2024年04月23日( 火 )

別府市のマンション設計偽装 大分県と別府市へ質問書を提出

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 構造設計一級建築士 仲盛昭二氏は、自己が所有する大分県別府市の分譲マンションについて 構造設計の偽装があったとして、6月8日建築確認の管轄である 大分県の広瀬知事、および別府市の長野市長あてに質問書を送付した。
(以下は 質問書より抜粋)


 法適合性や耐震上の安全性を知るために 本マンションの図面を見た結果、

(1)1階鉄骨柱脚が非埋め込み形柱脚である
(2)柱脚の鉄量が規定量(柱頭の鉄量と同等以上)より60%も不足
(3)耐力壁を有する架構において、耐震壁方向に有効な鉄骨が配置されていない

 以上3点が判明し、これらを考慮した構造計算が行われていない可能性が極めて高く、解体・建て替えを要する違法建築であることが分かりました。

 特に、1階柱脚鉄量が規定の半分以下(60%不足)ということは、最も重要な1階部分が崩れ倒壊する可能性が極めて高く、本マンションの居住者全員の生命に関わる重大な問題であり、この事実を知り得た以上 私には他の住人に知らせる義務があります。(違法性や危険性を隠ぺいすることはできません)

 私を含めた本マンションの区分所有者にとって、本マンションが法に不適合で耐震強度を有していなければ、資産価値がゼロということになり、多大な損失を蒙ることとなります。また、本マンションが倒壊した場合、近隣の建物及び居住者、歩行者、車両などに甚大な被害を与え、区分所有者が加害者という立場になってしまいます。

 本マンションは 大分県による建築確認を受けています。つきましては、本マンション区分所有者のために、大分県が本マンションの構造上の法適合性と耐震上の安全性を確認した根拠を示し、説明をお願いできないでしょうか? 大分県が根拠を示していただければ、本マンションの資産価値を回復し、安全性を担保することができ、区分所有者及び住人に安心を与えることができると思います。

 私は 大分県に建築確認の責任を追及しているのではなく、資産価値を回復させるために お尋ねしていますので、本マンション区分所有者や近隣の市民のためにも、適切な説明を令和2年6月22日までに仲盛までお願いいたします。


 このマンションは「ラ・ポート別府」。

所在地:大分県別府市若草町4-3号
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)11階建て 総戸数42戸+2店舗
平成3年(1991年)7月築(築後28年11カ月)
建築主:太平産業 設計:松井建築事務所 施工:さとうベネック

 区分所有者である仲盛昭二氏による検証結果は以下の通り。

【検証結果】
(1)柱脚鉄骨非埋め込み(ピン柱脚) 1階柱18本すべて

(2)Y方向=耐震壁方向  T型・・6本  I型・・12本
12本/18本=2階より上階および全階の鉄骨柱 耐震壁方向に鉄骨配置なし

※非埋め込み形柱を考慮したDsにより構造計算が行われているとは考えられない。
また、Y方向に有効な鉄骨が存在しない(単材)ことを考慮した計算もなされていないと思われる。

(3)柱脚の鉄量

 もっとも鉄量が不足している柱C5の場合、規定よりも60%も鉄量が不足している。
 1階柱脚の鉄量が60%も不足していれば、地震が発生した場合、もっとも弱い1階柱脚部分(足元)が崩壊し、建物全体の崩壊につながる。このマンションが倒壊すれば、前面道路の歩行者や向かい側のマンション住人にも危害を与え、区分所有者は加害者の立場となる。一日も早くマンションを是正し 危険を取り除くべきである。

もっとも弱い1階の崩壊を想定したCG

【桑野 健介】

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