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2020年04月08日 11:55

社内コミュニケーションを向上させ、ボトムアップでより良い決定ができる会社に(前)

(株)ニシケン 代表取締役社長 田中 誠一 氏

 九州を代表する建機レンタル・福祉レンタル会社である(株)ニシケンの新社長に2020年1月、田中誠一氏が就任した。金融業界出身の田中社長は、他社に自社の資産を貸すという点において建機レンタル業界との類似性を感じるとともに、将来性を大きく感じているという。業界における競争が激化して広域系業者への収斂が進むなか、今後、親会社である大手の(株)カナモトとのアライアンスをどのように生かし、会社を強くしていくのか、田中社長に話を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

代表取締役社長就任の経緯

田中 誠一 氏

 ――代表取締役社長に就任された経緯についてうかがいます。

田中誠一氏(以下、田中) 今年1月に社長就任しました。私はもともとみずほ銀行で勤務しており、2019年6月に(株)ニシケンの親会社である(株)カナモトにきて、7月にはカナモトからの出向というかたちでニシケンに顧問という肩書で来ました。研修としてカナモトのなかの子会社を見るというものです。11月にカナモトの執行役員兼ニシケンの副社長となり、20年1月17日の株主総会および臨時取締役会で代表取締役社長に就任しました。

 ――銀行員時代は東京勤務だったとお聞きしましたが、福岡勤務についてはどう感じられましたか。

 田中 私はもともと福岡の人間で、大野城市の出身です。高校、大学、大学院修士課程は地元の学校に通い、それから東京で約28年働いていました。いつかは福岡に戻りたいと思っていましたので、福岡に戻って来られてうれしく思っています。福岡は世界で一番住みやすい街だと思っておりますから。

 ――こちらの建機レンタル業界に来られて、どのような印象をおもちですか。

 田中 この業界に身を置いて勤務するのは初めてなのですが、金融業とレンタル業は大変よく似ており、正直驚いています。金融業は資産であるお金を貸し、利息をいただき、レンタル業は資産である機械を貸し、レンタル料をいただきます。資産のポートフォリオ的な考え方もそっくりです。また、この業界自体がシェアリング・エコノミーとして今の時代に合っており、非常に大きなポテンシャルを感じています。同じくニシケンもさらに伸びる可能性があり、夢を感じています。

ニシケンの業務

 ――19年期は売上高200億円を超えましたね。年間で200億円を超えたのは初めてとうかがっていますが、増収要因についてどう分析されていらっしゃいますか。

 田中 そうですね。売上高が200億円は初めてです。無駄を減らし、効率性、透明性を高めたこと、およびそれによって社員のモチベーションが高まったことなどが要因ではないかと思っています。また、福祉事業においては少子高齢化が進んでおり、時代とマッチしたというのも1つの要因かと思います。

 ――建設機械事業と福祉事業の売上のバランスはどのくらいでしょうか。

 田中 全体を200とすると、概ね建機が125、福祉が75といったところです。建機には仮設などを含みます。

 ――福祉は九州ではトップクラスではないでしょうか。

 田中 はい、九州ではトップクラスだと思います。福祉の事業もいろいろありまして、当社はレンタル卸事業でして、川上から川下まで事業を展開しているところとどう比べたらよいのか難しいところはあります。卸業ということでいえば全国でも上位に入ると思います。

福祉事業拠点

 ――無駄があったというのは、具体的にはどのようなものでしょうか

 田中 無駄があったのには、管理がどんぶり勘定であったということがあります。その原因はニシケンが営業特化型の企業であったため、営業に対してそれをサポートする事務側が追いついていなかったことにあるかと思います。営業がガンガン走っていたところを、現在ではそれをサポートする人間をそろえ、営業についていけるようになったというところです。

 ――社員教育はどのようにされていますか。

 田中 ニシケンが独自で教育を行うほか、カナモトの研修にも参加しています。これはアライアンスの良い点だと思います。新入社員もカナモトの社員と一緒に新人研修を受けています。

 ――社員にはどのようなことを求めますか。

 田中 社員には自分自身で考え、自身でPDCAなりのサイクルを回し、やや俯瞰した位置からモノがいえる社員になってほしいです。当然そこには立場による質問責任と説明責任が含まれます。とくに若い社員には、まずは質問責任の概念を理解できるようになってもらえたらと思っています。

 ――ニシケンに来られて具体的にどのような可能性を感じていますか。

 田中 さらなる効率性、透明性の向上による売上・収益の増強が期待できます。もちろん前任の長崎学社長も在任中の4年の間に同じことに取り組まれており、実際に変化が生じておりました。
 昔のニシケンは典型的なトップダウンでして、これは売上がある一定水準に達するまでは極めて有効であったと思います。ただ、19年には売上が200億円に達しており、このような段階においてはもっと広く遍く情報を収集していかないと今後どのように歩むべきかという道が見えづらくなっていくかと思います。その意味で、ニシケンはいいタイミングでカナモトのグループに入ったと思います。また、ボトムアップの気風に変わったとまではいえないにせよ、いいタイミングでボトムアップの要素が入ってきたと思います。

 ――福祉事業に舵を切ったのもトップダウンでなければ決められなかったのでしょう。

 田中 そうですね。一気に決めるというのはトップダウンでなければ無理であったと思います。

 ――ただ、当時の水田明義社長(現・相談役)にもトップダウンで進めることのジレンマのようなものがあったのではないでしょうか。

 田中 水田相談役が以前に書かれた文章などを読んでいると、社員に向けてアイデアを出してほしいということを発信していまして、このことは裏を返せば社員からのアイデアがあまりなかったということなのかもしれません。

(つづく)

【文・構成:茅野 雅弘】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中 誠一
所在地:福岡県久留米市宮ノ陣町若松1-9
設 立:1960年11月
資本金:10億4,903万円
売上高:(19/10)204億2,243万円

<PROFILE>
田中 誠一
(たなか・せいいち)
1966年福岡県大野城市出身。九州大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了。92年日本興行銀行(現・みずほ銀行)入行。2017年みずほ銀行国際為替部副部長、19年6月(株)カナモト社長付顧問を経て、20年1月に(株)ニシケン代表取締役社長に就任。

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