2021年12月01日( 水 )
by データ・マックス

検察の闇? 不正放置の日本郵政と東芝に 検察OBが続々と天下り!(1)

 かんぽ生命の不正販売をめぐる情報漏洩問題が発覚した日本郵政グループや、2,000億円超の粉飾決算が判明した東芝に、なぜ捜査のメスが入らないのか。その謎を解明すべく調べを進めたところ、元検事の弁護士たちが続々と両社で社外取締役などの要職に就いていたことがわかった。

本格的捜査に動かない検察

「巨悪を眠らせない」

 日本の検察はそんなスローガンの下、これまで数々の政治家や官僚、大企業の犯罪を摘発してきた。だが時折、検察の動きが妙に鈍く感じられることがある。

 たとえば、最近の政治家案件では、「公的行事の私物化」と批判される安倍晋三首相の「桜を見る会」疑惑について、検察が捜査に動かないことを不可解に思う人は少なくないはずだ。森友学園問題をめぐる財務省の決算文書改ざん事件でも、元理財局長・佐川宣寿氏ら刑事告発された同省職員38人が全員不起訴に終わり、不透明な印象を残した。

 一方、大企業案件でいえば、近年最も不可解なのが、日本郵政グループと東芝の不正が刑事事件化されないことだろう。

 まず、日本郵政グループ。郵便局員らが顧客に不利な保険契約を大量に結ばせていたかんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)の不正販売問題は2018年4月、NHKの「クローズアップ現代+」がいち早く報道。そして19年6月、朝日新聞もこの問題を報じると、それをきっかけにこの問題に関する報道合戦が勃発した。

 これを受け、日本郵政グループが問題解明のために同年7月に設置した特別調査委員会は昨年末、法令や社内規定に違反する疑いのある保険契約が1万2,836件確認されたと報告。これだけでも前代未聞の不祥事だが、同グループは今年1月末、顧客に不利益な疑いがある保険契約が新たに22万件判明したと発表した。もはや収拾がつかない事態になった印象だ。

 そんななか、グループの信頼をさらに失墜させたのが、昨年末に発覚した情報漏洩問題だ。日本郵政の監督官庁である総務省が行政処分を検討するなか、日本郵政の鈴木康雄上級副社長が総務省の鈴木茂樹事務次官から行政処分の検討状況を聞き出していたのだ。

 鈴木上級副社長も、もともとは事務次官まで務めた総務省出身者で、古巣との「慣れ合い」から起きた不祥事だと見られているが、監督官庁の事務方トップが行政処分の情報を処分対象の企業に漏らしたのだから悪質だ。普通に考えれば、情報を漏らした鈴木事務次官は国家公務員法(守秘義務)違反の容疑で、情報を聞き出した鈴木上級副社長は同法違反(そそのかし)の容疑で検挙されてもおかしくない。

 しかし、鈴木上級副社長は辞任し、鈴木事務次官は停職3カ月の懲戒処分を受けると同時に辞職したが、刑事責任は問われていない。年明けに日本郵政の新社長に就任した元総務大臣の増田寛也氏は、この情報漏洩問題についても「調査を始めた」と公表しているが、今のところ不透明感は拭えない。

 一方、東芝は15年2月、証券取引等監視委員会の立入調査を受け、同年4月、会計に問題があることを公表するとともに社内に特別調査委員会を立ち上げた。だが、それでは事実関係を解明できず、同年5月、外部の弁護士らによる第三者委員会を設置。すると、その調査により1,500億円超の粉飾決算が発覚した。さらにその後も東芝の独自調査により新たな不正会計が判明し、明るみに出た粉飾決算の総額は2,000億円超におよんだ。当然ながら不正発覚時の経営陣はそろって引責辞任した。

 第三者委員会の報告書によると、粉飾は西田厚聰、佐々木則夫、田中久雄の3氏が社長を務めた08年から15年にかけて行われたとされる。そこで東芝はこの歴代3社長と最高財務責任者(CFO)を務めた村岡富美雄、久保誠の両氏を相手取り、3億円の損害賠償を求めて提訴した(その後、請求額は32億円に増額)。だが一方で、東芝も国内外の株主や機関投資家から次々に損害賠償請求訴訟を提起されており、18年2月23日付の同社の発表によると、この件で起こされた訴訟は36件、訴額は約1,740億円におよぶという。

 この東芝の粉飾決算は不正の規模から見て、刑事事件として捜査されなければむしろ不自然だ。実際、東芝に立入検査をし、不正発覚の端緒を開いた証券取引等監視委員会は刑事告発の意向があったと報じられている。だが、結局、検察は本格的な捜査に乗り出さず、東芝は誰1人として刑事責任を問われずに済まされている。

(つづく)
【ジャーナリスト/片岡 健】

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