2024年10月06日( 日 )

愛し合ってるかい?~ラブホから「レジャーホテル」へ、地道に、誠実に進化中【HOTEL&SWEETS FUKUOKA】(前)

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前向きになれる要素はゼロ~厳しさ増すホテル業界

 ホテル業界はいま、近年まれにみる苦境のただ中にある。政治的要因によるインバウンド減少、特にこれまで好況を支えてきた中国と韓国からの観光客が減ったことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大による国内観光や出張、イベントの減少。さらに追い打ちをかけたのが、オリンピックが延期されたことによる「オリンピック特需」の消失だ。「予約がほとんどキャンセルされ、新規客もゼロ。一切、前向きになれるような要素がない」(福岡市内のホテル関係者)という言葉が、業界の現状を冷徹に物語る。

 ホテル運営上場企業も軒並み「コロナショック」に見舞われており、実際にどの程度の減収につながるのか具体的につかめていないのが実際のところ。「毎週のように状況が変わるので、先が読めない」(同)という怖さも加わって、建設ラッシュが続いて絶好調だったホテル業界の先行きに暗い影を落としている。

徹底して女性目線に立ったラブホ~上手な「言い訳」を演出する

「女性が喜ぶラブホテル」を形にするため、
イメージの参考にした写真

 「普通のホテルさんに比べたら多少はマシなのかもしれませんが、うちの業界も売上減が深刻なんです」

 福岡市博多区のホテル脇にある事務所でそう語るのは、森藤紳介さん(46)。インテリアや調度品を白基調で統一したハイセンスな事務所内には、メーカーから届いたアメニティーグッズの見本が丁寧に並べられ、デザイン専門書や経営・実務関連の書籍が並ぶ棚の上には、モノクロのイメージ写真が飾られている。

 森藤さんは、父親から15年前に引き継いだ「ラブホテル」のオーナーで、(有)プランタンの代表取締役を務める。プランタングループのホテル「HOTEL&SWEETS FUKUOKA」は、コンセプトから部屋のデザイン、インテリアまで自身がこだわり抜いた、「女性が楽しめる、女性が来たくなるホテル」の代表作だと胸を張る。

階段踊り場の壁は、
地元アーティストに描いてもらった

 「私たちは〈レジャーホテル〉と呼んでいますが、一般に〈ラブホテル〉って非日常を味わう場所だと思うんです。そして、女性が『それなら行ってみようかな』って思ってくれる場所じゃないと意味がない。〈誘いやすくて、誘われやすい〉のが理想であるなら、〈ラブ〉の付加価値をどれだけ大きくしてあげるか。女性が『だって部屋が素敵だったから』『だっておいしいスイーツが食べられるから』と自分自身に言い訳できるように(笑)、上手に『だって』の部分を演出してあげる。カップルの『2人きりになりたい』という本音を上手にコーティングしてあげることが、私たちの腕の見せどころですね」(森藤さん)

 HOTEL&SWEETS FUKUOKAは、物件を入手した時から徹底して女性の視点に立つことを決めていた。いわゆる昭和のラブホテルに見られるようなゴテゴテとした飾りや過剰な設備・備品を排し、カップルを盛り上げる「際どさ」も必要最小限に抑え、突飛な演出もやめた。結果、白を基調とした内装、木目を残したインテリアなど、日常の延長線上にある自室感覚の部屋ながらも、女性が自らを特別な存在だと思えるようなどこかファンタジック(幻想的)な部屋が完成した。こだわりは食の分野にまで徹底し、専属のパティシエを常駐させ、ロビーにはスイーツビュッフェ用にケーキ店顔負けのショーケースまで設置している。

1つずつ丁寧に手作りされるスイーツ

 「HOTEL&SWEETS FUKUOKAでは、女性を特別な存在にするホテル、女性を夢見心地にして美しく見せるホテルを徹底して追求しました。逆に、男性をカッコよく見せることにこだわったホテルも用意していて、そちらはガレージ一体型のクールなホテルです。こちらは男性が主導権を握って女性を虜にしたいときに使っていただきたい。シチュエーションで選んでいただけるのもラブホのいいところです」(同)

ホテルの入り口脇には、無料のスイーツバイキングが並ぶ
広々としたロビー
都会的でスタイリッシュな部屋

(つづく)


【HOTEL&SWEETS FUKUOKA】
福岡市博多区金の隈3-11-24
平日予約確認TEL:092-558-0247
※平日午前9:00〜午後6:00 
room:25 / parking:25台(1台無料)
クレジット支払い:可(VOD決済、QRコード決済)
Free Wi-Fi
http://hotelandsweets.jp/index.html

(後)

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