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2020年04月02日 11:45

愛し合ってるかい?~ラブホから「レジャーホテル」へ、地道に、誠実に進化中【HOTEL&SWEETS FUKUOKA】(後)

今後は女子会がメイン?~いまどきのラブホスタイル

 場所によって多少の違いはあるものの、レジャーホテル(ラブホテル)の利用者はこれまで20代の男女カップルがメインターゲットだった。しかし、現在はその利用層も使われ方も多様化し、従来の「ラブホ」の枠ではくくれないほどに細分化している。そもそも、ホテルを利用する若い層が激減しているのだ。

 「福岡市でリサーチした結果、20代女性でラブホを使ったことがある人は1割程度だということがわかりました。ラブホの存在自体を知らない方もけっこういらっしゃいますね」(森藤氏)

 若者たちの「~離れ」が言われて久しい。車や旅行に飲み会など、これまで若者の娯楽とされてきた分野の中心層が徐々に高齢化しているのだ。もっとも「~離れ」の実態は「お金の若者離れ」と言い換えられるもので、長く給与水準が低く抑えられているため、遊びたい盛りの若年層が妙に慎ましい生活を強いられている現実を示しているのだ。寂しい懐を抱えた若いカップルは必然的に自室で愛を育む傾向が強く、「若者のラブホ離れ」はまさにデフレ社会の生んだ貧しい愛のカタチともいえる。

 「福岡市は特に九州各地から進学や就職で出てきた若者たちが多く、アパートなどで一人暮らしをしていることが多いため、よけいに若いカップルが〈どちらかの部屋で済ませちゃう〉という傾向があるようです」(同)

 ラブホは愛を育むだけの部屋というわけでもない。なかには変わった使い方をする客もいるという。

 「同じ部屋で1カ月ほど連泊していたお客さまがいらっしゃいました。掃除もシーツの取り換えもいらないと部屋に閉じこもって1カ月後に部屋を出られたのですが、部屋はきれいに使っていただいていました。どうやら作家さんだったらしく、執筆に集中するためにうちを使っていただいたようです。もしかしたら書店に、史上初の〈ラブホテルで書かれた小説〉が並んでいるのかもしれません」

女子会プランで人気の、少し広めのタイプ

 最近では、女性が複数名で部屋を利用する「女子会」利用も増えている。部屋が広くてインテリアがおしゃれなうえに、映画も観られてスイーツやフードも充実、アメニティーもかわいいとくれば、「お得感」に目ざとい女子が使わない手はない。みんなでわいわいおしゃべりできてカラオケも歌い放題……同じ値段でビジネスホテルに泊まるよりも断然リーズナブルなことは間違いない。

 プランタングループでも、「スイートルーム~お泊り女子会プラン」を用意している。女子旅や女性同士でコンサートなどを鑑賞した後の利用を想定したもので、非日常感を演出する選べるパジャマにハリウッドツインベッドなどいたれりつくせりのおもてなしで女性客に対応する。

アメニティーは女性スタッフの視点を取り入れて選んだ
天蓋が乙女心をくすぐる

愛をもって、人びとを幸福にするホテル

 本来なら「レジャーホテル」とシンプルに書きたいところ、どうしても括弧つきの(ラブホテル)を併記しなければならないのは、旅館業法でなく風俗営業法の管轄下に置かれた「大人の隠れ家」の宿命か。

 使われ方も、使う層も変化している以上、これまでの「男女の営み」だけを目的としたラブホテルとは違うカテゴリーとして認知されるべきではないか――森藤さんたちが加盟する九州ホテル協会では「レジャーホテル」という呼称を提唱しているが、まだまだ「ラブホ」の浸透度には追い付いていない(他に「カップルズホテル」「プライベートホテル」など、さまざまな呼称案がある)。

「家業を継ぐ気はまったくなかった」と笑う森藤社長

 森藤さんには苦い記憶がある。妻が子どもに「お父さんの仕事のこと、学校では話しちゃだめよ」と言っているのを聞いてしまったのだ。「俺はうしろめたいことも、違法なこともしていない。どういうつもりだ」とケンカになりかけたが、妻なりの言い分もあった。「お母さん同士で集まると、どうしても夫の仕事の話になるそうなんです。いまはLINEなどであっという間に情報が広がるので、万が一子どもが父親の仕事のことでいじめられたりしたら守れない、と考えたようです。確かに妻の気持ちもわかるので、やり場のない気持ちがこみ上げてきました」(森藤さん)。

ホテル自慢の味を提供する厨房。
森藤社長も掃除を買って出る

 森藤さん自身もかつては父親の仕事をどこか引け目に感じていた。デザイナーとしてサラリーマン生活を送っていたころは「絶対に家業は継がない」と決めていたが、紆余曲折あって跡を継ぎ、いまでは、現オーナーたちの次世代に残すためにも業界のイメージを変える必要があると考えている。協会では義援金を募って被災地支援を行うなど、社会貢献活動にも努めてきた。だからこそ業界の健全化、透明化には積極的に取り組み、業界のスポークスマン的存在として広報活動も担ってきた。

 「いまではラブホテルとビジネスホテルの線引きがあいまいになってきていて、ビジネスホテルがこちらに越境してくることもあれば、私たちがビジネスホテル的な存在になっていることもあります。対面でのチェックインを無くしたビジネスホテルも出てきていますが、『それってラブホやん?』と突っ込みたくもなる(笑)。私たちの仕事って結局、人と人が愛し合う場を提供することなんですね。個人的にはすごく大切ですばらしいことだと思っていて、会社の理念にも愛の文字を入れました」(同)

 プランタングループの社是は〈愛をもって、人びとを幸福にするホテル〉。まさに、ジョン(レノン)と(オノ)ヨーコが言うところの「ラブ&ピース」そのもの。森藤さんは取材のやりとりのなか、メールでこう記してきた。「アフターコロナでは世の価値観が変わり、AIにできない人と人のつながり、幸せなセックス、子孫繁栄が大事にされるような気がしています」。

 結局、人の営みの本質は愛し、愛されることに収れんされるのか……あまりにもまじめすぎる森藤さんの問題提起に、しばし立ち尽くす記者だった。

 どうです? 最近、本気で愛し合ってますか?

(了)


【HOTEL&SWEETS FUKUOKA】
福岡市博多区金の隈3-11-24
平日予約確認TEL:092-558-0247
※平日午前9:00〜午後6:00 
room:25 / parking:25台(1台無料)
クレジット支払い:可(VOD決済、QRコード決済)
Free Wi-Fi
http://hotelandsweets.jp/index.html

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