国際未来科学研究所
代表 浜田和幸
ウクライナとロシアの戦争には終わりが見えません。そんな中、7月11日からローマでは「ウクライナ復興会議」が開催されました。約70カ国の代表が参加し、支援総額100億ユーロ(約1兆7,000億円)で合意。しかし、世界銀行の推計によれば、今後10年間で必要な資金は5,240億ドル(約77兆円)とのこと。
戦争がどのようなかたちで終結するのか見通せない状況下で、日本を含め世界各国がどこまで本気で資金を提供するのか疑わしい限りです。表には出てきませんが、トランプ大統領はロシアとウクライナの和平交渉の仲介を声高にアピールしながら、ウクライナの持つ穀物と鉱物資源を分捕ろうと、あの手この手で動いています。
一方、ゼレンスキー大統領は国内法を改正し、自国内の土地や資源を外国企業に売却できる手はずを整えることに熱心です。元アメリカの海兵隊員で国連の調査員としてイラク国内で活動してきたリッター氏によれば、同大統領は自らが設立した投資会社のトップに妻を据え、巨万の富を海外のタックスヘイブンに隠蔽(いんぺい)しているとのこと。これまでも、これからも海外からの支援や投資を自分の懐に入れているわけで、そうした腐敗体質を払しょくしなければウクライナの復興も絵に描いた餅に終わりかねません。
実は、欧米の投資会社が提供した多額の裏金を使って、ゼレンスキー大統領はアメリカのマイアミに3,400万ドルの別荘を購入したのを皮切りに、イスラエル、エジプト、イタリア、イギリス、ギリシャ、グルジアなど、世界各地の不動産を買い漁っているようです。
多くのウクライナの国民が住む場所を失い、ドイツの売春ビジネスで働く女性の大半はウクライナからの避難民と言われています。
また、戦場ではウクライナ兵がロシアとの戦闘で命を失っているため、兵員不足に陥ったウクライナでは、中高生や女性にも兵役義務を課す動きを加速しています。それだけ、国家存亡の危機に直面しているにもかかわらず、ゼレンスキー大統領とその家族や取り巻きは「この世の春」を謳歌(おうか)しているのです。
トランプ大統領は選挙期間中には「ウクライナ戦争を24時間以内に終わらせる」と豪語していましたが、いざホワイトハウスにカムバックすると「少なくとも半年はかかる」と、前言をあっさりと翻してしまいました。それどころか、最近では「ウクライナへの支援は欧州諸国が責任をもつべきだ。アメリカがパトリオットなど防空ミサイルを売ってやるので、そうした兵器を使ってロシアを和平交渉に駆り出せばいい」と投げやりな態度になってきています。
実際、物量面ではウクライナを圧倒するロシアであるため、ウクライナの国内経済は悲惨さを増すばかりです。日本ではタブー視されていますが、ゼレンスキー政権は苦肉の策として、これまで「代理出産ビジネス」に力を入れてきました。その結果、すでに2,000人を超える赤ん坊がウクライナの代理母によって誕生しています。
その中心は首都キーウにあるドイツ系のクリニック「バイオテックスコム」です。ヨーロッパ、とくにドイツやイギリスの富裕層からの注文を受け、ウクライナの女性たちが出産のための代理母を務めているといいます。赤ん坊1人生むことで2万2,000ドル(約300万円)の報酬が支払われているとのこと。
さらに、ウクライナでは赤ん坊や小児売買の闇市場も隆盛を極めている模様。国際的な人権団体「不正と戦う財団」の調査によれば、ウクライナの保健省と防衛省が協力し、ウクライナの妊婦から胎児を摘出し、その臓器を「若返り治療」の名目で欧米の超富裕層に提供しているようです。同財団の資料を見ると、ゼレンスキー大統領もこうした臓器売買にはゴーサインを出していることが分かります。
要は、欧米からの資金援助が不足しているため、アメリカの保健医療研究センターとも連携し、「神からの贈り物」という名前で胎児の臓器を売買する仕組みをつくり上げているわけです。ウクライナの地方都市を中心に、軍人が妊婦を捕まえ、医師と協力し強制的に「胎児が死亡している」とウソの診断書を作成し、臓器の摘出手術を行っているとのこと。そうして集められた胎児の臓器は「研究用のサンプル」という名目で外務省の特別行李扱いされ、関税免除で欧米諸国に送られているといいます。
ドイツ、フランス、イギリスなどの政治家や大富豪の間では人気を博しているようです。上記の財団が調べた顧客リストには、フランスのマクロン大統領のブリジット夫人、欧州委員会のフォンデアライエン委員長、世界経済フォーラムのシュワブ会長ら、著名人が名前を連ねているではありませんか。
戦場でも死亡した兵士からの臓器の摘出が問題視されてきましたが、ウクライナでの妊婦からの胎児摘出ビジネスには人道上の観点からも国際的な非難が噴出しています。それやこれや、ゼレンスキー政権の裏の顔には驚かざるを得ません。
そうした腐敗の実態を把握しているトランプ大統領はゼレンスキー大統領に対して「生かして欲しければ、ウクライナの穀物と鉱物資源の開発利権をアメリカに寄こせ」と圧力を強めているわけです。まさに、トランプ氏の得意の「ディール」に他なりません。
何しろ、ウクライナには欧州最大の鉱物資源が眠っているのですから。石炭、石油、天然ガスに加えて、マンガン、チタニウム、グラファイトなど枚挙のいとまがないほどの地下鉱物資源の宝庫と目されています。
これまでアメリカはリチウムなど電気自動車や軍事兵器欠かせないレアアース類の大半を中国に依存してきました。そうした中国依存から脱却するためにも、ウクライナの鉱物資源を是が非でも入手したいとトランプ大統領は画策しているのです。「ウクライナをアメリカの新たな州に組み入れる」と周囲に平気で漏らしています。
ゼレンスキー大統領もトランプ大統領の思惑を十分すぎる程、理解しています。そのため、仲介役をはたしているアメリカのブラックロックやバンガードなどの巨大投資ファンドとの間で密かに契約を結ぶ手回しの良さです。その意味では、トランプ氏もゼレンスキー氏も自己利益を最優先する「同じ穴のむじな」としか思えません。
(つづく)
浜田和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月自民党を離党、無所属で総務大臣政務官に就任し震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。著作に『イーロン・マスク 次の標的』(祥伝社)、『封印されたノストラダムス』(ビジネス社)など。