
28日、福岡市中央区の西鉄イン福岡大ホールで、福岡青年会議所(尾本勝征理事長)主催の参院選(7月3日告示、7月20日投開票)福岡選挙区立候補予定者による公開討論会が開催された。
今回は「参議院選挙2025 県民のための公開討論会~あなたの一票が、福岡の未来を動かす~」をテーマに行われ、青年会議所の会員をはじめ、各候補の支援者、子ども連れの若い世代など、約200人が参加した。
<討論会参加候補者>
自民党現職 松山政司 欠席
立憲民主党現職 野田国義 出席
公明党現職 下野六太 出席
日本維新の会新人 伊藤博文 出席
国民民主党新人 川元健一 出席
日本共産党新人 山口湧人 出席
れいわ新選組新人 沖園理恵 出席
参政党新人 中田優子 出席
日本保守党新人 森健太郎 出席
社会民主党新人 那須敬子 出席
なお、立候補を表明している政治団体の「日本誠心会」と「チームみらい」の候補者には案内が行われなかったという。
経済対策については、消費減税に対する賛成意見が多かった。社民党新人の那須敬子氏は「アベノミクスは大企業優遇政策であった」と指摘したうえで、「物価高対策にはまず減税」と消費減税を訴え、財源は「大企業の内部留保への課税で行える」と主張した。
れいわ新選組の新人・沖園理恵氏は「失われた30年を景気回復にもっていくには、2019年から一貫して消費税廃止が必要と主張してきた」と述べた。この点について、共産党の新人・山口湧人氏は「消費税は廃止」としたうえで「まずは一律に5%減税をしたい」と語った。
参政党の新人・中田優子氏は消費減税とともに「国民負担率を抑え、医療費の削減や予算の見直しなどを行い、税収の不足分は国債で補てんする」と主張した。
一方、与党・公明党の現職・下野六太氏は消費減税を否定しつつ、「生活応援給付を行う」と、現在与党が打ち出している現金給付について述べた。
討論では候補者同士の議論も行われた。立憲民主党の現職・野田国義氏は「山本太郎さんを尊敬しているが、借金はどれだけしても大丈夫というのはマネジメントではない」と述べ、れいわ新選組の経済対策に疑問を呈した。
これに対し、れいわ新選組の沖園氏は「無制限に国債発行を認めるわけではない」と反論し、「国債発行の上限はインフレ率2%以内である」と語った。
消費減税についての討論では、公明党以外の各党は減税路線だったが、考え方にはそれぞれ違いが見られた。立憲の野田氏の主張は財政規律を重視する立場であり、与党や財務省に近い視点が感じられた。

少子化対策について、日本維新の会の新人・伊藤博文氏は教育無償化とともに「重い社会保険料負担について世代間の不公平さをなくす」ことを訴えた。
国民民主党の新人・川元健一氏は「政治が後押しできることは経済的理由で結婚や出産、第2子以上の子どもをあきらめる人がいる」と指摘し、「所得税減税などで現役世代の手取りを増やす」と訴えた。
日本保守党の新人・森健太郎氏は「働き方改革で労働時間が規制され、働けなくなっている」と述べたうえで、「外国人ばかり入れている」と政府の政策を批判。「間違った政策をやめれば日本は復活する」と述べた。
討論のなかで、外国人政策について政府の対応を批判した森氏に対し、れいわの沖園氏が司会の在り方に疑問を呈する場面もあったが、森氏は「排外主義ではない」と反論した。
福岡県選挙区は現時点で12人が立候補を予定しており、今回の討論会にはこのうち9人が出席した。ただし、青年会議所OBでもある自民党現職の松山政司氏が欠席したことで、「本当は自民党さんに質問したかったが」という声も聞かれ、討論の矛先が鈍った感はあったものの、消費税減税など経済対策や少子化対策を中心に熱い議論が繰り広げられた。
【近藤将勝】