文・前国連事務総長など120カ国から約6,000人が集合した。

 また、それに先駆けて2日(日)にソウル・明洞のロッテホテルで行われた世界言論人会議「2020 ワールド ピース メディア カンファレンス」(韓国「セゲイルボ」、米国「ワシントン・タイムズ」、日本「世界日報」の共催)には世界100カ国から約500人のメディア関係者、学者、財界人などが集合した。

 ここでは、世界言論人会議の模様、ジム・ロジャーズ氏、ニール・ブッシュ氏も参加した経済に関する分科会「国際平和経済開発協会」(IAED)の模様を中心にお届けする。

現在私たちは「破壊的技術革新」の時代に直面している

クリフォード・スターンズ 米国前下院議員
クリフォード・スターンズ 米国前下院議員

 続いて2つの基調講演が行われた。

 1つ目は、クリフォード・スターンズ米国前下院議員である。クリフォード前議員は、今言論人を取り巻く環境は大きく変わりつつあることを強調した。そして、インターネットを使ってあらゆることができるようになった今、私たちのコミュニケーションはどうなっていくのか、世界はどういう社会になっていくのか、という問いを会場に投げかけた。

 そのうえで、米国の有名な放送ジャーナリスト、エドワード・ロスコー・マローの「真理は嘘よりすばらしいプロパガンダである」という言葉を引用し、メディアにおける倫理性の大切さを指摘した。

 

申宰元 現代自動車副社長
申宰元 現代自動車副社長

 2つ目は、申宰元・現代自動車副社長である。宰副社長は、米国航空宇宙局グレンリサーチセンター 航空研究本部本部長、同航空宇宙局ワシントン本部航空研究総括本部長の経験から、航空機産業における破壊的技術革新、そしてそのことがほかの産業分野におよぼしている影響などについて語った。

 現在は第4次産業時代と言われているが、それは第3次産業の延長線上にあるのではなく、今までは想像もできなかった革新の様相を呈している、すなわち、破壊的技術革新の時代に私たちは直面していると続けた。そのうえで、このような航空機産業で進行しつつある、破壊的技術革新が、メディアの分野でも起こることを期待したいと結んだ。

モバイル環境のなかで、正しい・全体情報をいかに伝えるか

 基調講演の後、3つのセッションが展開された。第1セッションのテーマは「破壊的なメディア革新」である。座長は、黄政美「セゲイルボ」副社長兼編集人で、Juan Senor革新メディアコンサルティング社長、Predrag Vujovic教授・セルビア広報ビジネススクール創設者および社長、渡瀬裕也・早稲田大学公共政策研究所客員研究員、ベラ・ルーシア・タバッハ・ブラジル報道電子メディア協会会長の4人のパネリストが登壇した。

 座長の黄氏はデジタルな改革で私たち言論人は大きな破壊的影響を受けている。どうすればモバイル環境に慣れた読者に、正しい情報を伝達することが可能になるのか、断片的記事に慣れた読者に、全体的に意味ある情報を伝えることが可能になるのかなどを議論したいと口火を切った。

 ロンドンに本社を置く、INNOVATION Media Consulting Groupの社長であるJuan Senorは、デジタルメディアの進出によって既存メディアは大きな課題を抱え、新聞などは今までのビジネスモデルでは将来が見えてこないと語った。そのうえで「Goodジャーナリズムはgoodビジネス(お金を稼ぐことができる)であるべき」と語り、その実現のさまざまな方法を提示した。

 日本から参加の渡瀬氏は「日本では、元大臣、国会議員など権威ある立場にある人がフェイクニュースを流し、それを信じた人々の間で、世論が構成される傾向にある。その傾向はメディアリテラシーの高くない主婦層や高齢者層に顕著に現れている。このことは、保守的な政治勢力、リベラルな政治勢力ともほとんど違いはない」と語った。そのうえで、渡瀬氏は「皆さまと一緒に、インターネット上における倫理のガイドラインをつくり、普及させていきたい」と提案した。

(つづく)
【金木 亮憲】

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