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2020年08月11日 14:40

復活の道が見えない日産自動車の研究(3)

仏ルノーは再び、国有化されるか

 新型コロナウイルスの感染拡大は、仏ルノー、日産自動車、三菱自動車の日仏連合に壊滅的な打撃を与えた。3社連合は継続するのだろうか。次は、ルノーと日産が「縁切りする」可能性について、検証する。仏政府が前面に出て、ルノーを再国有化するかが、焦点になる。

ルノーは日産とコロナのダブルパンチで壊滅的な打撃

 ロイター通信は7月30日、「仏ルノー、上期赤字73億ユーロの赤字、過去最大」とする次のようなパリ発の記事を配信した。

「フランスの自動車大手ルノーが発表した上期決算は過去最大の72億9,200万ユーロ(約9,000億円相当)の純損失を計上した。新型コロナウイルスの流行が響いた。アライアンスを組む日産自動車の損失も重しとなった。ルノーの連結営業損益(日産の損失の影響を除く)は20億ユーロ(約2,500億円)の赤字。前年は15億ユーロ(約1,800億円)の黒字だった。売上高は34.9%減」

「ルノーは日産同様、大規模の事業改造改革を進めている。上期のキャッシュフローは63億7,500万ユーロ(約7,800億円)の赤字だった。ルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は声明で、『前例のない事態だが、これで終わるわけではない。グループの回復力に強い自信をもっている』と述べた」

「自動車各社は新型コロナで大きな打撃を受けているが、ルノー・日産連合は、利益率の低迷やカルロス・ゴーン前会長をめぐる経営の混乱を背景に、とくに痛手が大きい。日産は今期(2021年3月期)の営業損益は4,700億円の赤字と予想。ルノーによると、日産のマイナス寄与はルノーの純損失の48億1,700万ユーロ(約5,900億円)に相当する」

「世界一の自動車王」の野望に燃えたカルロス・ゴーン氏の後遺症

 ルノーは経営悪化した日産を手に入れるために投じた約8,000億円を、1兆円を上回る配当金で全額回収した。それだけではない。ルノーの連結純利益のうち、日産からの「持分法投資利益」が17年まで5割以上を占めており、日産がルノーの業績を支えていた。

 しかし、日産の業績悪化で、ルノーも19年に10年ぶりの最終赤字に転落した。日産は、カルロス・ゴーン前会長時代に、新興国を中心に生産能力の増強を進め、18年度には世界の年間生産能力が720万台に達した。一方で新車販売を怠ったためにモデルチェンジから時間が経過した車種が増えたことにより、年間販売台数が500万台を割り込むという販売不振にあえいだ。

 ゴーン前会長の野望は「世界一の自動車王」になることだった。この野心を達成するためのシナリオは、「ルノーと日産の緩やかなアライアンス(企業連合)の枠組みを見直して両社を統合させ、その統治者として自分が君臨し続ける仕組みにつくりかえる」ことだった。

 ゴーン氏は日産に思い入れがあるわけではない。ルノーも日産も三菱自動車も、ゴーン氏にとっては手持ちのカードだったのだ。

 しかし、クーデターで追い落とされ、ゴーン氏の野望は潰えた。日仏連合を率いてきたゴーン前会長が失脚したことで、各社はその尻拭いに追われ、お家騒動が起きた。

ルノーの新CEOデメオ氏は、過去にトヨタに勤務

 19年1月、ゴーン氏の後任であるルノー会長にミシュランCEOのジャンドミニク・スナール氏が就いた。ルノーの副CEOだったティエリー・ボロレ氏がCEOとなり、ルノーも「ゴーン後」の新体制に移行した。

 ルノーは同年2月、ティエリー・ボロレCEOが、ルノー・日産BV(RNBV)の会長に就いたと発表した。これでルノーと日産との企業連合の統括会社RNBVのトップが決まった。
 しかし、その後内紛が起きてボロレ氏の経営手腕を疑問視する声が挙がり、同年10月に解任された。

 ルノーは20年1月、空席となっていたCEOの役職に、独フォルクスワーゲン(VW)傘下のスペイン・アセトのルカ・デメオ前CEO(52)を招く人事を決めた。トヨタ自動車に勤務した経験があり、日産や三菱自動車との関係強化に適任と判断したことが理由だ。

 デメオ氏はイタリア北部ミラノ出身。ルノー、トヨタ欧州拠点、フィアット(現・フィアット・クライスラー・オートモービルズ)で勤務した後、09年にVWにマーケティングトップとして加わった。VW傘下で経営難にあったアセトを3年で最高益に導いた人物だ。

 デメオ氏は競合他社で一定期間役職に就かないとの契約を結んでいたため、実際の就任は7月1日となった。しかし、デメオ氏がCEOに就いたとき、ルノーの経営環境はコロナ禍で一変していた。

(つづく)

【森村 和男】

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