2024年04月17日( 水 )

【D・プリンセス号乗客インタビュー】我々は孤独ではない

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
2月6日の朝食

 「乗員には何ら不満はない」明日20日に下船を見込むダイヤモンド・プリンセス号の70代の男性乗客は、船会社の対応に理解を示す。むしろ「自分も大変なはずなのに非常時にすばらしい対応だった」と謝意を示す。2月5日以降、乗客が従業員と接したのはドア越しの食事の受け渡しのみだが、船内の専用チャンネルを通じてプロの働きをつぶさに感じたという。

 専用チャンネルでは、クルーズディレクターによる10数名程度の誕生日のお祝いメッセージの読み上げやダンサーによる体操レクチャーなど乗員からの活動が流されており、クルーが懸命に職責を果たそうとしていることがわかるという。また、専用チャンネルでは寄港地など日本や海外から寄せられた応援の動画メッセージも流されている。「妻と一緒に乗船しているが、我々は孤独ではないことがわかった」と語る。中には感極まったメッセージもあったといい「この年で涙が出るほど感動することはなかなかない」と感謝する。

船窓から見える横浜と富士山
船内の専用チャンネル

 批判が集まっている厚労省の対応については「高血圧の自分にとって薬や情報が届かなかった最初の4~5日はストレスが溜まった」と振り返る。その後、外部の報道が船内放送より半日ほど遅れる理由について、厚労省の指示に基づき厚労省の許可を得る手続きを経るためという説明があったこともあり次第に落ち着きを取り戻していった。「これまで経験したことのない伝染病ということもあるかもしれないが、SARS(サーズ)の経験があまり生きていないようだ」と感じるが「経験を生かすことが大事」と先を見据えている。

 男性は最後の検査で陰性と判明されれば、明日には下船が許される見込み。今回の隔離生活について「デッキのみだったが歩くことはできた。歩けるという単純な行為に目を向け、感謝する契機になった。」と前向きに捉えている。感染した乗客の治癒を願う一方で「今回の件で今後クルーズ船に乗るのをやめることはないだろう」と再度、従業員への感謝を示した。

埠頭側の風景
病院への搬送は貸し切りバスではなく自衛隊のバスを使用

【鹿島 譲二】

関連記事