2024年05月01日( 水 )

作図、見積もりの手間を解消して「時短革命」~次世代加工部品調達プラットフォーム、ミスミの「meviy」(メヴィー)(前)

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国内製造業における調達の市場規模は約138兆円で、そのうち機械部品が約8兆円を占めている。機械部品とは生産設備・装置に必要とされる各種部材(ボルトや金型基盤など)、この調達には実に多くの「時間」を擁し、また多くの無駄があった。業界の特質と風潮からあえて必要とされてきたタイムロス、それが「不要」であることを知らしめたサービスがある。

GDPの2割を占める基幹産業「製造業」の弱さ

 技術大国日本の高度経済成長を支えた製造業。内閣府によれば、2019年日本年次GDP(実質)は536.5兆円、そのうち製造業は約110兆円で約21%を占めている。国内製造業は、バブル崩壊、リーマン・ショック、自然災害など多くの困難に直面しながらも、品質・技術力を生かせる部素材を強みとしながら国の経済を支えてきた。

 19年6月に経済産業省、厚生労働省、文部科学省が共同で発表した「2019年版 ものづくり白書」では、日本製造業の課題を以下のように述べている。

(1)人材不足とAI・IoTスキルの必要性、(2)技術継承、(3)顧客目線ビジネスの苦手意識など。

 1990年代初頭の製造業が占めるGDPのシェア率は約27%、それから徐々に下降し一時期20%を切ることもあったが、近年は緩やかに回復している。白書では回復の要因を、厳しい国際競争において完成品のシュアが低下しつつも、構成部素材で高いシェア率を維持していることによるとしている。国内製造業は全体として回復しつつも、なにかしらの変化、もしくは抜本的改革の必要性を求められている状況で、先々に「弱さ」が見え隠れしている。

ものづくりの社会インフラ、機械部品のミスミ

次世代加工部品調達プラットフォーム、meviy

 世界を代表する機械部品製造・販売企業「(株)ミスミグループ本社」。1963年2月に電子機器、ベアリングの販売を目的として三住商事(株)の称号で設立された。以降、急速に取り扱う商品の幅を広げるとともに、87年に台北支店、翌年には米国に現地法人「MISUMI USA, Inc.」を設立するなど海外進出も徐々に行ってきた。その後、98年に東証一部上場をはたすと02年以降、海外展開を本格化するとともに自社グループにメーカー機能を取り入れるなどした結果、19年現在、グループにおける売上高は3,319億円、社員は1万2,000人以上の世界屈指の大手企業となっている。

 同社は機械部品の販売において革命を起こしてきた。機械部品とは、スマートフォンや車といったプロダクトに直接使われている部品ではなく、そのプロダクトを組み立てるための機械に使われる部品のことだ。たとえば、自動車製造会社で特定車種に使うパーツを組み立てるための専用機械が必要になる場合。その生産設備は基本的に「その部品をつくるためだけに生まれた特注の機械」となるため、必要な部品も既製品だけでは成り立たない。そのため、機械メーカーはどれほど小さな部品であろうとも、既製品がなければその都度設計の図面を作成し、見積もり、発注を行ってきた。

(つづく)
【麓 由哉】

<COMPANY INFORMATION>
(株)ミスミグループ本社
代表取締役会長:西本 甲介
代表取締役社長:大野 龍隆
所在地:東京都文京区後楽2-5-1
設 立:1963年2月
資本金:130億2,300万円
売上高:(19/3連結)3,319億3,600万円

(中)

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