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2020年07月02日 10:24

住友不動産違法欠陥マンション被害者の会 福岡市内の高層マンション欠陥の実状(後)

 前回は、住友不動産(株)が販売したマンションの欠陥を伝える「住友不動産違法欠陥マンション被害者の会」(以下「被害者の会」 リンク:https://higaishanokai.com/)というサイトを紹介した。今回は、被害者の会代表が居住する福岡市内の高層マンションの欠陥の実態を伝えることとする。

3本中2本の基礎杭が、支持地盤に到達していない

 福岡市内の高層マンションの欠陥のうち、エントランスの自動ドアと、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚不足や爆裂に関する補修は行われた。

 構造スリットの未施工と基礎杭が支持層に到達していない点は是正されていないが、管理組合の弁護士と住友不動産との協議により、構造スリットを設ける工事を実施する方向になった。

 マンションの基礎杭については、調査可能な3カ所だけで杭長の調査が行われ、3本中2本の基礎杭が支持地盤に到達していないことが明らかになっている。マンションの裏手は丘陵地へ続いているため、支持地盤が傾斜している可能性も考えられる地形である。3カ所しか調査が行われなかった理由は、建物が調査の障害となるため、調査が可能な箇所が3カ所だけだったからだ。

 基礎杭の問題に関して管理組合は、3カ所の調査以外に調査の範囲を拡げることなく、(一社)建築研究振興協会(以下「建振協」)の判断により、是正措置の可否を決めるとしている。
 この建振協の理事には、大学教授などのほか、清水建設(株)、(株)大林組、大成建設(株)、鹿島建設(株)などがメンバーとして名を連ねている。会員のほとんどは、ゼネコンや設計事務所である。このマンションの施工を行ったゼネコンの住友不動産も、建振協の会員である。

 被害者の会が不審に思っているのは、「ゼネコンの団体である建振協に公正な判断ができるのか?」という点である。「調査を行った3カ所のうち2カ所の杭が支持地盤に到達していない」という異常な状況を前に、調査もせずに「問題なし」と結論づけることは、素人目に見ても理屈が通らない。被害者の会の話によれば、建振協はほかのマンションにおいても業者寄りの判断を示してきたということだ。

販売会社の息がかかった理事会は、被害者の会を排除

 構造スリットの工事に関する合意書が区分所有者に配布され、管理組合定期総会の場で回収されたが、同意者の人数は公表されなかった。共用部分である躯体に手を加える工事については、区分所有者の4分の3以上の同意が必要と区分所有法に定められているが、はたして4分の3以上の同意があったのかは不明である。

 被害者の会によれば、このマンション管理組合理事会と管理会社は、以前から区分所有者に情報を開示せず、独善的に物事を進めてきたという。今回の同意者の人数を区分所有者に公表しないことは、典型的な例である。

 被害者の会の1人は、このような理事会を変えたいという思いから、役員改選において理事に立候補した。このマンションの役員は輪番制となっており、次期当番のほうが理事就任を辞退したので、理事は立候補者を含めて定員の4名となった。そのため、次期の理事に決定するはずであったが、現理事長は「理事長預かり」とした。その後、辞退した方を強引に説得して次期理事にして、立候補した被害者の会の方を排除したのだ。

 図面に明記されていながら 実際には施工されていなかった構造スリットを施工すること自体は悪いことではないが、基礎杭の問題を解決しないままに、不可解な決議で構造スリットの施工を急ぐ理由は何であろうか? 

 調査を実施した3本の基礎杭のうち、2本が支持地盤に到達していないという結果は、マンションの倒壊につながりかねない重大な欠陥である。建振協の判断に委ねるということであるが、建振協はいかなる方法で調査不可能な杭が支持地盤に到達していることや安全であることを確認するのであろうか?

 このマンションは比較的高額で分譲されたマンションである。しかし、基礎杭が支持地盤に届いていなければ 安全性を担保することはできない。そうするとマンションの資産価値も額面通りとはいかず、売却も困難になる。住宅ローンが残っている家庭も多いと考えられるが、毀損された資産価値は取り戻すべきであろう。

被害者の会は、住友不動産の提訴も検討

 住友不動産が販売したマンションは、横浜市内の「パークスクエア三ツ沢公園」(設計・施工は熊谷組)において杭工事のデータ改ざんと建物の傾斜が発覚し、建替えの方針で進んでいる。
 本記事で紹介した福岡市内の住友不動産分譲のマンションも、基礎杭が支持地盤に到達していないことが判明しており、傾斜した横浜のマンションと同じ現象が生じる可能性は十分考えられる。福岡のマンションまで建替えになれば、住友不動産にとっては大きな打撃となる。だから、構造スリットの工事を急ぎ、問題解決を図っているのではないだろうか?

 住友不動産の意を汲んだ管理組合理事会や弁護士、管理会社(住友不動産系列の住友不動産建物サービス(株))は、区分所有者の利益をまったく考えていないのではないだろうか?

 住友不動産が分譲したほかのマンションでも、同様の欠陥が潜んでいるのではないだろうか?

 被害者の会は、このマンションを分譲した住友不動産、親会社の意を汲んで理事会をコントロールしている住友不動産建物サービス、販売会社と管理会社の言いなりで区分所有者に情報を隠ぺいした理事長の三者を相手に、提訴することも検討している。

 「住友不動産違法欠陥マンション被害者の会」は、全国の住友不動産が分譲したマンションの欠陥問題の情報を集め、大きな力にしたいと考えているそうである。気になる方はサイトから問い合わせをされてはいかがであろうか。

(了)

【桑野 健介】

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