2024年03月29日( 金 )

韓国総選挙の行方は?(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 新型コロナウイルスが最初に発生した際、中国からの入国制限をすぐに行わなかったことに対する政府批判は強かった。しかし、現在は世界各国の報道機関が韓国の対応を絶賛している。その結果、文大統領の支持率は上がり、新型コロナは与党に追い風になっている状況である。それに、混乱を極めているこのような時期に野党を支持して国が混乱するよりは、安定的な政局運営が優先されるという雰囲気があり、それは、世論調査でも明確に表れている。

 総選挙を1週間前に控えた時点での世論調査では、「共に民主党」の勝利を予想する韓国人が41.4%に達した。一方、「未来統合党」が勝利すると見る韓国人は、15.3%にとどまった。注目の首都圏(121議席)では、ともに民主党が70議席から90議席を、最大野党の未来統合党は30議席~55議席が確保されるという予想だ。しかし、文大統領の故郷である釜山、慶南では与党の苦戦が予想されている。まだ、どちらに投票をするのかを決めかねている浮動票も25%を上回っており、浮動票の動向も、今回の総選挙の行方を左右する重要な要因になりそうだ。

 それでは、今回の総選挙は、どのような意味で大事な選挙なのだろうか。いつものように今回の総選挙も、第一与党の「共に民主党」と最大野党の「未来統合党」の2大政党が激突する選挙だ。韓国政治を大きく動かしてきた保守と革新の対立でもある。

 今回の両陣営の勝負で、最も注目を集めているのは、与党の政策を国民がどう評価するのかだ。与党が支持されれば、政策の継続を、野党が勝利すれば、政策の変更を意味することになる。もう1つは、今回の総選挙は2年後に控えた大統領選挙に向けた前哨戦の意味合いも強いという点だ。そのような意味において、ソウル中心部で激突する2人の対決に関心が集まっている。与党の候補者、 李洛淵(イ・ナギョン)前首相と、最大野党の候補者、黄教安(ファン・ギョアン )元首相だ。両氏ともに首相経験者で、次期大統領の有力候補でもある。

 与党の候補者、李洛淵前首相は、文大統領発足当初から首相を務め、約2年7カ月の在任期間は、歴代の首相のなかでも最長記録だ。東京特派員を経験した人物で、落ち着いた性格と行政手腕は、国民に評価されている。

 野党の候補は、パク前大統領時代に首相を務めた黄教安元首相だ。現在は、保守系の最大野党の代表として、文大統領とは対立している。

 黄教安前首相は、2月17日、2つの小政党を吸収するかたちで「未来統合党」を立ち上げた人物でもある。この対決は次期大統領選挙を占う対決でもある。総選挙を1週間前に控えた現在、与党は世論調査では野党をリードしている。その理由としては、与党の新型コロナウイルスの対処が良かったことと、野党の革新能力の欠如、野党議員の暴言などが上げられている。

 今回の総選挙で、「政府を支援するため与党の勝利」を望む人と、「政府をけん制するために野党の勝利」を期待する人のどちらが優勢なのか、もうすぐ判明するだろう。

 最後に、与党が勝利すれば、今までの韓国政府の親中、反日政策が続く可能性は高い。数日後の韓国の総選挙の行方がとても気になるところだ。

(了)

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