2024年04月25日( 木 )

韓国総選挙において、与党が圧勝~新型コロナウイルスへの対応が評価される

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
韓国国会議事堂

 韓国で4月15日に投開票が行われた総選挙(定数300)は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領を支持する革新系与党が選挙前の128議席から180議席へと大きく議席数を伸ばす圧勝に終わった。革新系政党が単独で議席の過半数を得たのは16年ぶりとなる。他方、保守系野党は選挙前の112議席から103議席へと議席数を減らした。

 与党の180議席確保は、国会において単独で法案の上程が可能となり、議会運営における主導権を握れることを意味する。また、与党・共に民主党の李洛淵(イ・ナギョン)前首相と野党・未来統合党の黄教安(ファン・ギョアン元首相)代表との直接対決(ソウル市選挙区)が注目を浴びていたが、こちらでも李前首相が勝利しており、与党の全面的な勝利といえる。

 与党の優勢は事前の報道でも報じられていた。長年にわたり韓国事業を展開し、日韓の親善団体の役員も務めるA氏は、今回の選挙の争点は主に新型コロナウイルスへの対応であり、文政権の対応が評価されたものだと受け止める。「経済、南北関係、対日政策よりも生死を分ける問題が一番の争点となった。PCR検査を積極的に行った文政権の対応が評価された。文大統領に追い風が吹いたといえる」(A氏)。「ただ、もし、新型コロナウイルスの感染がなかったら、選挙結果は変わっていただろう」。

 文政権は総選挙で信任を得たことにより、現在の政策を継続していくと思われる。とはいえ、文政権の一連の政策パッケージまでが全面的に支持を得たわけではない。対日政策についても、「現在の日本に対する厳しい政策を続けていくことが韓国の利益にとって良いのかどうか、再び経済界から問い直されるだろう」(A氏)。また知日派とされる李元首相が今回の勝利により22年の大統領選挙において与党の候補になるかについては、「まだ2年先のことであり、見通すことはできない」(A氏)。

【茅野 雅弘】

関連記事