2024年04月29日( 月 )

韓国総選挙の行方は?(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で続いているなか、韓国では最近、患者の増加数が徐々に減少している。大量検査で患者をできるだけ早く見つけ、その患者が外出を控えるようにすることが、最大の感染防止につながるという韓国政府の政策が功を奏しているようだ。

 そんな中、4月15日に韓国では国会議員300人を選ぶ総選挙が行われる。今回の総選挙は与党の政治に対する国民の中間評価となり、与党が選挙で敗北するような結果になれば、与党の政局運営は厳しくなり、大統領のレームダック化が引きおこされることになる。

 韓国の国会は、日本と違い、一院制で定数は300議席。小選挙区で253議席、比例で47議席である。現在の与野党の議席数は、与党の「共に民主党」が129議席。最大野党の「未来統合党」が117議席となっている。

 今回は4月15日に行われる第21回総選挙の予想と、現在の選挙情勢などについて取り上げてみよう。

 今回の選挙は、前回の選挙と、3つの違いがある。それぞれが今回の選挙にどのように影響するのかも、選挙の観戦ポイントの1つになりそうだ。

 韓国の国会は、昨年12月27日に選挙法を改正。その結果、有権者の年齢が19歳から18歳に下げられた。前回の投票では、10代の有権者数は67万人だったが、今回の選挙では10代の有権者数は100万人に増加している。これは与野党どちらに有利になるのだろうか。 2つ目には、少数政党に有利とされる「準連動型比例代表制」の導入だ。従来の選挙では、投票用紙に支持する地域の候補と、支持する政党を別々に選択していた。今回の選挙では、政党支持率は高いものの、当選される候補者数が少ない少数政党に有利になるように選挙法が変更された。これが選挙結果にどのような影響を与えるのかも興味深い。

 もう1つは、今回のコロナ政局である。新型コロナウイルスの蔓延により、選挙運動が思うようにできないなかで、選挙が行われるので、それが選挙結果にどのように影響するかが注目されている。

 今回の総選挙の予想投票率は、前回の総選挙を上回ることが予想されている。世論調査の結果、今回の総選挙で「必ず投票する」という有権者は72.7%に達している。参考までに前回の選挙では63.9%だった。

 それでは、現在の選挙情勢をみてみよう。韓国政府は当面の最大の課題である新型コロナウイルスの対処で一定の成果を上げて、日本の大方の予想とは裏腹に、韓国国民は与党に好意的である。中国と違って、韓国では強制的な措置などを取らずに、感染拡大に今のところ成功している。さらに、韓国の診断キットは世界中から求められ、韓国の防疫システムを学びたいという各国の要請が相次いでいる。

(つづく)

(後)

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