中国の国会「全人代」が2カ月半遅れで開幕~今年の経済成長目標を提示せず。国防予算は前年比6.6%増
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22日午前、北京で全国人民代表大会(以下、全人代)が開幕した。例年3月に開催されており(ここ約20年は3月5日開幕でほぼ固定)、新型コロナウイルスの影響で、約2カ月半遅れで開催されることとなった。開催期間も例年であれば約10日であるが、今年は1週間と短めに設定された。
毎年、全人代には当地在住の内外の記者、外交官が大勢駆け付ける。注目されるのには主に2つの理由がある。1つには、中国では国家指導者が定期的に記者会見などを行う機会はないため、全人代は記者などが習近平・国家主席などを肉眼で見られる極めて数少ない機会の1つであるからだ(もちろん自由に接触できるわけではないが)。最終日に開催される李克強・国務院総理の記者会見は見どころの1つだ。記者との応答は概ね事前に用意されており、目新しいことが話されることは少ないが、中国内政・経済、対日・対米関係など外交に関する公式見解を理解するうえで重要だ。
もう1つには、毎年の経済成長率目標および国防予算を公表することだ。全人代開幕日に総理が読み上げる「政府活動報告」において、これらの数字が発表されるため、多くのエコノミストが目標に関して事前に予測を出すなど注目している。とはいえ、今年は新型コロナウイルスの影響により、経済成長率目標の公表を見送った。中国政府はさまざまな政治的、社会的資源を動員でき、一度提示した目標のつじつまを合わせることは不可能ではないはずだが、公表を見送ったということは、それだけ影響が大きく、無理な経済運営もしないという意思の表れであろうか。国防予算は発表されており、前年比6.6%増の1兆2,680億元(約19兆円に相当)となった。中国はかつて国防予算を毎年前年比10%以上増やしていたが、ここ5年は一桁の伸びにとどまっている。とはいえ、詳しい内訳が公表されていないため、実態はつかみにくい。
【茅野 雅弘】
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