2024年04月21日( 日 )

【BIS論壇No.322】コロナ後の日本、世界経済予測

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 NetIB‐Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会会長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。今回は2020年5月25日付の記事を紹介。


 5月24日現在の世界のコロナ感染者は531万人を突破。死亡者は34万人強だ。このうち米国は感染者162万強。死亡者9万7,000人強と最大だ。南米ブラジルが米国につぐ感染者数で34万人強、死者2万2,000人強と感染が急速に拡大している。これから南半球では冬場に向かう故、南米、アフリカでの感染が拡大するのではないかと憂慮されている。

 今回のコロナパンデミックは2003年のサーズに比べ、グローバル化の加速もあいまって、伝染病が短期間に世界に蔓延。非常事態宣言、都市封鎖に加え、企業、工場閉鎖、経済活動の禁止、自粛などが相次ぎ、世界の経済活動にかつてない深刻な影響を与えている。

 日本では1~3月のGDPが年率3.4%減となり、日本経済の回復は早くて来年後半との見方が強い。4~6月期の成長率は平均で前期比年率マイナス21.2%と23人の民間エコノミストは予想している。(日経5月19日)。これは17.8%減を記録したリーマン・ショック後の09年1~3月期を超えて、戦後最大の落ち込みだ。4~6月期の予想数字で2020年の実質GDPを試算すると494.4兆円と500兆円を割りこみ、8年前の12年の安倍政権発足時に逆戻りするゆゆしき事態だ。2019年10月の消費増税が日本経済へ悪影響をもたらし、増税前のGDP回復は早くて2024年後半との悲観的な見方をするエコノミストもいる。

 コロナ後は一気にV字景気回復を目指すと安倍首相はいつもながらの調子の良い楽観論を喧伝している。しかし、30年以上にわたり景気が低迷している日本は戦後最大の不況が到来することを予測し、楽観論を戒め、慎重な国家経済対策を策定することこそ肝要だ。

 中国では5月22日全人代が開催されたが、本年度のGDP成長目標は発表されなかった。1~3月期のGDPはマイナス6.8%となり、年間では20%近くのマイナスになるのではとの悲観的な予測をするエコノミストもいる。米国ではGDPの70%を占める個人消費が16.4%落ち込み、失業者も2,000万人を突破。2020~21年はGDPで日本21.33%、米国39.6%、英国35%それぞれマイナスとなり、世界全体で910兆円のGDPが失われるとの悲観的な予測もある。(NHK)。東南アジアも経済減速が鮮明で2020年は3%から国によってはタイなど5~6%減とADBが予測。NHK 5月24日のBS放送でコロンビア大ステイグリッツ教授やハーバードのサマーズ教授などは今回のコロナ禍対応で世界の中央銀行の出動が早く金融危機には至らないだろう。しかし資金供給バブル、史上最大の金融緩和で世界各国の金融政策は限界にきている。とくにGDPの2倍以上の借金を抱えている日本は金融改革、財政健全化が必須だと指摘。一方、世界2大経済大国の米中では貿易摩擦、コロナをめぐる対立が激化している。だがCoopetition(協力と競争)の精神でコロナ禍の現状下、まず米中両国が相協力してワクチン生産などコロナ対策に大国として尽力することこそ肝要だ。

 さらに経済・貿易のグローバル化を促進し、貿易で世界の富を増やすこと。経済格差を加速している資本主義を見直し、省資源、省エネルギ‐、環境保全などSDGs、ESGにのっとり、持続可能な成長、社会の在り方を目指し、新しい価値創造に世界が尽力すべきだ。


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

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