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2014年11月18日 16:24

佐世保児相に突然引き離された親と子(4)

長崎県・佐世保児相もう一つの「闇」

 家庭への調査(訪問)、指導を行わず、当時8歳の男児を一時保護し、保護者とトラブルを起こしている佐世保こども・女性・障害者支援センターの児童相談所部門(以下、佐世保児相)。当初、男児の一時保護の決定に大きく関わったと見られる児相職員は、10月頃から病気休暇となっており、このことも両者の話し合いが難航する一因と思われる。佐世保高1同級生殺害事件に関わらなかった対応が問題視される佐世保児相。平行して起きていたもう一つのトラブルでは、佐世保児相が主として関わっている。両親はすでに長崎県知事あてに審査請求なども行っており、佐世保児相が置かれていた状況を知る上で、本件は重要な要素だと考える。

公的補助によるホルモン剤投与

 佐世保児相の所長が5月12日に保護者に出した通知(26佐支セ第107号)によると、男児は、児童福祉法第33条による一時保護委託となり、その後、保護者の両親との折り合いがつかず、長崎家庭裁判所佐世保支部に、小規模住居型児童養育事業者への委託措置の承認が申し立てられ、7月23日、同家裁は承認した。(両親は8月4日、福岡高裁に即時抗告)。佐世保児相が申し立ての理由にあげたのは以下の4点。

(1)成長ホルモン分泌不全性低身長の治療を1年行ったが治療効果が上がらず、主治医(佐世保中央病院)が栄養不足を疑い、男児を2週間入院させることを勧めたが母親が拒否したこと。

(2)佐世保市子ども発達センターの定期的診察で、2013年6月の初診から体重が14.3kgのまま変動しないこと。

(3)13年7月の佐世保市要保護児童対策地域協議会個別ケース検討会で、関係機関が両親による食事制限を疑ったが、虐待と判断するまでには至らず、その後も佐世保市子ども発達センターが主として男児の経過を見ていたこと。

(4)14年3月29日、雨のなか、公園に1人でいる男児を見かけた近隣住民が警察に通報し、駆けつけた警察官が自宅まで男児を送ったが、男児が嫌がったため、両親と話さず、自宅に入る様子を見届けたこと。

sasebo_sien 佐世保市中央病院の記録から、(1)の「治療効果が上がらない」を補足する。男児は、12年1月に佐世保市中央病院に検査入院し、後日、「成長ホルモン分泌不全性低身長」と診断された。この際、父親は主治医から、難病疾患として公的補助が受けられることを理由に遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤の投与を勧められたという。相談の上、この勧めを受け入れ、両親は、公的補助を申請。12年4月から1年間、男児へのホルモン製剤の投与を行った。

 この間、男児は身長94.8cm、体重15.0kg(12年4月23日)から、経過記録が最後では身長98.9cm、体重14.8kg(13年5月10日)へと、体重はほぼ変らなかったものの、身長で4.1cmの伸びを見せている。「治療効果が上がらず」とは、正確には「公的補助の継続に必要な基準まで治療効果が上がらず」となる。なお、この後、男児は佐世保児相に一時保護された14年3月31日には、身長99.7cm、体重16.3kgとなっている。(身長、体重は、医療機関の記録および家裁の審判に付せられた別紙1によるもの)

 男児に投与された成長ホルモン剤の説明書を確認すると、食欲亢進の精神神経系の副作用があると記載されている。もともと食べ物への執着が強く、それがために佐世保市子ども発達センターにかかっていた男児だが、小学1年生時に見られた給食の拾い食いの理由ではなかったかと両親は推察する。

 両親は当初、男児の低身長を遺伝によるものと考え、あまり気にしていなかったという。それは父親165cm、母親154cmと小柄で、父親も幼い頃、周りの子より背が低く、中学時で140cm、高校に入って10cmほど伸びたためだ。成長ホルモン剤は、医師の勧めもあり、補助が受けられるなら子どものためにやってみようということになった。虐待とされる過度の食事制限が疑われたとされるが、医師らは「他の兄弟と同じように食べさせている」「放っておくと大人の2倍くらい食べる」という両親との面談による情報しか記録しておらず、実際に家庭の様子を確認したわけではない。

 (3)の要保護児童対策地域協議会(注)でも虐待と判断するに至らなかった。佐世保市職員(子育て応援センター)による男児の送致から緊急保護に至るきっかけは、「右目の下に痣があり、昨日の夕食から食べさせてもらえず、家族全員が外出し、昼食も食べさせてもらえないという男の子が公園にいる」との通告である。佐世保児相の関係書類では、右目の下の痣は男児の自傷によるものとされている。また、両親は、家族全員の外出を否定。姉の長女(当時9歳)がおにぎりを1同男児に届けており、次に午後1時過ぎ、迎えに行った長女が男児の所在不明を知り、家に連絡した。

 事前の家庭調査(訪問)や指導がなく、一時保護に至った経緯や、里親や施設入所の承認を求める佐世保児相が示す『虐待』の根拠が男児の話と医師の診察であることだが、両親側は納得しておらず、あらためて佐世保児相による指導(調査)を受けた上での家庭への受け入れを求めている。しかし、先週の11月11日、佐世保児相の求めで母親は所長と面談しているが、さまざまな疑問は解消されず、ここでも話は平行線をたどった。

(つづく)
【山下 康太】

(注)要保護児童対策地域協議会とは、虐待児や非行児童を含む支援・保護が必要な児童、その保護者などの早期発見や適切な保護などを図るために、自治体、学校、教育委員会、警察などの地域の関係機関が関連情報を共有し、連携・協力により適切な支援を行うというもの。14年7月26日に起きた佐世保高1同級生殺害事件に関連して、事件前に逮捕された少女を診察していた精神科医が、佐世保児相に要対協の開催に該当するケースかと問い合わせたところ、児相職員が電話で「該当しない」と答え、その後、何ら対応しなかったことが問題視されている。現在、外部有識者による検証が行われている。(詳細はココをクリック

 
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