2022年05月24日( 火 )
by データ・マックス

経営者が考えておくべきハラスメント対策とは

 新型コロナウイルス関連の報道に埋もれた感じがありますが、今年6月からいわゆる「パワハラ防止法」(労働施策総合推進法の改正)が施行されました(ただし、中小企業については、準備状況を勘案して2年後の2022年4月施行)。

岡本弁護士

 パワハラについて初めて法律で規定され、企業にその防止措置の義務を課すものです。同法では、企業に相談窓口の設置や再発防止対策を求めるほか、行政の勧告に従わなかったときは、企業名が公表されることになります。パワハラ問題が社会問題となり、「あってはならない」という認識が浸透していくことに重点が置かれており、「罰則規定」は見送られました。また、同時に、セクハラ・マタハラなどの防止に関する事業主・労働者の責務の明確化など、セクハラなど防止対策の実効性の向上を図る改正もされています。

 なお、企業が講ずべき具体的な対策として認められるものとしては、次のようなものがあります。


(1)企業の方針の明確化とその周知・啓発

○ハラスメントの内容・ハラスメントがあってはならない旨の方針、ハラスメントの行為者について厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則などの文書に規定し、労働者に周知・啓発すること。
○前記の内容を記載した社内報、パンフレットなどを配布したり、周知・啓発のための研修・講習などを実施すること。

(2)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

○相談窓口を設置して、労働者に周知すること。
○外部の機関に相談への対応を委託すること。

(3)事後の迅速かつ適切な対応

○事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
○被害を受けた労働者に対する配慮の措置を速やかに、かつ適正に行うこと。
○加害行為者に対する措置を適正に行うこと。
○再発防止の措置を講ずること。

(4)併せて講ずべき措置

○相談者・行為者などのプライバシー保護。
○ハラスメントの相談をしたことなどを理由とする不利益な取り扱いを禁止し、そのことを周知・啓発すること。


 以上の通り、企業としてはハラスメントについての就業規則の整備や、研修などを通じて従業員などにハラスメントに対する関心と理解を深めること、ハラスメントについての相談体制を構築することなどが必要になります。これらは、いずれも労務問題に詳しい弁護士が対応できる業務内容になりますので、ぜひ、弁護士と相談しながら、必要な対策を講じてください。

 そもそも、「パワハラ」という言葉をよく聞くけれど、「いったいどのような場合にパワハラになるのかわからない」という方も多いかと思います。パワハラとは、次の3つの要素をすべて満たすものとされていますが、詳しくは次号で解説します。

(1)優越的な関係を背景とする言動
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
(3)就業環境を害することまたは身体的もしくは精神的な苦痛を与えること


<INFORMATION>
岡本綜合法律事務所

住所:福岡市中央区天神3-3-5 天神大産ビル6F
TEL:092-718-1580
URL: https://okamoto-law.com/

<プロフィール>
岡本  成史
(おかもと・しげふみ)弁護士・税理士
岡本綜合法律事務所 代表
1971年生まれ。京都大学法学部卒。97年弁護士登録。大阪の法律事務所で弁護士活動をスタートさせ、2006年に岡本綜合法律事務所を開所。経営革新等支援機関、(一社)相続診断協会パートナー事務所/宅地建物取引士、家族信託専門士。

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