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2020年04月09日 15:09

社内コミュニケーションを向上させ、ボトムアップでより良い決定ができる会社に(中)

(株)ニシケン 代表取締役社長 田中 誠一 氏

 九州を代表する建機レンタル・福祉レンタル会社である(株)ニシケンの新社長に2020年1月、田中誠一氏が就任した。金融業界出身の田中社長は、他社に自社の資産を貸すという点において建機レンタル業界との類似性を感じるとともに、将来性を大きく感じているという。業界における競争が激化して広域系業者への収斂が進むなか、今後、親会社である大手の(株)カナモトとのアライアンスをどのように生かし、会社を強くしていくのか、田中社長に話を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

カナモトとのアライアンス

 ――御社というよりカナモトグループ全体の戦略についてお聞きしたいのですが、当地には(株)九州建産、第一機械産業(株)などがございますね。これらとのすみ分け、グループの戦略についてお聞かせいただけますか。

 田中 私自身面白いと思えるのですが、カナモトは基本的に独立独歩、自立自尊を尊重する会社です。統治はあまりせず、アライアンスという概念を好みます。これには他社との差別化という意味合いもあります。カナモト自体も九州に事業所を設立しておりまして、グループで4社あるわけで、普通に考えれば無駄だといえます。しかし、カナモトとしては、同盟ということでコラボレーションを利かせ、4つの会社というよりは4つの事業所があるというイメージで、私自身もそのように行っていきたいと思います。

 ――カナモトは比較的ボトムアップの気風があると感じます。

 田中 そうですね。カナモトは一部上場企業としては比較的フランクな社風で、風通しが良いです。

 ――カナモトは海外事業にも積極的という印象を受けます。

 田中 そうですね。積極的に打って出ようとしていると思います。売上規模自体はまだ大きくはないですが、現在8カ国に進出しています。

レンタル建機業界の動向

 ――ライバルと位置付けているのは(株)アクティオでしょうか。

 田中 カナモトとしてはそうだと思います。この業界の最大手ですし。ただ、アクティオは事業が多岐にわたり、またあれだけの規模でありながら非上場ですので、本当の姿がはっきりとはわかりにくいです。

 ――建機レンタル業界が様変わりしたという印象を受けます。以前は独立系・地域系の企業が多くありましたが、現在は広域系と呼ばれる企業に収斂されてきたという印象です。

 田中 今後、この傾向はさらに加速していくと思います。地域、地場ではやっていけなくなると思います。なぜかというと、建機の価格が上がってきています。ICT系の建機の価格などがどんどん高くなっていますので、独立系・地域系がそうした機械を大量に抱えるのはリスクが大きいと思います。そのような機械はより広い地域、日本全国で行き来させた方が効率が良いです。そうしていかないと生き残れないでしょう。広域系、メーカー系などに収斂していくと思います。

 ――建設業界の動向についてはどう見ていますか。

 田中 社会インフラがどんどん劣化していきますし、自然災害も起きてほしくはないですが、今後も発生すると思われますので需要はあると考えます。問題は、少子高齢化が進むなかで、どれだけ資金を使えるかということですね。ニーズ、必要性は、間違いなく広がっていくと思います。ただ、今後人口が増えていくわけではないので、目先の10年くらいはよいとしても、ニーズのすべてを賄える資金があるかというと難しいでしょう。

建設機材

銀行業界の今後の展望

 ――銀行業界の今後についてどう見ていますか。

 田中 厳しいと思います。今後、キャッシュレスが進展し、紙幣・硬貨という概念がなくなってくると、リテールに関わる銀行の支店が必要なくなります。現在銀行もいろいろリストラなどを発表していますが、その人員調整のスピードが変化に追いつくか否かだと思います。また、これは建機レンタルの業界も同じですが、それぞれの銀行が単体で何かを行うのは投資コストが高すぎてペイしなくなっていくと思います。
 ただ、銀行の機能としてのコンサルティング機能は残っていくでしょう。これはたとえばAmazonが銀行業に参入してきたからといって、簡単にキャッチアップできるものではないと思います。

 ――地方銀行についてはどう見ていますか。地銀とSBIホールディングス(株)などとの関係はどうなるのでしょうか。

 田中 SBIグループや、楽天グループなどのネット系と地銀などとのアライアンスは加速していくと思います。利用者から見れば、今後もサービスを提供するのが今の銀行である必要はなく、Facebook、LINEでもよいわけです。決済面における銀行業と非銀行業との垣根はどんどんなくなっていきますね。

 ――政府の対応をどう見ていますか。

 田中 このような方向に進むほど、政府のグリップは効かなくなります。金融政策に関して中央銀行がグリップできなくなるのをいかにして遅らせるかという問題が生じてきます。

 ――金融政策が無意味になってしまいますね。

 田中 そうですね。ただ利用者は金融政策のグリップが効かなくなることよりも利便性が高い方を選ぶと思います。ポイントはどれだけ時間をかけてそちらに移すかということでしょう。

(つづく)

【文・構成:茅野 雅弘】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中 誠一
所在地:福岡県久留米市宮ノ陣町若松1-9
設 立:1960年11月
資本金:10億4,903万円
売上高:(19/10)204億2,243万円

<PROFILE>
田中 誠一
(たなか・せいいち)
1966年福岡県大野城市出身。九州大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了。92年日本興行銀行(現・みずほ銀行)入行。2017年みずほ銀行国際為替部副部長、19年6月(株)カナモト社長付顧問を経て、20年1月に(株)ニシケン代表取締役社長に就任。

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