• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年08月09日 07:00

復活の道が見えない日産自動車の研究(2)

指名委員会が策定したトロイカ体制はあっけなく崩壊

 指名委員会の次なる仕事は、代表執行役の選任。指名委員会は2019年10月8日、西川氏の後任の社長兼CEOに内田誠・専務執行役員を起用すると発表した。

 内田氏は(株)日商岩井(現・双日(株))の出身。カルロス・ゴーン前会長の改革初期の03年に日産に転じた。国際経験が豊富で、流暢な英語を操る。

 業界では「内田WHO?」(内田とは誰か)といわれるほど、内田氏は目立った人物ではなく、クールな「能吏タイプ」だ。「全軍を率いる将軍が務まるのか」と首を傾げる向きが多かった。

 同時にナンバー2であるCOOに、ルノー出身で三菱自動車のCOOだったグプタ氏を起用し、副COOには生え抜きの関潤専務執行役員(当時58)を昇格させた。

 指名委員会が策定したトロイカ体制は、発足前にあっけなく崩壊し、昨年12月、日産の副COOに就いた関氏は退任。関氏は日本電産(株)の創業者の永守重信会長の招きで、日本電産の社長に転進した。

 その後、関氏退任の舞台裏が明らかになる。「指名委員会は当初、関氏を社長に昇格させる案が有力であったが、スナール会長が猛反対して覆された」(業界関係者)という。

 関氏は、昨年7月、世界の全従業員の1割にあたる1万2,500人の削減を盛り込んだ再建計画を主導した。ルノーとの経営統合に反対した西川社長の下で、再建計画、経営再建づくりに関わったことから、ルノー側が猛反対した。
 「上に反対することなく、仕事をそつなくこなす内田氏にお鉢が回ってきた」(同)

指名委員会は経産省出身の豊田氏とスナール氏の力関係

 日産の指名委員会の陣容は次の通りだ。

<指名委員会>
委員長
 豊田正和(71):元経済産業省 経済産業審議官
委員(取締役会議長)
 木村康(72):元JXTG(現・ENEOS)ホールディングス(株)会長
委員
 ジャンドミニク・スナール(67):ルノー取締役会長
委員
 井原慶子(47):慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科特任教授
委員
 永井素夫(66):元みずほ信託銀行取締役副社長
委員
 アンドリュー・ハウス(55): 元(株)ソニー・インターラクティブエンテインメント取締役会長

 指名委員会の上記6人の委員が内田社長CEOを続投するか、グプタ氏を昇格させるかを決める。委員長・豊田氏は、「経産省の代弁者」といえる人物だ。豊田氏の動きを見れば、経産省が日産をどうしたいのかが、わかる。

 もっとも、市場関係者からは、「指名委員会は経産省とルノーの駆け引きの場。日産をどう再生するか、再生を託すには誰が適任か、という肝心なことがわかっているとはとても思えない」と冷ややかな声が挙がる。

 関氏を覆して内田氏で決めたように、ルノーのスナール会長の発言で決まるだろう。スナール氏は、「ルノーの操り人形」と社内で言われている内田氏を、いま変えることはしないのではないか。

 スナール氏は、指名委員会を最大限に利用して、日産をコントロールする実権を握ったといっても過言ではない。ルノーとの経営統合に反対する日産には、指名委員会等設置会社という枠組みが、重い足かせになる。

(つづく)

【森村 和男】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2021年01月26日 14:05

【企業研究】「凋落するメディア事業」〜西日本新聞社

 ブロック誌の雄として九州地区に君臨してきた(株)西日本新聞社だが、近年の業績は下降推移だ。20年3月期では本業の新聞発行を中心としたメディア関連事業で営業赤字に転落...

2021年01月27日 17:53

『脊振の自然に魅せられて』大雪の脊振山へ(後)

 脊振山頂駐車場に停めた愛車の車内で、粉末の即席ぜんざいをコップに入れ湯を注ぐ。コンビニで買ったソフトパンを頬張り、ぜんざいとともにお腹に流し込んだ。ようやくエネルギ...

2021年01月27日 17:42

山村の過疎化地域で「小水力発電」~消滅の危機に瀕する山間地産業が復活(後)

 第二次世界大戦以前の日本では、都市部への電力供給のために巨大ダムが建設されると同時に、全国の農村部では村役場や住民有志が資金を集めて建設した小水力発電が普及していた...

2021年01月27日 17:00

政府債務論のコペルニクス旋回、日本は反省せよ~イエレン・パウエル連携は強力な株式支援に(2)

 イエレン氏に呼応する形で、パウエル議長も財政債務論の見直しに踏み込んでいる。パウエル議長は景気回復と財政の持続性はともに重要であり、政府債務のGDP比は高いが、国債...

2021年01月27日 16:42

【2/17~26】日中芸術交流展 山田ゆかり×武楽群「響き合う世界」~五感すべてを使って楽しめる新感覚のアート

 毎日を生きるなかで、つい忘れがちな「ときめき」を、抽象画や写真とのコラボレーションで斬新な世界をつくり出すことで表現しているアーティストの山田ゆかり氏と、多くの油絵...

2021年01月27日 16:25

大和力を、世界へ。コロナ禍のなかでアートにできること(2)

 『長野にも仕事場があるんですが、これまでは長野と東京などの都会を行き来することで自然とバランスをとっていたところがあって、それができなくなったので最初のころは大変で...

「復興五輪」悪魔の正体

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本はいま『原子力緊急事態宣言』下に置かれている。被ばく線量の上限が変更...

2021年01月27日 14:41

【福岡県に緊急事態宣言】(16)緊急事態宣言と飲食店主・現場の声(2)

 福岡市南区にある創作料理店を営む店主(個人事業主)は2度目の緊急事態宣言の影響について、下記のようにコメントした...

2021年01月27日 14:05

緊急事態宣言下の首都圏、“路頭”に迷いつつある営業マンら〜耐えることしかできないのか

 「前回の緊急事態宣言時とは違い、外回りの営業をしています。しかし、アポはほとんど取れず、売上は既存客との電話による商談のみです。会える人はごく僅かですが、それでも可...

2021年01月27日 13:37

ネットバブルの寵児、折口雅博氏の自伝『アイアンハート』を読む~逃避先の米国で、あのトランプ前大統領の知遇を得て再起!!(3)

 折口雅博氏がベンチャー起業家として脚光を浴びたのは、1999年から2000年にかけてのネットバブルの狂乱時代である...

pagetop